エレキギターやベース、キーボードなどの楽器の出力を直接ミキサーに入力できるようにするためのダイレクトボックスは、レコーディングやPAシステムには欠かせない機材です。
現代では技術の発達により様々なメーカーから多種多様な特徴や機能を持つエフェクターが販売されているため、選択肢が広く自分の求めている理想のサウンドはあるものの選び方に悩むことも多いかと思います。
そこで今回は、ギターエフェクターのダイレクトボックスの使い方について解説していき、おすすめの人気機種や定番機種などを厳選してご紹介していきます。
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目次
ギターエフェクターのダイレクトボックスとは
ギターの「ダイレクトボックス(Direct box)」とは、ギターやベースなどのライン接続機器を直接ミキサーに入力できるようにするためのエフェクターを意味します。
正式名称は「ダイレクト・インジェクション・ボックス(Direct Injection Box)」ですが、通称は「ダイレクトボックス(Direct box)」や「ディーアイ(DI)」と省略して呼ばれます。
インピーダンス変換により出力と入力のインピーダンスを合わせることで音質劣化を防ぎ、信号バランシングによりノイズに弱いアンバランス接続からノイズに強いバランス接続に変換することができます。
エレキギターやエレアコ、ベースなどの楽器をライブでダイレクトボックスから直接ミキサーへライン入力することができたり、DTMでレコーディングや宅録などDAWにダイレクトボックスから直接ライン録音することができます。
ギターエフェクターのダイレクトボックスの種類
ダイレクトボックスは大きく分けて「パッシブタイプ」「アクティブタイプ」の2種類があります。
アクティブタイプの特徴
アクティブタイプは、電源を必要とするタイプのダイレクトボックスです。
信号レベルの減衰させることなく十分なローインピーダンスへ変換することができるため、パッシブタイプの入力インピーダンスの低い楽器に使用されます。
9V電池やミキサー等からファンタム電源の供給が必要となりますが、入力段にFETなどのトランジスタを搭載しているため、プリアンプのような効果と安定性を得られます。
パッシブタイプの特徴
パッシブタイプは、電源を必要としないタイプのダイレクトボックスです。
信号レベルの減衰が発生して十分なローインピーダンスへ変換することができないため、アクティブタイプの入力インピーダンスの高い楽器に使用されます。
極端に出力インピーダンスの高い楽器には性能を十分に発揮できない場合もありますが、トランスを内蔵しただけのシンプルな構造なため、ナチュラルなサウンドが魅力です。
ギターエフェクターのダイレクトボックスの接続順
ギターエフェクターのダイレクトボックスをつなぐ順番について、エレアコとエレキギターの場合を説明しておきます。
ダイレクトボックスにエレアコを接続する場合
ダイレクトボックスにエレアコを接続する場合です。
ライブなどでエレアコをミキサーに直接ライン入力したい場合は、ギター本体のアウトプットから直接ダイレクトボックスへ接続するのが一般的です。
DTMでレコーディングや宅録などでエレアコをDAWに直接ライン入力したい場合は、ギター本体のアウトプットからダイレクトボックスのインプットへ接続し、ダイレクトボックスのアウトプットからオーディオインターフェイスに接続します。
ダイレクトボックスにエレキギターを接続する場合
ダイレクトボックスにエレキギターを接続する場合です。
ライブなどでエレキギターをミキサーに直接ライン入力したい場合は、アンプのプリアンプからダイレクトボックスのインプットへ接続、ダイレクトボックスのスルーアウトからパワーアンプへ接続、ダイレクトボックスのアウトプットからミキサーへ接続するのが一般的です。
DTMでレコーディングや宅録などでエレキギターをDAWに直接ライン入力したい場合は、ギター本体のアウトプットからダイレクトボックスのインプットへ接続し、ダイレクトボックスのアウトプットからオーディオインターフェイスに接続します。
ギターエフェクターのダイレクトボックスの使い方
ダイレクトボックスは目的に合わせて幅広い使い方ができるエフェクターの一つです。
ギタリストによっては目的に合わせてダイレクトボックスの使い方はいくつかあるため、代表的なダイレクトボックスの使い方をご紹介していきます。
ライブでエレアコをライン入力するためにダイレクトボックスを使用する使い方
ライブでエレアコをライン入力するためにダイレクトボックスを使用する使い方です。
エレアコから直接ダイレクトボックスのインプットへ接続し、ダイレクトボックスのアウトプットからミキサーへ接続することでミキサーへライン入力することができます。
自分の弾いている音をモニタリングしたい場合は、ダイレクトボックスのスルーアウトからアンプへ接続して音を鳴らすか、ミキサーからフロアモニタースピーカーに音を返してもらうようにします。
ライブでエレキギターをライン入力するためにダイレクトボックスを使用する使い方
ライブでエレキギターをライン入力するためにダイレクトボックスを使用する使い方です。
アンプのプリアンプからダイレクトボックスのインプットへ接続し、ダイレクトボックスのアウトプットからミキサーへ接続することでミキサーへライン入力することができます。
自分の弾いている音をモニタリングしたい場合は、ダイレクトボックスのスルーアウトからパワーアンプへ接続して音を鳴らすか、ミキサーからフロアモニタースピーカーに音を返してもらうようにします。
DTMでレコーディングや宅録などギターをライン録音するためにダイレクトボックスを使用する使い方
DTMでレコーディングや宅録などギターをライン録音するためにダイレクトボックスを使用する使い方です。
エレアコやエレキギターから直接ダイレクトボックスのインプットへ接続し、ダイレクトボックスのアウトプットからオーディオインターフェイスへ接続することでDAWに直接ライン入力することができます。
このままではDAWに録音したギターは生音の状態ですが、ギターの音作りにアンプシミュレーターなどのプラグインを使用することにより、レコーディングした後からでもアンプのセッティングを自由に変更可能です。
ただし、オーディオインターフェイスにはギターやベースなどを直接接続するための入力モード「Hi-z/Line/Inst」が備えられていることが多いため、その場合はダイレクトのボックスは不要です。
ギターエフェクターのダイレクトボックスのおすすめ
ギターエフェクターのダイレクトボックスのなかでもすすめの人気機種や定番機種、名機などを厳選してご紹介していきます。
BOSS DI-1
定番中の定番と言っても過言ではないダイレクトボックスです。
アクティブ方式に加えて3段階のゲインセレクターがあるため、エレキギターやエレキベースだけでなく、あらゆる楽器を直接ダイレクトボックスに接続することができます。
また、オートパワーオフ、ファンタムパワー自動切換、グラウンドリフト機能など多彩な装備したプロ仕様の高性能アクティブダイレクトボックスです。
COUNTRYMAN TYPE85
レコーディングやライブハウスなど、あらゆる現場で活躍する世界的ベストセラーのダイレクトボックスです。
シングルエンドのクラスA回路に織り込まれた高品質ディスクリートパーツのみを使用しているため、コシのある低域とロスの少ない高域と立体感のある図太いトーンに定評があります。
また、一般的なアクティブダイレクトボックスとは異なり、ファンタム電源で動作している場合でも常にグランドを分離し、グランドの問題からハムやバズを除去するのに役立ちます。
「COUNTRYMAN TYPE85」はモノラル版ですが、ステレオ版のダイレクトボックスが欲しい場合は「COUNTRYMAN TYPE85S」がおすすめです。
COUNTRYMAN TYPE10
最新のテクノロジーを取り入れた新世代ダイレクトボックスです。
新開発のアナログ回路は音の歪みやノイズを最小限に抑制してくるだけでなく、他の追随を許さない高い再生精度を実現した優れた性能と高い耐久性を誇ります。
「COUNTRYMAN TYPE10」はモノラル版ですが、ステレオ版のダイレクトボックスが欲しい場合は「COUNTRYMAN TYPE10S」がおすすめです。
RADIAL JDI
パッシブタイプでシンプルで自然なサウンドのダイレクトボックスです。
スタジオ機器では定番のブランドのJensen製のトランスを使用しているため、フェイズディストーションなく10Hzから40kHzまでの幅広い周波数帯を色付けせずに出力する癖のないサウンドが特徴です。
「RADIAL JDI」はモノラル版ですが、ステレオ版のダイレクトボックスが欲しい場合は「RADIAL JDI Stereo」がおすすめです。
RADIAL J48
アクティブタイプで原音に忠実なサウンドのダイレクトボックスです。
48Vのファントム電源で動作するようにデザインされており、ハーモニックディストーション、位相の乱れ、内部干渉歪みなどなく20Hzから40kHzまでの幅広い周波数帯を正確に再生することができます。
「RADIAL J48」はモノラル版ですが、キーボードやデジタルピアノなどでダイレクトボックスを使用する場合にステレオ版が欲しい場合は「RADIAL J48 Stereo」がおすすめです。
RADIAL ProDI
コストパフォーマンスに優れたパッシブタイプのダイレクトボックスです。
ノイズを削減するカスタムメイドのアイソレーショントランスを採用しているため、幅広い周波数帯をナチュラルに再生してくれるため、落ち着いた丸い音に定評があります。
コンパクトながら高い耐久性を実現したコスパの良いダイレクトボックスです。
L.R.Baggs Para Acoustic D.I.
アコギ用プリアンプでベストセラーのダイレクトボックスです。
ダイレクトボックス機能に加えてエレアコの音を整えるプリアンプ機能が付いている機種であり、原音を忠実に増幅する立体感のあるナチュラルで太いサウンドが特徴です。
世界的に20年以上も売れ続けているため、エレアコ用プリアンプを探している方におすすめのダイレクトボックスです。
まとめ
ギターエフェクターのダイレクトボックスのおすすめについてご紹介してきましたが、いかがだったでしょうか。
ライブハウスやレコーディングスタジオではダイレクトボックスが準備されていることが多いですが、ライン入力を前提にシステムを構築したい場合はダイレクトボックスは欠かせない機材の一つです。
是非、自分の求めているサウンドを実現できるダイレクトボックスを見つけていきましょう。
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