スウィープピッキングはギターの中で非常に難易度の高い高度なテクニックの一つで、現代ではエレキギターやアコースティックギター(アコギ)はもちろん、ベースなどにも使われています。
複雑なフレーズや速弾きするにも欠かせないテクニックとなりつつありますが、ギター初心者で苦戦していて難しいと苦手意識を感じている方も多いのではないでしょうか。
そこで今回はスウィープピッキングのやり方やコツ、練習フレーズなどを解説していき、スウィープピッキングがうまくできない時に陥りやすい症状などの注意点をまとめました。
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目次
ギターのスウィープピッキングとは
ギターのスウィープピッキングとは、ダウンピッキングもしくはアップピングを連続して行うテクニックで、スウィープ奏法とも呼ばれています。(通常は略してスウィープと呼ばれます。)
スウィープピッキングを英語で訳すと「Sweep-picking」となり、スウィープは「掃く」と言う意味ですが、複数の弦をまたぐフレーズを掃くようにピッキングする動作を行うことからこの名前が着きました。
特に分散和音を旋律とする場合は「ブロークン・コード」と呼ばれ、スウィープ奏法で用いられるフレーズもコードトーンを基本に構成されていることが多いです。
また、アルペジオ奏法は鳴らした音をミュートさせず、最終的には和音となりますが、スウィープ奏法は分散和音の場合でも1音1音を鳴らした後、ミュートすることで音粒をはっきりさせるという違いがあります。
ハードロックやメタルなどのジャンルでギタリストが速弾きで使用するイメージが強いスィープ奏法ですが、ジャズやポップスなど様々なジャンルで使用されているテクニックです。
そのため、音作りも歪みをつかったドライブサウンドだけでなく、クリーントーンでもスィープ奏法を行うフレーズが多々あります。
また、スィープ奏法と合わせてよく使用されるテクニックに、オルタネイトピッキングから派生的したテクニックである「エコノミーピッキング」があります。
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ギターのスウィープピッキングの左手のやり方
ギターのスウィープピッキングの左手のやり方のコツを解説します。
鳴らしたい弦のみ押弦する
左手のフィンガリングは鳴らしたい弦のみ押弦して、1音1音しっかりと音を分離させます。
例えば3弦14フレットを鳴らした後、2弦14フレットをスウィープピッキングするときに3弦15フレットを押弦したままだと音は重なってしまいますので、3弦15フレットは指を離してミュートします。(ジョイントという異弦同フレットのフレーズも同様です。)
効果的な練習方法として、まずは正しいフィンガリングフォームで左手のハンマリングだけで音を鳴らす練習をするのがおすすめです。
ギターのスウィープピッキングの右手のやり方
ギターのスウィープピッキングの右手のやり方のコツは大きく3つあります。
ピックの角度は平行気味のピックアングル
まず、ピックの角度は平行気味のピックアングルで弾きます。
過度な順アングルや逆アングルになっている場合、スィープピッキングしやすく感じますが、ピッキングしたときに弦を擦っているような音になってしまいます。
そのため、ピックの角度は平行気味のピックアングルを意識しましょう。
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ピッキングは弦に押し付けるようにする
スィープ奏法のピッキングは少し特殊ですが、スィープピッキングは隣の弦に押し付けるように弾きます。
専門用語で「アポヤンド」というテクニックですが、隣の弦に押し付けるように弾くことで次の弦でピッキングを止めることができ、アップピッキング(ダウンピッキング)をスムーズに省略することができます。
ピッキングした弦は右手の手刀部分でミュートする
スウィープ奏法は音と音を分離させないといけませんので、1回弾いた弦の音が鳴らないように右手の手刀部分を使ってミュートしていきます。
こうすることでフィンガリングする左手が離れても不要なノイズが鳴らずにすみ、1音1音をしっかりと分離させることができます。
ギターのスウィープピッキングの練習フレーズ
ギターのスウィープピッキングの練習フレーズを教則本などにも掲載されているような簡単なパターンでいくつかご用意しました。
スウィープピッキングに慣れるまでは、まずは左手のフィンガリングだけで練習していき、そこから右手を合わせるような形でフレーズを弾くという練習方法がおすすめです。
練習フレーズ1:2弦スィープで基本的な動作に慣れる
まずはスィープピッキングの基本的な動作になれるために2弦スウィープで行う練習フレーズです。
コード進行は「Em→C→D→B」という基本的コード進行ですが、Bメジャーの部分がセカンダリードミナントとなっていて緊張感のあるフレーズになっています。
まずは「ダウンピッキング→ダウンピッキング」、「アップピッキング→アップピッキング」という連続したピッキング動作に慣れていきましょう。
練習フレーズ2:3弦スィープにプリング・オフを組み合わせる
次に3弦スィープのフレーズでよく使用されるマイナーコードとメジャーコードの基本的な練習フレーズです。
3連符のリズムを意識しながらも途中でプリングが入りますので、リズムがぶれないように意識して弾きましょう。
練習フレーズ3:コードトーンを活かした4弦スィープ
次にコードトーンを活かした4弦スィープの練習フレーズです。
コード進行は「A→B→C#m→C#m」と簡単ではありますが、C#mのところで2種類に4弦スィープの違ったパターンが盛り込まれています。
コードフォームは1種類ではなく、「CAGEDシステム(ケイジドシステム)」と呼ばれる5つのポジションでコードフォームをとらえたり、トライアドで構成音の配置を変えたりすることで何種類にも増えます。
練習フレーズ4:ダイナミックな5弦スィープ
最後にダイナミックな5弦スィープの練習フレーズです。
スウィープする弦が多いのでかなり難易度が高いフレーズで、ハンマリングとプリングを組み合わせたダイナミックなスィープフレーズになっています。
また、マイナーコードとメジャーコードのスィープもそれぞれ盛り込まれているので、初めはゆっくりとしたテンポから初めて、音をしっかりと分離させていきましょう
ギターのスウィープピッキングがうまくできない時に見直すポイント
ギターのスウィープピッキングが上手くできない時に陥りがちなポイントをいくつかまとめました。
左手のフィンガリングと右手のピッキングのタイミングが合わない
スウィープ奏法では右手のピッキングに意識がいきすぎて左手のフィンガリングの意識が薄れているギタリストが多く見受けられます。
右手ばかり気にかけてしまうと音の輪郭がはっきりとしない音になってしまったり、リズムが走りがちにもなります。
どちらかというと、左手のフィンガリングに合わせて右手でスウィープピッキングをするという意識が大切です。
スウィープをするとノイズがなってしまう
スウィープでノイズが鳴ってしまう原因は、押さえている指を弦から離した場合があります。
押さえている指を弦から離した場合は左手のフィンガリングによるものですが、移動が激しいフレーズの場合は1つひとつ左手でミュートすることは困難になります。
そのため、ピッキングするときは先に鳴らした音を右手の手刀部分でミュートしていくことによって、左手のフィンガリングノイズを鳴らさないようにし、1つ1つの音を分離させていくことができます。
まとめ
ギターのスィープピッキングについて解説してきましたが、いかがだったでしょうか。
スィープピッキングはギターのテクニックの中でも難易度の高い高度な演奏方法ですが、マスターすることでコードトーンを意識したダイナミックなフレージングが可能になります。
また、速弾きだけでなく、ジャズなども良くつかわれるレガートフレーズ(滑らかに聴こえるフレーズ)にも対応することができるので、演奏の幅を格段に広げることができます。
スウィープピッキングは難しいかもしれませんが、ひたすら音を分離させる感覚の練習が大事なので、地道にチャレンジしてみてください。
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