ボトルネック奏法はハワイアンやブルース、カントリーミュージック以外にもロックやポップスなど様々なジャンルで使用されているギターの演奏方法です。
また、ギターの種類もスティール・ギターやドブロ・ギター(リゾネーター・ギター)などだけでなく、アコースティックギター(アコギ)やエレキギターでも活用されているテクニックです。
そのため、ボトルネック奏法は様々なジャンルの名曲でギターフレーズに使われていたり、ボトルネック奏法の名手もたくさんいますが、ギター初心者で難しいイメージを持っている方も多いかと思います。
そこで今回は、ボトルネック奏法のやり方やコツ、練習フレーズなどを解説していき、ボトルネック奏法がうまくできない時に陥りやすい症状などの注意点をまとめました。
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ギターのボトルネック奏法とは
ギターのボトルネック奏法とは、スライドバーと呼ばれる筒状の棒を指に装着(または持つ)し、弦がフレットや指板から浮いた状態のままバーを任意の位置で弦に接触させ、ピッキングして発音する演奏方法です。
ボトルネック奏法の由来は、もともとは薬瓶や酒瓶などの瓶の首の部分をカットしたもの(ボトルネック)に指を通して使用していたことからボトルネック奏法と呼ばれるようになりました。
始まりも様々な説があり、ブルースのうねるようなフィーリングをなんとかギターで出そうとして生まれたといわれていたり、酒場で「この酒瓶で弾いてみろよ!」などちょっとした冗談からであったりなどあります。
音楽用語として「ボトルネック奏法」「スライド奏法」「スライドギター」「ボトルネックギター」など様々な呼び方がありますが、いずれも同じ意味でボトルネック奏法です。
ボトルネック奏法は押弦して鳴らす音とは違った独特の音色も魅力的ですが、最大の魅力は音程の区切りがないフレットレスのように自由に音程が変えられることで、スライドさせたときの響きが特徴的です。
特にハワイアンやブルース、カントリーミュージックなどのジャンルでは欠かせない演奏奏法として発達してきました。
その後ブルースがエレクトリック化し、大音量が基本となったロックミュージックの発展と共に、エレキギターでもスライド奏法をプレイするミュージシャンが多く現れるようになりました。
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ギターのボトルネック奏法の左手のやり方
ギターのボトルネック奏法の左手のやり方について、いくつかコツをご紹介します。
スライドバーを装着する指はどの指でも良い
スライドバーは基本的には筒状の棒になっており、指に装着できるようになっています。(手で持つタイプのスライドバーもありますが、その場合は手で持ってください。)
基本的には薬指にスライドバーを装着することが多いですが、ギタリストの好みによって変わるため、「人差し指・中指・薬指・小指」などやりやすい指に装着してください。
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人差し指にスライドバーを装着するやり方
人差し指にスライドバーを装着するやり方ですが、スライドバーを装着した人差し指を中指で挟んで安定させます。(薬指と小指も添えるとより安定します。)
人差し指にスライドバーを装着するメリットは、フレットの真上を感覚的に押さえやすいという点であり、ボトルネック奏法はフレットレスがゆえにピッチ感が大切ですので、大きいメリットです。
デメリットは、スライドバーを中指のみで挟むことになるので、慣れないと不安定になりやすい点です。
中指にスライドバーを装着するやり方
中指にスライドバーを装着するやり方ですが、スライドバーを装着した中指を人差し指と薬指で挟んで安定させます。(小指も添えるとより安定します。)
中指にスライドバーを装着するメリットは、人差し指と中指の2本で挟むのでスライドバーが安定しやすいところです。
デメリットは人差し指にスライドバーを装着する方法よりもフレットの真上を押さえる感覚が慣れるまで練習が必要なところです。
薬指にスライドバーを装着するやり方
薬指にスライドバーを装着するやり方ですが、スライドバーを装着した薬指を中指と小指で挟んで安定させます。(人差し指も添えるとより安定します。)
薬指にスライドバーを装着するメリットは、薬指と小指の2本で挟むのでスライドバーが安定しやすいところであり、指もフレットに対して平行(指板に対して垂直)にして押さえやすい点です。
デメリットは人差し指にスライドバーを装着する方法よりもフレットの真上を押さえる感覚が慣れるまで練習が必要なところです。
小指にスライドバーを装着するやり方
小指にスライドバーを装着するやり方ですが、スライドバーを装着した薬指で挟んで安定させます。(人差し指と中指も添えるとより安定します。)
小指にスライドバーを装着するメリットは、「人差し指・中指・薬指」が自由に動かしやすいので、ボトルネック奏法と合わせて通常の押弦して鳴らすフレーズと組み合わせ安いところです。
デメリットは中指や薬指にスライドバーを装着する方法よりもかなり不安定になりやすいところです。
スライドバーで押さえる位置はフレットの真上
ボトルネック奏法でスライドバーを使って弦を押さえる位置はフレットの真上になります。
ただ、真上を押さえていても微妙なピッチのズレがありますので、真上を押さえるだけでなく、実際になっている音を耳でも聞いて押さえる位置を微調整するのがコツです。
耳に自信がない場合は、最初はチューナーなどで音程を確認しながら行うと感覚をつかみやすいです。
スライドバーで押さえる弦の幅は弾く弦にプラス1.5弦~2.5弦くらいを目安
スライドバーの先端をどれくらい押さえるかについては、弾く弦にプラス1.5弦~2.5弦くらいを目安に押さえます。
ただ、1弦などを弾くときにスライドバーを斜めに当てて「1弦以外にスライドバーが当たらないようにする」や、ネックの淵にスライドバーが当たらないように角度を気をつけましょう。
また、1弦~6弦まで全弦セーハをする場合はスライドバーで押さえても問題ありません。
チューニングはオープンチューニングがおすすめ
ボトルネック奏法はレギュラーチューニングでも問題ありません。
ボトルネック奏法は単音や和音など様々なフレーズがありますが、特に和音を使ったボトルネック奏法のフレーズではオープンチューニングが使用されることが多いです。
理由としては、1本のフレット上をスライドバーで押さえるので、楽曲のキーに合わせてオープンチューニングにしておいたほうが、不協和和音になりづらくフレージングしやすいためです。
ただ、アコギやエレキギターでレギュラーチューニングでボトルネック奏法を行うフレーズも数多くありますので、楽曲に合わせてチューニングを選びましょう。
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ギターのボトルネック奏法の練習フレーズ
ギターのボトルネック奏法の練習フレーズを教則本などにも掲載されているような簡単なパターンでいくつかご用意しました。
楽譜やTAB譜(タブ譜)上でボトルネック奏法は「Bottle Neck」という記号で表記され、スライドさせるときは「S」や「⌒(タイ)」で表記されていることが多いです。
ただ、楽譜によっては「Bottle Neck」という指示がない場合もありますので、実際の音を聴いて判断してください。
練習フレーズ1:ボトルネック奏法の基本をマスターする
まずはボトルネック奏法の基本をマスターするための練習フレーズです。
ここではイギリスのロックバンド「ディープ・パープル」の楽曲から名曲である「「スモーク・オン・ザ・ウォーター(Smoke on the Water) 」をボトルネック奏法にアレンジしたものです。
原曲は音をスタッカートに演奏しているのがかっこいいのですが、ボトルネック奏法で演奏してみると、また違った雰囲気を感じ取れるかと思います。
練習フレーズ2:ボトルネック奏法でギターソロを弾こう
次にボトルネック奏法で実際にギターソロを弾いてみる練習フレーズです。
ここでは、国民的ロックバンドである「Mr.Children(ミスチル)」の楽曲から名曲である「名もなき詩」のギターソロをボトルネック奏法で弾かれているのでご紹介させていただきます。
初心者にはかなり難しいかもしれませんが、是非、チャレンジしてみてください。
ギターのボトルネック奏法が上手くできないときに見直すポイント
ギターのボトルネック奏法が上手くできない時に見直すポイントをいくつかご紹介します。
ボトルネック奏法で音がうまく伸びない
ボトルネック奏法で音がうまく伸びない原因の多くは、しっかりとスライドバーで弦を押さえられていない場合があります。
上記の画像では弦には触れているものの、しっかりと弦は押さえられていないので、スライドバーで少し弦がたわむくらい、かつ、弦がフレットに触れないような力加減を身につけましょう。
ボトルネック奏法でピッキングしてもプツプツして音が出ない
ボトルネック奏法でピッキングしてもプツプツして音が出ない原因の多くは、スライドバー以外の指が弦に触れている場合があります。
ギターのボディ側だけでなくヘッド側に指が触れていても音が鳴りませんので、上記のようにスライドバー以外は弦に触れないようにしましょう。
まとめ
ギターのボトルネック奏法のやり方についてを解説してきましたが、いかがだったでしょうか。
ボトルネック奏法をマスターすると、通常のピッキングや押弦して弾くフレーズなど一味違った独特のギターフレーズを演奏することができます。
この機会にぜひボトルネック奏法の基本を習得してください。
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