ギターの基本テクニックであるビブラートは、エレキギターはもちろん、アコースティックギター(アコギ)も含めて様々なフレーズで使われています。
特にギターソロなどのフレーズに表情をつけるためには必要不可欠といっても過言ではないですし、ただ音を伸ばすだけではもったいないです。
ギター初心者でビブラートは難しい印象を持たれている方も多いですが、やり方さえわかればそんなに難しいことはありません。
今回は、ギターのビブラートのやり方やコツ、練習フレーズなどを解説していき、ビブラートが上手くできない時に陥りがちな症状や注意点をまとめました。
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ギターのビブラートとは
ギターのビブラートとは、音程(または音量)を変化させて音を揺らすテクニックで、ギターだけでなくバイオリンなどあらゆる弦楽器で使われる演奏方法です。
一般的なビブラートの基本は「その音の正しいピッチを基準に音の高さと揺らすスピードを均等に音を揺らす」という意味ですが、ギターにおけるビブラートは主にチョーキングを繰り返して音にゆらぎを作ります。
ビブラートはフレーズに表情を加えるために使われるので、音の高さの揺れ具合や振れ幅などに決まりはなく、メタルのように早く激しいビブラートからブルースなどのように感情豊かなものまで様々です。
また、ビブラートは単音だけでなくコードなどの和音にも用いられます。
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ギターのビブラートの左手のやり方
ギターのビブラートの左手のやり方について、いくつかコツをご紹介します。
ビブラートのかけ方は縦揺れと横揺れの2種類がある
ギターにおけるビブラートのかけ方は縦揺れと横揺れがあります。
縦揺れビブラートのかけ方
まずはオーソドックスな縦揺れビブラートのかけ方ですが、押さえている弦を上下の方向に揺らすことで音程を揺らします。
縦揺れビブラートのコツは「手首を支点にドアノブを少しひねったり戻したりする感覚」で、ギターの教本や現代のスタイルではこちらが主流になっています。
また、ギタリストによっては親指も含めてギターの弦を押さえている指以外はネックから離して、腕やひじなど全体的に動かしてビブラートをかける方法もあります。(世界3大ギタリストと呼ばれるEric Claptonがそうですね。)
縦揺れビブラートの特徴は、ビブラートで上下させる音の高さをある程度自由にコントロールできるので、表情をつけたいニュアンスによってビブラートのかけ方を変えやすいです。
横揺れビブラートのかけ方
次に横揺れビブラートのかけ方ですが、押さえている弦を左右の方向に揺らすことで音程を揺らします。
横揺れビブラートのコツは、左手全体を左右に揺らす、またはスライドというテクニックの動きをコンパクトにしたイメージを持つとやりやすいです。(見た目は左手を痙攣させているかのように見えます)
横揺れビブラートの特徴は、縦揺れのビブラートと比べて音程の変化が小さいですが、やさしくマイルドな印象になるので上品なビブラートになります。
また、アコギでビブラートをかける場合にもよく使われており、コードなどの和音にビブラートをかけたい場合は、横揺れビブラートのほうが和音全体を均等に音を揺らしやすいです。
ネックを揺らしてかけるビブラートのかけ方
番外編としてギターのネックを揺らしてかけるビブラートのかけ方があります。
ギターのボディに右腕を軽く乗せておき、押弦している指で指版を体の手前側に引いたり戻したりすることで、ネックが少しだけ反ったり戻ったりすることで弦のテンションが変わり音程を揺らすことができます。
アコギでコードなどの和音でビブラートをかける場合や、演奏の余韻が長い場合に用いられることが多いです。
また、激しくビブラートをかけることができないですし、やりすぎるとギターのネックを痛めてしまいますので、ネックを揺らしてビブラートをかける場合は気を付けてください。
ビブラートをかける時は音を伸ばしてから
ビブラートをかける時は、弦をピッキングしてある程度音を伸ばしてからビブラートをかけることが重要です。
ピッキングしてすぐにビブラートをかけてしまうと、音の出だしから音程が揺れてしまい、不安定な印象を与えてしまいます。
ただ、どのくらいからビブラートをかけ始めるかはギタリストのセンスによって決まりますが、基本的には拍を意識するのがおすすめです。
ビブラートの音程の揺れ幅を一定にする
次にビブラートの音程の揺れ幅を一定にするのがコツです。
音程の揺れ幅が大きかったり小さかったすると不安定な印象がありますし、場合によっては音痴なビブラートに聞こえてしまいます。
前半は大きく音程を揺らして後半は揺れ幅を小さくするなど狙ってビブラートをかける以外は、基本的には綺麗なビブラートを意識しましょう。
ビブラートで揺らす速度を一定にする
次にビブラートで揺らす速度を一定にするのがコツです。
先ほどの音程の揺れ幅についてと同様で、揺らす速度が速かったり遅かったりすると不安定な印象になります。
前半は音程を速く揺らして後半は遅く揺らすなど狙ってビブラートをかける以外は、基本的には綺麗なビブラートを意識しましょう。
また、ビブラートで音程を揺らす速度は曲のテンポや雰囲気によって変えるのがおすすめです。
ビブラートをかけるときは正しいピッチに戻す
最後に大前提ですが、ビブラートをかけるときは正しいピッチに戻すのがコツです。
ビブラートで揺らすことだけを意識して元の正しいピッチに戻りきらないと、音痴なビブラートになってしまいます。
あくまでもビブラートは「正しいピッチを基準に音程の揺れ幅を均等にし、揺らす速度を一定にする」ことが基本です。
ギターのビブラートの練習フレーズ
ギターのビブラートの練習フレーズを教則本などにも掲載されているような簡単なパターンでいくつかご用意しました。
楽譜やTAB譜(タブ譜)上でビブラートは音を伸ばしている音符に「~~~」という記号で表記されています。
また、ビブラートのトレーニングとして有効な練習方法は音源に忠実にビブラートをかけられるようにするのがおすすめです。
練習フレーズ1:基本的なビブラートをどの指でもかけられるようにする
まずは基本的なビブラートをどの指でもかけられるようにする連取フレーズです。
3弦12フレットは人差し指、3弦14フレットは薬指、2弦13フレットは中指、2弦15フレットは小指で押弦してビブラートを掛けましょう。
また、ビブラートをかけるタイミングを意識する練習でもあるので、ピッキングしてから最初の4分音符は音をしっかり伸ばしましょう。
練習フレーズ2:メロディーなどギターソロにビブラートをかける
次にメロディーなどギターソロにビブラートをかける練習フレーズです。
こちらでは「カントリー・ロード(Country Road)」のメロディーを通常のチョーキングやチョーキングビブラートを組み合わせたフレーズにしました。
しっかりと音を伸ばすメロディーなので、ビブラートをかけるタイミングなどを意識して「メロディーがいかに心地よく聞こえるか」、「ギターで歌えているか」を意識して弾きましょう。
ギターのビブラートが上手くできないときに見直すポイント
ギターのビブラートが上手くできない時に見直すポイントをいくつかまとめました。
ビブラートで指が痛い
ギターでビブラートをかけるときに指が痛い場合は、指の力の入れ具体が原因になっている場合が多いです。
しっかりと音程を揺らそうと意識しすぎてしまい、指を揺らしている方向に力が入りすぎていないかを見直しましょう。
ビブラートで音が途切れる
ギターでビブラートをかけているときに音が途切れる原因は、音を揺らす方向に指の力をいれることに意識が集中してしまい、押弦している指の力が弱くなってしまっている場合が多いです。
チョーキングと同様に、音程を変化させている間に音が途切れてしまってはいけないので、揺らしている方向に負けないようにある程度しっかり押弦しましょう。
また、フレットが錆びている場合もビブラートで音が途切れやすいため、フレットのメンテナンスをするのもおすすめです。
ビブラートをするとノイズが混ざる
ギターでビブラートをかけるときにノイズが混ざるのは、他の弦が振動して若干音が鳴ってしまいていることが原因になっている場合が多いです。
押さえている弦より高温側は押弦している指の腹、もしくは他の弦で軽く触れてミュートをしておき、低音弦側はピックを持っている右手でミュートをしましょう。
まとめ
ギターのビブラートのやり方についてを解説してきましたが、いかがだったでしょうか。
ビブラートをマスターすると、ボーカルのように音の高さを揺らすことによって与える感情表現をギターでも演奏することができます。
この機会にぜひビブラートを習得して、「ギターで歌う」ことができるようにしていきましょう。
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