ギターのテクニックってどんなものがあるのか、気になっている方も多いのではないでしょうか。
ギターはアイデア次第で幅広い表現ができますが、テクニックの名前や名称、用語などを知らなくて、「あの音を出したいがどう演奏すれば良いのかわからない」という状況はとてももったいないと思います。
そこで今回は、右手や左手のテクニック、定番の演奏方法、特殊奏法による効果音に至るまで一覧でまとめましたので、是非、参考にしてください。
目次
- 1 ギターの左手のテクニック一覧
- 2 ギターの右手のテクニック一覧
- 3 ギターの演奏方法の一覧
- 3.1 アルペジオ奏法
- 3.2 オクターブ奏法
- 3.3 カッティング奏法
- 3.4 ブラッシング奏法
- 3.5 タッピング奏法(ライトハンド奏法)
- 3.6 エイトフィンガー奏法(エイトフィンガータッピング)
- 3.7 ボスハンドタッピング(両手タッピング)
- 3.8 ハミングバード奏法
- 3.9 バイオリン奏法(ボリューム奏法)
- 3.10 ボトルネック奏法(スライド奏法)
- 3.11 ナチュラルハーモニクス
- 3.12 人口ハーモニクス(テクニカルハーモニクス)
- 3.13 タッピングハーモニクス
- 3.14 ハーモニクス奏法
- 3.15 アーミング奏法
- 3.16 チョップ奏法
- 3.17 レガート奏法
- 3.18 ペダル奏法
- 3.19 ラン奏法
- 3.20 スラップ奏法(チョッパー)
- 3.21 ギャロッピング奏法(チェットアトキンス奏法)
- 3.22 ラスゲアード奏法
- 3.23 スラム奏法
- 4 ギターの特殊奏法の一覧
- 5 まとめ
ギターの左手のテクニック一覧
まずは、ギターの左手のテクニック一覧です。
スライド
ギターのスライドとは、「押弦したまま指を弦の上ですべらせ、始点と終点の音を途切れさせずに滑らかに音をつなげる」テクニックです。
グリッサンド(グリス)との違いは、スライドは始点と終点の音程が決まっていることです。
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グリッサンド(グリス)
ギターのグリッサンドとは、スライドと同様に「押弦したまま指を弦の上ですべらせ、始点と終点の音を途切れさせずに滑らかに音をつなげる」テクニックで、グリスとも呼ばれています。
スライドとの違いは、グリッサンドは始点と終点の音程が決まっていないことです。
そのため、音程というよりはグリッサンド特有のニュアンスによる効果を狙って使用することが多いです。
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ハンマリング・オン
ギターのハンマリング・オンとは、「指を弦ごと指板に叩きつけて、ピッキングなしで音を出す」テクニックのことで、ハンマーのごとく叩きつける様子から、通常はハンマリングと呼ばれています。
ある音を弾いた後、同弦上の別のフレットをピッキングなしで押弦することによって、同弦上の別の音程に音を繋げ、滑らかなに音程が上昇する音を表現できます。
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プリング・オフ
ギターのプリング・オフとは、「指先を弦に引っ掻けて、ピッキングなして音を出す」テクニックのことで、通常はプリングと呼ばれています。
ある音を弾いた後、押弦した指を引っ掻きながら離すことによって、同弦上の別の音程に音を繋げ、滑らかなに音程が下降する音を表現できます。
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トリル
ギターのトリルとは、「ピッキングをせずにハンマリング・オンとプリング・オフを交互に繰り返して音を出す」テクニックです。
TAB譜で「H+P」と記載されている場合は音符の長さが指定されていますが、「tr」と記載されている場合は演奏者の任意の速さで演奏します。
「トリルリルリ~」という独特の味のある音は様々なフレーズで活用されており、速弾きだけでなくジャズやクラシック、ポップスなど幅広いジャンルで使用されています。
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チョーキング(ベンディング)
ギターのチョーキングとは、「弦を弾いた後に押弦している指で弦を引っ張り、無段階に音の高さを変える」テクニックです。
英語表現では「ピッチベンド」という意味でベンディングと呼ばれていますが、日本では「絞める」という意味からチョーキングと呼ばれています。
チョーキングのインターバル(音程)
- クォーターチョーキング
- 半音チョーキング
- 全音チョーキング
- 1音半チョーキング
- 2音チョーキング
- その他(2音半、3音など・・・)
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チョークアップ/チョークダウン
ギターのチョークアップ(チョーキングアップ)とは、「音程を上げる過程の音は入れず、チョーキングした状態(音程が上がった状態)で音を出す」テクニックです。
反対に、チョークダウン(チョーキングダウン)とは、「チョークアップした音を元の音程に戻して、音程を下げる」テクニックです。
これからを組み合わせることで独特のニュアンスを表現することができ、ギターの表現の幅は広がりますので、ギターのテクニックの中でも高度なテクニックの一つです。
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ポルタメント・チョーキング
ギターのポルタメント・チョーキングとは、「目的の音程までゆっくりとチョーキングで音程を上げていく」テクニックです。
「溜めを効かせる」ことで、通常のチョーキングとは違うニュアンスが表現できます。
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ユニゾン・チョーキング
ギターのユニゾン・チョーキングとは、「音程を上げる弦と上げない弦を同時に音を出し、2つの音を同じ音程にする」テクニックです。
よく使われるフォーム例としては、「1弦5フレットを人差し指で押さえ、2弦8フレットを薬指で1音チョーキング」して同時に音を出すなどです。
ユニゾンにすることで「単音とは異なったより存在感のある音」になり、完全に音を合わせたユニゾンは「綺麗で協調された音」、微妙に音程がずれた揺れで「音が少し濁ったワイルドな音」など表現の幅が広がります。
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ハーモナイズド・チョーキング
ギターのハーモナイズド・チョーキングとは、「音程を上げる弦と上げない弦を同時に音を出し、和音を作る」テクニックです。
よく使われるフォーム例としては、「2弦8フレットを薬指で1音チョーキングした後、1弦10フレットを小指で押弦」して同時に音を出すなどです。
基本的には上記のような「長3度」や「短3度」などで使用されることが多く、チョーキングに和音の要素が加わることで、独特の綺麗なサウンドが表現できます。
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ダブル・チョーキング
ギターのダブル・チョーキングとは、「2本以上の弦を同時に音程を上げる」テクニックです。
例えば、「4弦7フレットを小指、5弦7フレットを薬指で押弦し、ピッキングした後に2つの弦を同時にチョーキング」するなどです、薬指1本や人差し指1本で行うこともあります。
音程を大きく変化させるというよりは、フレーズの一部のニュアンスの表現として使用することが多いです。
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ビブラート
ギターのビブラートとは、「音高(ピッチ)をかすかに、周期的に上下させて、音程を変化させて音を揺らす」テクニックです。
高速で激しいビブラートや、ゆるやかなビブラートなど表現の幅は多く、音を揺らすことで旋律を美しく表情豊かに彩ることができます。
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チョーキング・ビブラート
ギターのチョーキング・ビブラートとは、「チョーキングした音高(ピッチ)をかすかに、周期的に上下させて、音程を変化させて音を揺らす」テクニックです。
チョーキングによるビブラートでは、チョークアップとチョークダウンを繰り返すことで音程を変化させますので、目的のピッチを維持したままビブラートをかける難しいテクニックの1つです。
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ジャック・オフ・ビブラート
ギターのジャック・オフ・ビブラートとは、「スライド・アップとスライド・ダウンを高速で繰り返すことにより、振り幅の大きいビブラートの効果を得る」テクニックで、スライドの応用技でもあります。
表現の目的はあくまでビブラートをかけることにありますが、その名の通り、視覚的にも音程的にも非常にワイルドな印象を与えることができます。
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ジョイント
ギターのジョイントとは、「異弦同フレットを指の関節を反らせて、音が重ならないように弾く」テクニックです。
あまり聞く機会が少ない言葉ですが、隣合った弦を指の第一関節や第二関節を寝かせたり立たせたりする動作によって弦を押さえ、意識的に先に弾いた音を消音するというフレーズはかなり使用されています。
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ギターの右手のテクニック一覧
次に、ギターの右手のテクニック一覧です。
ストローク
ギターのストロークとは、「ピック(または指)を使って弦をなでるように弾く」ことで、ギターの基本的奏法の一つで、英語で「stroke」という「なでる」という意味になることから、ストロークと呼ばれています。
主にコードストロークという、6本の弦をピックでダウンストロークとアップストロークを繰り返し、「ジャカジャカ」と弾く動作のことを指すことが多いですが、2本から3本の複数弦の場合もストロークと呼ばれます。
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オルタネイト・ピッキング
ギターのオルタネイト・ピッキングとは、「ダウンピッキングとアップピッキングを交互に繰り返して弦を弾く」基本的なピッキングです。
リズムキープがしやすく、テンポが速くなっても安定したサウンドを維持しやすいため、ギターでは必須のテクニックと言えます。
また、休符の際に意図的にピックを空振りさせる「空ピッキング」もオルタネイト・ピッキングにおける技術の一つで、「空ピッキング」を組み合わせることで、様々なリズムパターンを弾くことができます。
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エコノミー・ピッキング
ギターのエコノミー・ピッキングとは、「弦移動の際に、高音弦に移動する時は常にダウン・ピッキング、低音弦に移動する時は常にアップピッキング」で弾くピッキングです。
オルタネイトピッキングで演奏した場合に生じる移動ロスを回避することができるので、速弾きだけでなく、ブルーズやジャズなど高音弦や低音弦など弦移動が激しいテクニカルなフレーズなどにも使用されています。
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スウィープ・ピッキング
ギターのスウィープ・ピッキングとは、「ダウン・ピッキング(またはアップ・ピッキング)を連続して行う」奏法で、箒で掃くような動作を行うことから「スウィープ」という名前がつきました。
特に分散和音を旋律とする場合は「ブロークン・コード」と呼びますが、分散和音の場合でも、1音1音を鳴らした後ミュートすることで音粒をはっきりさせるなど、速弾きでよく使用されています。
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アウトサイド・ピッキング
ギターのアウトサイド・ピッキングとは、「弦移動するときのピッキングが、下方の弦をダウン、上方の弦をアップ」で弾く演奏方法です。
例えば、2弦と3弦を弾く場合は、2弦がダウンピッキング、3弦がアップピッキングになり、右手のピッキング動作が非常に小さくなり、正確なコントロールには慣れが必要となります。
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インサイド・ピッキング
ギターのアウトサイド・ピッキングとは、「弦移動するときのピッキングが、下方の弦をアップ、上方の弦をダウン」で弾く演奏方法です。
例えば、2弦と3弦を弾く場合は、2弦がアップピッキング、3弦がダウンピッキングになり、ピッキング動作は大きめになりますが、リズムが取りやすいというメリットがあります。
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サークル・ピッキング
ギターのサークル・ピッキングとは、「ピッキングするときに同じ軌道を行き来するのではなく、円を描くように弾く」演奏方法のことです。
正確に円の形に弾くのではなく、楕円をイメージしてもらうといいと思いますが、指の屈伸だけで弾く指先ピッキングで弾く人は自然とサークルピッキングになっている人も多いです。
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ストリング・スキッピング
ギターのストリング・スキッピングとは、「1本以上の弦を通り越して、次の高音弦(または低音弦)を弾く」演奏方法です。
ストリング(弦)をスキップ(飛ばす)ことから厳密には「トリング・スキッピング」というテクニックですが、通常は「スキッピング」と呼ばれています。
ギターのテクニックのなかでも難易度の高いテクニックで、アルペジオ等で隣接した弦をとばして、結果的に一つ以上の異弦をまたいで弾いたり、速弾きやテクニカルなフレーズなどにも使用されています。
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クロス・ピッキング
ギターのクロスピッキングとは、弦を跳んでピッキングする際に弾く弦によって効率よくアップピッキングとダウンピッキングを選択するテクニックです。
通常のオルタネイトピッキングのように規則正しくダウン&アップを繰り返す基本の弾き方とは違い、「次に弾く弦にピックを近付ける」という考え方でピッキングの方向を設定するという意味です。
クロスピッキングは、「ブルーグラス(Bluegrass music)」というアコースティック音楽のジャンルや、マンドリンプレイヤーがよく使っているテクニックです。
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チキン・ピッキング/ハイブリッド・ピッキング
ギターのチキン・ピッキングとは、「ピックを使用したピッキングと、中指や薬指を使用したフィンガーピッキングを併用する」ピッキングのことです。
指で弾く「パチン」という音が鶏の鳴き声に似ているから「チキン・ピッキング」と呼ばれていましたが、近年ではハイブリッド・ピッキングと呼ばれることが多くなりました。
ピックと指で別の弦を弾くことができるため、音程変化の大きなフレーズを演奏するのに大変有効なテクニックです。
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トレモロ・ピッキング
ギターのトレモロ・ピッキングとは、「単一の高さの音を連続して小刻みに弾く」ピッキングで、振動という意味からイタリア語のトレモロから、トレモロ奏法とも呼ばれるようになりました。
速弾きはもちろん、複雑なフレーズやシンプルなフレーズにアクセントとしてトレモロ奏法を入れたりするなど、活用の幅が広いピッキングテクニックです。
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フルピッキング
ギターのフルピッキングとは、「すべての音をピック(または指)で弾いて音を出す」演奏方法です。
特にロックにおけるエレクトリックギターの速弾きを指すことが多く、高速フレーズを全てピッキングで弾いてしまうなど、速弾きでは定番のテクニックです。
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ピッキング・ハーモニクス
ギターのピッキング・ハーモニクスとは、「弦をピッキングした直後に(ピッキングした手の)親指の側面を弦にあてて、押えているフレットポジションの音程よりも高い金属的な倍音を得る」演奏方法です。
独特の「キーン」という金属音は、ロックやメタルなどの歪みを中心としたサウンドで活用されているのはもちろんですが、クリーントーンでも効果的に使用することで、多彩なフレーズを演出できます。
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ブリッジ・ミュート
ギターのブリッジ・ミュートとは、「ピッキングする側の手でミュートしながら弾く」テクニックです。
ロック系の歪んだサウンドでは「ズンズン」とした音になり、低音を強調した太く重量感のあるサウンド効果を生み出し、リフやバッキングを弾くときに用いられます。
また、クリーンサウンドでは、フレーズのメリハリをつけることができ、幅広いジャンルで活用されている、基本的なギターテクニックです。
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フィンガー・ピッキング
ギターのフィンガー・ピッキングとは、「ピックなどを使わず、指先と爪を使って弦をはじく」演奏奏法です。
指弾きとも呼ばれており、演奏者によってフィンガー・ピッキングで使用する指の本数が異なるため、スタイルによって呼び方が分けられている場合が多いです。
フィンガー・ピッキングの一覧
- ツーフィンガー・ピッキング:人指し指・中指
- スリーフィンガー・ピッキング:親指・人指し指・中指
- フォーフィンガー・ピッキング:親指・人指し指・中指・薬指
ソロギターやクラシックギターはもちろん、エレキギターでも幅広く活用されているテクニックです。
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ストリングスヒット(サムヒット)
ギターのストリングスヒットとは、親指で低音弦を叩いて「チャッ」という音を鳴らし、「スネアドラム」に相当する部分を表現することで、一定の安定したリズムを刻む演奏方法です。
サムヒットとも呼ばれるテクニックで、親指の側面をサウンドホール上の6弦(または5弦)に指を弦に振り下ろすことで、指を当てた弦がしなって指板のフレットに当たり、その際に「チャッ」という音が発生します。
フィンガーピッキングなどの指弾きの演奏スタイルで特に効果的なテクニックですが、ピック弾きでストリングスヒットのテクニックを使用するギタリストもいます。
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ネイルアタック
ギターのネイルアタックとは、右手の中指や薬指の爪側を弦にぶつけて音を鳴らす演奏方法です。
爪を弦に当てることによって通常の音に加えて「チャッ」というノイズを鳴らすことができ、パーカッシブなアクセントをつけることができます。
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ギターの演奏方法の一覧
次に、ギターの演奏方法の一覧です。
アルペジオ奏法
ギターのアルペジオ奏法とは、「はコードを同時に鳴らすのではなく、コードの各音を1音ずつ、もしくは2音ずつ弾く」奏法方法のことです。
アルペジオは日本語で「分散和音」といわれ、コード(和音)を分解して演奏することから、アルペジオと呼ばれるようになりました。
歪みからクリーンサウンドに至るまで様々なフレーズで幅広く活用されており、コードによるアルペジオだけでなく、テクニカルなフレーズやディレイと組み合わせた神秘的なサウンドなど様々です。
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オクターブ奏法
ギターのオクターブ奏法とは、「原音(ルート音/1度の音)と1オクターブ上の音(8度の音)を同時に弾く」演奏方法です。
1オクターブ高い音程を重ねることで、で単音で弾くよりも音に厚みが出るようになるため、シンプルでも存在感のあるフレーズになり、ギターソロやリードギターなどで使用される場合も多く、ギター定番のテクニックです。
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カッティング奏法
ギターのカッティング奏法とは、「音を短く切る」演奏方法のことです。
コードを押さえている左手で音を切るのはもちろんですが、右手はストロークをしつつ、ブラッシングや空ストロークなどと組み合わせることで、リズミカルなサウンドを繰り出すことができます。
また、プリングやハンマリング、スライドなどを組み合わせることでファンキーなサウンドにもなり、コードカッティングから単音カッティングまで様々なフレーズに活用されています。
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ブラッシング奏法
ギターのブラッシング奏法とは、「左手でミュートした弦を右手でストロークして弾く」演奏方法のことです。
そのため、音程感のない「チュクチュク」としたサウンドを得ることができ、打楽器のようなパーカッシブなアクセントを表現することができます。
左手のミュートの位置をヘッドよりとピックアップよりでもニュアンスが異なり、さらに、右手のストロークを低音弦だけ、または高音弦だけにしたりするなど、組み合わせ次第で様々な表現をつけることができます。
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タッピング奏法(ライトハンド奏法)
ギターのタッピング奏法とは、「ピックを持つ右手の人差し指(または中指)で弦をタップして音を出す」演奏方法です。
よく使用される例としては、右手で弦をタッピングしつつ、左手のハンマリング(またはプリング)を組み合わせることで、高速フレーズを演奏するなどがあります。
また、近年では歪んだドライブサウンドだけでなく、クリーンサウンドとディレイを合わせた神秘的なタッピングフレーズや、複数の指でタッピングを行って和音を奏でるなど多彩になっています。
タッピングは右手の指で行うことが通常ですが、ピックでタップする場合もあり、その場合は「ピックタップ」と呼ばれています。
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エイトフィンガー奏法(エイトフィンガータッピング)
ギターのエイトフィンガー奏法とは、「左手人差指~小指の4本と右手人差指~小指の4本による計8本の指を駆使してタッピングを行う」演奏方法です。
通常のタッピング奏法は、ピックを持つ右手は人差し指か中指(もしくは両方)を使用するスタイルでしたが、さらに進化したスタイルがエイトフィンガー奏法です。
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ボスハンドタッピング(両手タッピング)
ギターのボスハンドタッピング(両手タッピング)とは、「左手をネックの上側から回して、右手と左手の両方でタッピングを行う」演奏方法です。
通常タッピング演奏は、左手はハンマリングやプリングをすることが多いですが、ボスハンドタッピングは左手でもタッピングを行うことから、両手タッピングと呼ばれています。
両手で指板をピアノを弾くように叩く姿は圧巻的で、ギターソロだけでなく、ソロギターなどでも使用されている特殊な演奏方法です。
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ハミングバード奏法
ギターのハミングバード奏法とは、トレモロ奏法の延長にあたる技法です。
基本的にダウンピッキングとアップピッキングで音を連続して小刻みに演奏する技法は、ギターのみならず弦楽器全般ではトレモロ奏法と言われます。
ハミングバード奏法は、中指と親指でピックを持ち、弦に対してより垂直に当てることでより軽やかで早いトレモロ奏法を行う場合があり、これをハミングバード奏法と呼びます。
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バイオリン奏法(ボリューム奏法)
ギターのバイオリン奏法とは、「ギターの演奏時にボリュームにより音強を絞り、電気的にアタック音が鳴らない状態で撥弦した直後に、ボリュームを解放してクレッシェンドさせる」演奏方法です。
主にエレキギターに使用される演奏方法で、意図的にアタック音を消して滑らかな音色を得る事で、その印象がバイオリンのようである事からバイオリン奏法と呼ばれています。
または、ギターのボリューム・コントロールを利用する演奏方法なので、ボリューム奏法とも呼ばれています。
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ボトルネック奏法(スライド奏法)
ギターのボトルネック奏法とは、「スライドバーと呼ぶ棒を指に装着または持ち、弦がフレットや指板から浮いた状態のままバーを任意の位置で弦に接触させ、ピッキングして発音する」演奏方法です。
もともとは酒瓶などの瓶の首の部分をカットしたものに指を通して使用していたことから、「ボトルネック奏法」と呼ばれるようになりましたが、スライドギターやスライド奏法などとも呼ばれています。
音量が増大して金属音の独特な効果が得られることにより、ハワイアンやブルース、カントリーミュージックなどでは欠かせない演奏奏法ですが、ポップスやロックなどはもちろん、幅広いジャンルで活用されています。
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ナチュラルハーモニクス
ギターのナチュラルハーモニクスとは、特定の指板を押弦せずに開放弦のハーモニクスポイントに軽く触れながらピッキングすることでハーモニクス音を鳴らす演奏方法です。
ハーモニクスは独特の柔らかくまろやかで澄んだ綺麗な音である倍音をであり、フレーズのアクセントや感情を表現したい時によく使用されるテクニックです。
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人口ハーモニクス(テクニカルハーモニクス)
ギターの人工ハーモニクスとは、左手で押さえた弦の12フレット上などを、右手の人差し指の先で軽く触れ、親指などで弾いてハーモニクスを出す演奏方法です。
ナチュラルハーモニクスは開放弦を基準にいくつか決まった音しかだせませんが、人工的にハーモニクスポイントを作ることができるので、自由な高さのハーモニクス音を出すことができます。
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タッピングハーモニクス
ギターのタッピングハーモニクスとは、ハーモニクスポイントを右手で叩くことによって、ハーモニクス音を鳴らす演奏方法です。
右手の指先で1本の弦を叩いて1音だけハーモニクス音を鳴らす場合と、指(主に中指)がフレットと平行になるように複数の弦を叩いて和音のハーモニクスを鳴らす場合があります。
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ハーモニクス奏法
ギターのハーモニクス奏法とは、「実音ではない、ハーモニクスを鳴らして音を出す」演奏方法です。
ハーモニクス一覧
- タッピング・ハーモニクス
- ナチュラル・ハーモニクス
- ピッキング・ハーモニクス
- 人工ハーモニクス
ハーモニクス奏法は高い音を出す目的や運指上の都合で使われるだけではなく、一般に純音(倍音を含まない正弦波)に近い透明感のある美しい音になるため、フレーズの中でアクセント的に使用されることも多いです。
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アーミング奏法
ギターのアーミング奏法とは、「トレモロ・ユニットを使用したエレクトリックギター特有」の演奏方法です。
アームダウンやアームアップで音程を変化させるものから、アームビブラートで音に軽くビブラートをかけるなど、右手の操作で音程を滑らかに上下させるというシンプルな演奏方法が一般的です。
しかし、ロック式トレモロユニットのフロイドローズは激しいアーミングも可能で、アームの使い方によってはトリッキーなサウンドを表現することができ、アイデアによって多彩な使い方ができます。
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チョップ奏法
ギターのチョップ奏法とは、「ある単音を弾く際に、その直前に別の弦のブラッシング音(ミュート音)を鳴らしながら弾く」演奏方法です。
鳴らしたい実音にブラッシング音を絡めることにより、迫力や存在感を与えることができ、たった1つの音でもかっこよくなることから、ニュアンスを大事にするフレーズに使用されています。
やり過ぎるとすぐに「くどい」感じになりますが、聴かせたい1音に使用することが効果的です。
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レガート奏法
ギターのレガート奏法とは、「音を滑らかに繋げて演奏する」演奏方法です。
ピッキングを極力せずに、プリングやハンマリング、スライドなどを組み合わせる事で、フルピッキングと異なり、音に滑らかな印象を与えることができます。
また、ピッキングを減らすことで運指側のスピードを落とすことなく演奏できるため、高速フレーズに対応することもできます。
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ペダル奏法
ギターのペダル奏法とは、「特定の音を一定の周期で鳴るようにキープさせて弾く」演奏方法です。
例えば、「ミファレファドファシファ」など、ペダル奏法をうまく使えば、とてもクラシック的なメロディアスなフレーズを作る事も可能です。
しかし、複雑な運指に対応する左手と正確なオルタネイトピッキングをする右手の感覚が必要で、上級テクニックの一つです。
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ラン奏法
ギターのラン奏法とは、同じような短いフレーズを繰り返し行う演奏方法で、英語で「流れる」という意味の「Run(ラン)」からきています。
オルタネイトピッキング、エコノミーピッキング、フルピッキングなどのピッキングテクニックはもちろん、チョーキング、ハンマリング、プリングなどのフィンガーテクニックも駆使したフレーズパターンを何度も繰り返してスリルある演奏を生み出すのが特徴です。
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スラップ奏法(チョッパー)
ギターのスラップ奏法とは、「指で弦を叩き指板に打ち付けたり、指で弦を引っ張り垂直に離す事で指板に当て、実音(音程)と同時にスラップ音を発生させる」演奏方法です。
「平手で打つ」という様子からスラップと呼ばれていますが、一部では「叩き切る」という様子から「チョッパー」とも呼ばれています。
ベースの定番の演奏方法ですが、ギターでも活用されており、パーカッシブなサウンドはファンクやロックなどで使用されることも多いテクニックです。
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ギャロッピング奏法(チェットアトキンス奏法)
ギターのギャロッピング奏法とは、「右手でブリッジミュートをしながら、右手親指で低音弦のベース(ルート音や5度など)を刻み、他の指で伴奏のラインやメロディのラインを弾く」演奏方法です。
カントリーやロカビリーなどでよく使われる演奏方法で、チェット・アトキンスというギタリストが発展させたことから、チェットアトキンス奏法とも呼ばれています。
また、ソロギターなどにもメロディーを弾きながらベースや和音を弾くアレンジなどにも活用されており、コード感あるフレーズが印象的な演奏方法です。
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ラスゲアード奏法
ギターのラスゲアード奏法とは、左手で和音などのコードを押さえて、右手の指の爪で上から下に掻き鳴らすように弾く演奏方法です。
「Rasgueado(ラスゲアード)」はスペイン語で「掻き鳴らし」という意味からきていますが、フラメンコギターで多用される奏法のため「フラメンコ奏法」とも呼ばれています。
踊り伴奏では必須のテクニックであり、高速3連符や高速6連符など、ラスゲアードで弦を掻き鳴らす右手の技法は様々あります。
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スラム奏法
ギターのスラム奏法とは、ギターをパーカッションのように叩いてパーカッシブな音を奏でる演奏方法です。
スラム奏法の名前の由来は、叩きつけるという意味の英語である「SLAM(スラム)」からきており、一人で演奏しているとは思えないほどの多様な音を生み出すことができます。
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ギターの特殊奏法の一覧
最後にギターの特殊奏法の一覧です。
ピックスクラッチ(スクラッチノイズ)
ギターのピックスクラッチは、「低音弦である巻き弦にピックを当て、弦を擦りつけて音を出す」テクニックです。
歪んだサウンドに相性がよく、まるでジェット機が飛び立つ時のような、「ギュイーン」という迫力ある音を出すことができ、エレキギター定番のテクニックです。
また、「スクラッチ」は「引っ掻く」という意味からきておりますが、ノイズ的な音でもあるため、スクラッチノイズとも呼ばれています。
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フィードバック奏法
ギターのフィードバック奏法とは、「アンプとギターとの共鳴によって生み出されるノイズ」のことです。
特に歪みサウンドで生み出される「キーン」や、「ヒューッ」というフィードバック音は、エレキギター特有の効果音であり、ハードロックやヘヴィメタルなどで特に多用されています。
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クリケット奏法
ギターのクリケット奏法とは、「ピッキングして音を出した後、アーム・レバーを直接叩くことによって、ブリッジを細かく振動させ、ビブラートを起こす」テクニックです。
ビブラート・ユニットではなく、ボディを叩くことでも同じ効果が得られ、この演奏方法によって得られる音がコオロギの声に似ていたため、「クリケット」と呼ばれるようになりました。
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クロマチック・ラン奏法(テケテケ奏法)
ギターのクロマチック・ラン奏法とは、「左手で巻き弦(ラウンド弦)のハイポジションの適当な場所を押さえ、オルタネイトピッキングをしながらグリスダウンしていく」奏法です。
生み出されるサウンドは「テケテケテケ・・・」と聞こえることから、テケテケ奏法とも呼ばれています。
ベンチャーズ等のサーフロックバンドがよく使っていたテクニックですが、幅広いジャンルで使用されています。
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スイッチング奏法
ギターのスイッチング奏法とは、「ギターについているピックアップセレクターを使って音を変化させる」奏法です。
よく使用される例としては、レスポールなどボリュームコントロールが独立しているエレキギターで、どちらかのボリュームをゼロにし、音のON、OFFを繰り返して断続的に鳴らすなどが代表例です。
効果的に使用するにはアイデアが必要になりますが、上手に活用することで効果音の幅が広がります。
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ボウイング奏法
ギターのボウイング奏法とは、「ヴァイオリンやチェロの弓で弦をこするか、あるいは叩いたり撫でるようにして演奏する」ギターの特殊奏法です。
ヴァイオリンやチェロと似たような音を得られる訳では無く、通常のギタープレイでは得られない独特の音響効果を得ることが出来きます。
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ドリル奏法
ギターのドリル奏法とは、その名の通り「電動ドリルでエレキギターを弾く」奏法です。
そのままドリルの先端部分を使用、またはドリルの先端部分にピックを取り付け、回転させて弦を高速にピッキングすることで、通常では得られないサウンドを生み出すことができます。
また、電動ドリルをギターのピックアップに近づけて、モーターから出るノイズを拾わせ、「キュイーン」というノイズを効果音として使用したりもしています。
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歯ギター
ギターの歯ギターとは、その名の通り「歯で弦を弾く」演奏方法です。
アメリカのミュージシャン、ジミ・ヘンドリックスが行ったものが有名ですが、ライブパフォーマンスの一環で使用されることが多いです。
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ネック・ベンド(ネック・ベンディング)
ギターのネック・ベンドとは、「ネックにねじる様に力を加えてアーミングに似たような音程の変化を生み出す」演奏方法です。
基本的に両手を使うの解放弦しか使用しづらいうえにネックにかなりの負担がかかるため、やり過ぎるとネックが反ったり等の故障の原因になるので、初心者にはおすすめできません。
主にライブステージでの視覚的効果を狙って行うことが多いです。
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ナット・ベンド(ナット・ベンディング)
ギターのナット・ベンドとは、「ナットとストリングポストの間を下に押すことで音程を変化させる」テクニックです。
このチョーキングでもなく、トレモロアームでもない、不思議なベンド表現が演出できます。
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スクウィール(ハーモニクス&アーミング)
ギターのハーモニクスを使った演奏で、「ギュワーン」という音を表現することができる、ハーモニクスとアーミングを組み合わせたテクニックがあります。
代表的な例としては、左手で開放弦をプリングして鳴らし、右手でアームダウンをしながら、左手でハーモニクスポイント(5フレットなど)をタップし、ハーモニクス音がなった状態でアームアップを行うなどです。
ロック式トレモロユニットのフロイドローズが登場してからは、激しいアーミングも可能になり、歪みサウンドを中心に活用されています。
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まとめ
ギターの右手や左手のテクニック、定番の演奏方法、特殊奏法による効果音に至るまで一覧で解説してきましたが、いかがだったでしょうか。
複雑に聞こえる演奏方法も、これまで紹介したテクニックを組み合わせたり、応用させたりなどしてフレーズは作られています。
一つひとつのテクニックや演奏方法を習得することで、様々なギタープレイができるようになりますので、気になったテクニックがあれば、是非、練習していきましょう。