ギターのチューニングはレギュラーチューニングが基盤となっていますが、様々なチューニングがギターに応用されて種類も豊富になっています。
ダウンチューニングやドロップチューニングをはじめ、特殊なオープンチューニングや民族的な響きの変則チューニングなど一覧でまとめました。
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ギターのダウンチューニングとドロップチューニングの種類
まず、ギターで使用することの多いダウンチューニングとドロップチューニングの一覧です。
ダウンチューニングは音程を下げることにより弦の張り(テンション)が下がるため、音程を下げすぎると弦がダルンダルンの状態になってまともな音が鳴らなくなります。
通常のダウンチューニングは2音下げチューニングぐらいまでが限界ですが、弦のゲージをかなり太くして4音半下げ(Gチューニング)まで挑戦しているギタリストもいます。
しかし、2音半下げチューニング(Bチューニング)以上下げる場合は、7弦ギターを使って7弦のB(シ)の音を利用したほうが良いでしょう。
レギュラーチューニング/ドロップDチューニング
まず、ギターのチューニングの基準となるレギュラーチューニング(Regular tuning)ですが、6弦から順番に「EADGBE」となります。
レギュラーチューニング
- 6弦:E(ミ)
- 5弦:A(ラ)
- 4弦:D(レ)
- 3弦:G(ソ)
- 2弦:B(シ)
- 1弦:E(ミ)
ドロップDチューニングは6弦の「E(ミ)」を1音下げて「D(レ)」の音にし、6弦から順番に「DADGBE」となります。
半音下げチューニング/ドロップC#チューニング
半音下げチューニング(Half Step Down Tuning:ハーフステップダウン)はレギュラーチューニングから全弦半音下げ、6弦から順番に「E♭A♭D♭G♭B♭E♭(D#G#C#F#A#D#)」となります。
半音下げチューニング
- 6弦:E♭(ミ♭)/D#(レ#)
- 5弦:A♭(ラ♭)/G#(ソ#)
- 4弦:D♭(レ♭)/C#(ド#)
- 3弦:G♭(ソ♭)/F#(ファ#)
- 2弦:B♭(シ♭)/A#(ラ#)
- 1弦:E♭(ミ♭)/D#(レ#)
ドロップC#チューニングは、6弦の「E♭(ミ♭)またはD#(レ#)」を1音下げて「D♭(レ♭)またはC#(ド#)」の音にし、6弦から順番に「D♭A♭D♭G♭B♭E♭(C#G#C#F#A#D#)」となります。
1音下げチューニング/ドロップCチューニング
1音下げチューニング(Whole Step Down Tuning:ホールステップダウン)はレギュラーチューニングから全弦1音下げ、6弦から順番に「DGCFAD」となります。
1音下げチューニング
- 6弦:D(レ)
- 5弦:G(ソ)
- 4弦:C(ド)
- 3弦:F(ファ)
- 2弦:A(ラ)
- 1弦:D(レ)
ドロップCチューニングは、6弦の「D(レ)」を1音下げて「C(ド)」の音にし、6弦から順番に「CGCFAD」となります。
1音半下げチューニング/ドロップBチューニング
1音半下げチューニングはレギュラーチューニングから全弦1音半下げ、6弦から順番に「C#F#BEG#C#(D♭G♭BEA♭D♭)」となります。
1音半下げチューニング
- 6弦:C#(ド#)/D♭(レ♭)
- 5弦:F#(ファ#)/G♭(ソ♭)
- 4弦:B(シ)
- 3弦:E(ミ)
- 2弦:G#(ソ#)/A♭(ラ♭)
- 1弦:C#(ド#)/D♭(レ♭)
ドロップBチューニングは、6弦の「C#(ド#)またはD♭(レ♭)」を1音下げて「B(シ)」の音にし、6弦から順番に「BF#BEG#C#(BG♭BEA♭D♭」となります。
2音下げチューニング/ドロップB♭チューニング
2音下げチューニングはレギュラーチューニングから全弦2音下げ、6弦から順番に「CFA#D#GC(CFB♭E♭GC)」となります。
2音下げチューニング
- 6弦:C(ド)
- 5弦:F(ファ)
- 4弦:A#(ラ#)/B♭(シ♭)
- 3弦:D#(レ#)/E♭(ミ♭)
- 2弦:G(ソ)
- 1弦:C(ド)
ドロップB♭チューニングは、6弦の「C(ド)」を1音下げて「B♭(シ♭)またはA#(ラ#)」の音にし、6弦から順番に「A#FA#D#GC(B♭FB♭E♭GC)」となります。
2音半下げチューニング/ドロップAチューニング
2音半下げチューニング(Low B チューニング)はレギュラーチューニングから全弦2音半下げ、6弦から順番に「BEADF#B(BEADG♭B)」となります。
2音半下げチューニング
- 6弦:B(シ)
- 5弦:E(ミ)
- 4弦:A(ラ)
- 3弦:D(レ)
- 2弦:F#(ファ#)/G♭(ソ♭)
- 1弦:B(シ)
ドロップAチューニングは、6弦の「B(シ)」を1音下げて「A(ラ)」の音にし、6弦から順番に「AEADF#B(AEADG♭B)」となります。
3音下げチューニング/ドロップA♭チューニング
3音下げチューニングはレギュラーチューニングから全弦3音下げ、6弦から順番に「A#D#G#C#FA#(B♭E♭A♭D♭FB♭)」となります。
3音下げチューニング
- 6弦:A#(ラ#)/B♭(シ♭)
- 5弦:D#(レ#)/E♭(ミ♭)
- 4弦:G#(ソ#)/A♭(ラ♭)
- 3弦:C#(ド#)/D♭(レ♭)
- 2弦:F(ファ)
- 1弦:A#(ラ#)/B♭(シ♭)
ドロップA♭チューニングは、6弦の「A#(ラ#)またはB♭(シ♭)」を1音下げて「A♭(ラ♭)またはG#(ソ#)」の音にし、6弦から順番に「G#D#G#C#FA#(A♭E♭A♭D♭FB♭)」となります。
特殊なオープンチューニングの種類
オープンコードは開放弦を鳴らすとメジャーコードになるものとマイナーコードになるものがあります。
メジャー系のオープンコードはロックやブルースと相性が良いことやボトルネック奏法とも相性が良く、多くのギタリストに使用されています。
マイナー系のオープンコードはメジャー系のオープンチューニングに比べると、かなりマニアックなチューニングではありますが、マイナーペンタトニックスケールと相性が良いこともあって好んで使用するギタリストもいます。
オープンGチューニング
オープンGチューニングはレギュラーチューニングを基準に6弦5弦1弦を1音下げ「DGDGBD」となります。
オープンGチューニング
- 6弦:D(レ)※1音下げ
- 5弦:G(ソ)※1音下げ
- 4弦:D(レ)
- 3弦:G(ソ)
- 2弦:B(シ)
- 1弦:D(レ)※1音下げ
オープンGチューニングは、「Spanish Tuning」や「Taro Patch Tuning」とも呼ばれており、クラシックピアノなどをギターに置き換える時に重宝するチューニングとされています。
オープンAチューニング
オープンAチューニングはレギュラーチューニングを基準に4弦3弦2弦を1音上げ「EAEAC#E」となります。
オープンAチューニング
- 6弦:E(ミ)
- 5弦:A(ラ)
- 4弦:E(ミ)※1音上げ
- 3弦:ラ(ラ)※1音上げ
- 2弦:C#(ド#)※1音上げ
- 1弦:E(ミ)
オープンAチューニングは、オープンGチューニングを全弦1音上げたチューニングです。
オープンDチューニング
オープンDチューニングはレギュラーチューニングを基準に6弦2弦1弦を1音下げ、3弦を半音上げ「DADF#AD」となります。
オープンDチューニング
- 6弦:D(レ)※1音下げ
- 5弦:A(ラ)
- 4弦:D(レ)
- 3弦:F#(ファ#)※半音下げ
- 2弦:A(ラ)※1音下げ
- 1弦:D(レ)※1音下げ
オープンDチューニングは、「セバストポールチューニング」や「ベスタポールチューニング」とも呼ばれており、19世紀からの歴史があるチューニングで、歴史あるブルースギタリストが愛用されていました。
また、3弦を半音上げれば「DADGADチューニング」、一音下げれば「DADEADチューニング」になりますので、応用範囲も広いチューニングです。
オープンEチューニング
オープンEチューニングはレギュラーチューニングを基準に5弦4弦を1音上げ、3弦を半音上げ「EBEG#BE」となります。
オープンEチューニング
- 6弦:E(ミ)
- 5弦:B(シ)※1音上げ
- 4弦:E(ミ)※1音上げ
- 3弦:G#(ソ#)※半音上げ
- 2弦:B(シ)
- 1弦:E(ミ)
オープンEチューニングは開放弦でEメジャーコードの和音が鳴るので、ブルース系などで使いやすいチューニングです。
オープンGmチューニング
オープンGmチューニングはレギュラーチューニングを基準に6弦5弦1弦を1音下げ、2弦を半音下げ「DGDGBbD」となります。
オープンGmチューニング
- 6弦:D(レ)※1音下げ
- 5弦:G(ソ)※1音下げ
- 4弦:D(レ)
- 3弦:G(ソ)
- 2弦:B♭(シ♭)※半音下げ
- 1弦:D(レ)※1音下げ
オープンGチューニングから2弦を半音下げることでマイナー系にすることができ、開放弦を全て弾くと「Gm」が鳴ります。
オープンAmチューニング
オープンGmチューニングはレギュラーチューニングを基準に4弦3弦を1音上げ、2弦を半音上げ「EAEACE」となります。
オープンAmチューニング
- 6弦:E(ミ)
- 5弦:A(ラ)
- 4弦:E(ミ)※1音上げ
- 3弦:A(ラ)※1音上げ
- 2弦:C(ド)※半音上げ
- 1弦:E(ミ)
オープンAチューニングから2弦を半音下げる、またはオープンGmチューニングから全弦1音ずつ上げたチューニングで、開放弦全てを弾くと「Am」が鳴ります。
オープンEmチューニング
オープンEmチューニングはレギュラーチューニングを基準に5弦4弦を1音上げ「EBEGBE」となります。
オープンEmチューニング
- 6弦:E(ミ)
- 5弦:B(シ)※1音上げ
- 4弦:E(ミ)※1音上げ
- 3弦:G(ソ)
- 2弦:B(シ)
- 1弦:E(ミ)
オープンEチューニングから2弦を半音下げる、またはオープンDmチューニングから全弦1音ずつ上げたチューニングで、開放弦全てを弾くと「Em」が鳴ります。
オープンDmチューニング
オープンDmチューニングはレギュラーチューニングを基準に6弦3弦2弦1弦を1音下げ「DADFAD」となります。
オープンDmチューニング
- 6弦:D(レ)※1音下げ
- 5弦:A(ラ)
- 4弦:D(レ)
- 3弦:F(ファ)※1音下げ
- 2弦:A(ラ)※1音下げ
- 1弦:D(レ)※1音下げ
オープンDチューニングから2弦を半音下げる、またはオープンEmチューニングから全弦1音ずつ下げたチューニングで、開放弦全てを弾くと「Dm」が鳴ります。
変則チューニングの種類
ギターのレギュラーチューニングは、イタリアやスペインで発展していった過程で完成されたものです。
反対に変則チューニングは、様々な文化や楽器で完成されたチューニングをギターに転用したものが多数存在し、独特の響きからソロギターなどでも愛用しているギタリストも多くいます。
DADGAD(ダドガド)チューニング
DADGADチューニングは、レギュラーチューニングから6弦2弦1弦を1音下げ「DADGAD」となり、ダドガドチューニングとも呼ばれています。
DADGADチューニング
- 6弦:D(レ)※1音下げ
- 5弦:A(ラ)
- 4弦:D(レ)
- 3弦:G(ソ)
- 2弦:A(ラ)※1音下げ
- 1弦:D(レ)※1音下げ
開放弦を全て鳴らすとDsus4が響き、アイリッシュ系のサウンドの要となっており、ソロギターで多くのギタリストが愛用しています。
DADEAD(ダデッド)チューニング
DADEADチューニングは、レギュラーチューニングから6弦2弦1弦を1音下げ、3弦を1音半下げ「DADDAD」となり、ダデッドチューニングとも呼ばれています。
DADEADチューニング
- 6弦:D(レ)※1音下げ
- 5弦:A(ラ)
- 4弦:D(レ)
- 3弦:E(ミ)※1音半下げ
- 2弦:A(ラ)※1音下げ
- 1弦:D(レ)※1音下げ
開放弦を全て鳴らすとD(9)が響き、キーDが最も演奏しやすいですが、マイナーキーでも使用できるのが大きな特徴です。
DGDGCDチューニング/オープンGsus4チューニング
DGDGCDチューニングは、レギュラーチューニングから6弦4弦1弦を1音下げ、2弦を音半下げ「DGDGCD」となり、オープンGsus4チューニングとも呼ばれています。
DGDGCDチューニング
- 6弦:D(レ)※1音下げ
- 5弦:G(ソ)※1音下げ
- 4弦:D(レ)
- 3弦:G(ソ)
- 2弦:C(ド)※半音上げ
- 1弦:D(レ)※1音下げ
開放弦を全て鳴らすGsus4が響きますが、DADGADチューニングの開放弦でDsus4が響くサウンドと同様に、アイリッシュ系のサウンドで透明感のあるチューニングです。
DGDGADチューニング
DGDGADチューニングは、レギュラーチューニングから6弦5弦2弦1弦を1音下げ「DGDGAD」となります。
DGDGADチューニング
- 6弦:D(レ)※1音下げ
- 5弦:G(ソ)※1音下げ
- 4弦:D(レ)
- 3弦:G(ソ)
- 2弦:A(ラ)※1音下げ
- 1弦:D(レ)※1音下げ
DADGADに対するDADEADのような立ち位置にあるチューニングとされており、キーはGを基調として考えることが多いですが、メジャーキーでもマイナーキーでも使用することができます。
GBDGBDチューニング/Gチューニング
GBDGBDチューニングは、レギュラーチューニングから6弦を1音半下げ、5弦を1音上げ、1弦を1音下げ「GBDGBD」となり、Gチューニングとも呼ばれてます。
GBDGBDチューニング
- 6弦:G(ソ)※1音半上げ
- 5弦:B(シ)※1音上げ
- 4弦:D(レ)
- 3弦:G(ソ)
- 2弦:B(シ)
- 1弦:D(レ)※1音下げ
開放弦を全部鳴らすとGメジャーが鳴ることから「Gチューニング」とも言われますが、オープンGチューニングとは区別されています。
ナッシュビルチューニング
ナッシュビルチューニングは、構成音はレギュラーチューニング「EADGBE」と変わりませんが、3弦から6弦を1オクターブ上げたチューニングになります。
GBDGBDチューニング
- 6弦:E(ミ)※1音オクターブ上
- 5弦:A(ラ)※1音オクターブ上
- 4弦:D(レ)※1音オクターブ上
- 3弦:G(ソ)※1音オクターブ上
- 2弦:B(シ)
- 1弦:E(ミ)
通常のギターの弦ではテンションが上がりすぎて弦が切れてしまいますし、無理にしてもギターのネックを痛めてしまいますので、12弦ギターの細いほうの弦を使用することになります。
ギターのチューニングを上げたい場合はどうしたら良いか?
チューニングで「半音上げ・1音上げ(全音上げ)・2音上げ」などにしたいが、そのまま上げても問題ないか?という疑問をいただくことがあります。
ギターはレギュラーチューニングを基盤に考えられていますので、チューニングを上げると弦のテンションが高くなるため、必然的にネックに負荷がかかってしまい、ネックを痛めてしまいます。
そのため、ギターのチューニングを全体的に上げたい場合は、カポタストを使用するようにしましょう。
まとめ
ギターのチューニングの種類についてご紹介してきましたが、いかがだったでしょうか。
ギターは弦楽器の特性を活かした様々なチューニングを応用することができるので、通常のレギュラーチューニングではできないフレージングも可能になってきます。
ギタープレイの幅を広げる意味でも、まずはどのような響きになるか体感してみるといいでしょう。
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