ギターの基本テクニックの一つであるスライドは、エレキギターはもちろん、アコースティックギター(アコギ)も含めて様々なフレーズで使われています。
かっこいいスライドを使ったフレーズも多いなか、ギター初心者で「音が途切れる」や「指が引っかかる」と悩んでしまって、スライドが難しいと思っている方も多いのではないでしょうか。
今回はスライドのやり方やコツ、練習フレーズなどを解説していき、スライドがうまくできない時に陥りやすい症状などの注意点をまとめました。
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ギターのスライドとは
ギターのスライドとは、押弦したまま指を滑らせるようにして、決まっているスタートの音から目的の音へ移動させて音程を滑らかに変えていくテクニックです。
始点と終点までの過程でスライドするスピードやタイミングをコントロールすることでフレーズに感情表現を与えることができます。
また、スライドバーを用いてスライドを行う場合は「ボトルネック奏法(スライド奏法)」と呼ばれています。
加えてギターフレーズでよくある「弦をスライドさせてギュイーンと音を鳴らす」場合は「グリッサンド(グリス)」と呼ばれるテクニックです。
スライドは始点と終点までの2音が決まっていますが、グリッサンド(グリス)は始点か終点のどちらかの音が決まっていない、もしくは始点と終点のどちらも決まっていない場合という違いがあります。
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ギターのスライドの左手のやり方
ギターのスライドの左手のやり方について、いくつかコツをご紹介します。
押弦時の指の力加減を維持する
スライドしている最中も押弦し続けることで音が途切れることなくスライドさせることができます。
スライドの途中で押弦する力を強くしたり弱くしたりすると、ピッチがずれたり弦が上下にずれたりしますので、スライド前に押弦した力加減と同じ負荷をキープすることがコツです。
左手のフォームを崩さない
スライドするときは左手のフォームを崩さないことが大切です。
押弦している指の向きと第一関節・第二関節の角度をできるだけ維持しながらスライドさせることで、スライド後も適切なフィンガリングフォームでフレーズを弾くことができます。
スライドの途中で押弦している指の向きが変わってしまうと弦が上下にずれやすくなり、音が途切れる原因となりますので、できるだけ左手のフォームを崩さないのがコツです。
余弦ミュート
スライドさせるときは余弦ミュートをすることが大切です。
押弦している一つ上の低音弦を指の腹でミュートしながらスライドをします。
高音弦などは人差し指などで軽く触れてミュートすることで、スライドさせたときにノイズが鳴ることを防ぐことができます。
親指の位置は固定と移動を使い分ける
スライドするときはフレーズによって親指の位置を固定と移動を使い分けるのがコツです。
スライドで親指の位置を固定させる場合
スライドで親指の位置を固定させる場合は、「スライドの幅が小さいとき」と「スライド前のポジションを軸にフレーズを弾くとき」におすすめです。
1~2フレットだけのスライドであれば親指を固定させたままのほうが弾きやすく、左手のフォームも維持しやすいため、スムーズなフィンガリングが可能です。
また、スライド前のポジションを軸にフレーズを弾くときは、スライドで親指を固定させたほうがスムーズなフィンガリングになります。
スライドで親指の位置を移動させる場合
スライドで親指の位置を固定させる場合は、「スライドの幅が大きいとき」と「スライド後のポジションを軸にフレーズを弾くとき」におすすめです。
1~2フレットだけのスライドであれば親指を固定させままでも弾きやすいですが、3フレット以上となると親指を固定したままでは左手のフォームを維持できません。
また、スライド後のポジションを軸にフレーズを弾くときは、スライドで親指の位置も移動させたほうがスムーズにフィンガリングをすることができます。
ギターのスライドの練習フレーズ
ギターのスライドの練習フレーズを教則本などにも掲載されているような簡単なパターンでいくつかご用意しました。
楽譜やTAB譜(タブ譜)上でハンマリングは「S」という記号で表記されています。
また、スライドを練習するときは歪み系や空間系などのエフェクターを使わずに、生音で練習するのがおすすめです。
練習フレーズ1:ペンタトニックスケールを使った単音スライド
まずはペンタトニックスケールを使った単音スライドの練習フレーズです。
前半は下から上へスライドさせながらスケールのボックスポジションを移動していき、後半上から下へすらスライドさせながらスケールのボックスポジションを移動していきます。
基本的なスライドの動きをマスターするために、左手のフォームが崩れないように意識しましょう。
練習フレーズ2:パワーコードを使ったスライド
パワーコード使ったスライドの練習フレーズです。
コード進行はシンプルなロック調である「Em→Em→C→D」となっていますが、イントロでもよくつかわれる拍の頭でパワーコードをスライドさせて音を鳴らすフレーズになっています。
親指の位置をどうすれば弾きやすいかを考えながら弾いていきましょう。
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練習フレーズ3:オクターブ奏法を使ったスライド
オクターブ奏法を使ったスライドの練習フレーズです。
コード進行は先ほどのパワーコードを使ったスライドの練習フレーズと同様で「Em→Em→C→D」となっています。
オクターブ奏法でスライドをしても左手のフォームを崩さないようにしつつ、余弦ミュートでノイズが鳴らないように弾きましょう。
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練習フレーズ4:スライドをしてポジションを移動する速弾きフレーズ
速弾きで定番のハンマリングとプリングを連続で組み合わせた高速フレーズです。
ピッキングをした後の左手は「ハンマリング→プリング→スライド」となり、上昇・下降を繰り返すフレーズになっており、スライドしながらポジションを移動しながら弾いていきます。
スライドさせたときに左手のフォームが崩れないように注意しましょう。
ギターのスライドが上手くできないときに見直すポイント
ギターのスライドが上手くできない時に見直すポイントをいくつかご紹介します。
スライドでノイズが鳴ってしまう
スライドでノイズが鳴ってしまう場合は、スライドさせた指が他の弦に当たってしまっている場合が多いです。
単音スライドの場合は第一関節を曲げて指を立てた状態で押弦することで、スライドさせた指が他の弦に当たることを防ぐことができます。
また、一つ上の低音弦はスライドさせる指の腹でミュート、高音弦は人差し指の腹など軽くミュートをするなど、余弦ミュートをすることがコツです。
スライドで音が途切れる
スライドで音が途切れる場合は、指の形を維持できていないことが原因になっている場合が多いです。
指の向きが変わってしまうことで、「弦が上下にずれて弦の摩擦で音が途切れる」「弦を押さえている指の力が弱まり、弦が少しでも浮いてしまって音が途切れる」ことになります。
押弦している指の向きと第一関節・第二関節の角度をできるだけ維持しながらスライドさせることが大切です。
また、ギターの弦高が高すぎるという場合も考えられますので、弦高が「エレキギター:6弦側2.2mm/1弦側1.8mm」「アコースティックギター:6弦側2.5㎜、1弦側2.0mm」より高い場合は弦高調整することをおすすめします。
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スライドするときに指が痛い
スライドするときに指が痛い場合は、全般的に力を入れ過ぎていることが原因になっていることがあります。
また、力を入れすぎていることによってチューニングは合っているのにスライドするときにピッチが上がってしまいます。
フィンガリングの基本である「押弦する力は必要最小限」を意識しながら、スライドするときは弦を押さえている指の力加減をそのままキープすることが大切です。
スライドで指が引っかかる
スライドで指が引っかかる場合は弦が錆びている場合が多いです。
弦が錆びているとスライドさせたときに指が引っかかり、思ったようにスライドできず滑らないといった原因になりますし、弦が錆びていることによって指が切れることがあります。
弦が錆びる前に弦交換をする必要がありますが、代わりに錆びにくいコーティング弦を使用するか、フィンガーイーズという指板潤滑剤を弦に吹きかけることで指の滑りが良くするなどがおすすめです。
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まとめ
ギターのスライドのやり方についてを解説してきましたが、いかがだったでしょうか。
スライドをマスターすると、滑らかに音を繋げるレガート奏法や、ポジションをスムーズに移動させて音程差のあるフレーズも弾けるようになります。
この機会にぜひスライドの基本を習得してください。
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