ギターの周波数帯を自動的に変化させることができるオートワウ/エンベロープフィルターは、フィルター系エフェクターに分類されるエフェクターです。
ワウペダルのペダル操作では不可能なリズミカルなワウ効果は、カッティングと相性が良いのはもちろん、エフェクターの設定次第ではエグい掛かり方もできるため、飛び道具としても活用されています。
現代では技術の発達により様々なメーカーから多種多様な特徴や機能を持つエフェクターが販売されているため、選択肢が広く自分の求めている理想のサウンドはあるものの選び方に悩むことも多いかと思います。
そこで今回は、ギターエフェクターのオートワウ/エンベロープフィルターについて解説していき、人気機種や定番機種などを厳選してご紹介していきます。
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目次
ギターエフェクターのオートワウ/エンベロープフィルターとは
ギターの「オートワウ(AUTO WAH)」とは、入力された信号に対して反応し、「自動的にギターの周波数を変化させる」ことができるエフェクターを意味します。
また、時間的音量変化の効果を得られることから「エンベロープフィルター(ENVELOPE FILTER)」とも呼ばれたり、ピッキングの強さで効果が変化するタイプなどは「タッチワウ(TOUCH WAH)」とも呼ばれています。
ギター演奏においてワウペダルのペダル操作では不可能な、音量に同期した細かくリズミカルなワウ効果を得られることが特徴です。
曲中に意図した効果を得られやすい「ワウペダル(WAH PEDAL)」を使用するギタリストが多い傾向にありますが、「オートワウ(AUTO WAH)」でしか得られない独特のフィルター効果を好んで愛用しているギタリストも多いエフェクターです。
ギターエフェクターのオートワウ/エンベロープフィルターのつまみの意味と設定方法
オートワウ/エンベロープフィルターはエフェクターによってはつまみがたくさんある機種もありますが、基本的には「LEVEL/SENS/DECAY/PEAK/RANGE」の5つがあります。
オートワウ/エンベロープフィルターの「LEVEL(レベル)」のつまみの意味と設定方法
オートワウ/エンベロープフィルターの「LEVEL(レベル)」は、原音とエフェクト音の音量バランスを調節するためのつまみです。
また、「E.LEVEL(エフェクトレベル)」や「FX LEVEL(エフェクトレベル)」のほか、「BLEND(ブレンド)」、「MIX(ミックス)」と表記されていることもあります。
つまみを右に回せばエフェクト音の音量が上がり、左に回せばエフェクト音の音量が下がります。
オートワウ/エンベロープフィルターの「SENSITIVITY(センシティビティー)」のつまみの意味と設定方法
オートワウ/エンベロープフィルターの「SENSITIVITY(センシティビティー)」は、フィルターのかかり始めるレベルを調節するためのつまみです。
また、「SENS(センシティビティー)」や「RESPONSE(レスポンス」と表記されていることもあります。
つまみを右に回せばフィルターのかかり始めるレベルは高くなり、左に回せばフィルターのかかり始めるレベルは低くなります。
オートワウ/エンベロープフィルターの「DECAY(ディケイ)」のつまみの意味と設定方法
オートワウ/エンベロープフィルターの「DECAY(ディケイ)」は、フィルターの落下速度を調整するためのつまみです。
つまみを右に回せばフィルターの落下速度は速くなり、左に回せばフィルターの落下速度は遅くなります。
オートワウ/エンベロープフィルターの「PEAK(ピーク)」のつまみの意味と設定方法
オートワウ/エンベロープフィルターの「PEAK(ピーク)」は、フィルターの形を調整するためのつまみです。
また、「Q(キュー)」や「RESONANCE(レゾナンス)」と表記されていることもあります。
つまみを右に回せばフィルターの形は鋭く強調する範囲が狭くなり、左に回せばフィルターの形は鈍く強調する範囲が広くなります。
つまみを右に回せば高音域の帯域が強調され、左に回せば低音域の帯域が強調されます。
オートワウ/エンベロープフィルターの「RANGE(レンジ)」のつまみの意味と設定方法
オートワウ/エンベロープフィルターの「RANGE(レンジ)」は、フィルターがかかる周波数帯域を調整するためのつまみです。
また、「RANGE(レンジ)」や「FREQUENCY(フリクエンシー)」のほか、「BIAS(バイアス)」と表記されていることもあります。
つまみを右に回せば高音域の帯域が強調され、左に回せば低音域の帯域が強調されます。
ギターエフェクターのオートワウ/エンベロープフィルターの使い方
オートワウ/エンベロープフィルターは目的に合わせて幅広い使い方ができるエフェクターの一つです。
ギタリストによっては目的に合わせてオートワウ/エンベロープフィルターの使い方はいくつかあるため、代表的なオートワウ/エンベロープフィルターの使い方をご紹介していきます。
オートワウ/エンベロープフィルターとカッティングを組み合わせる使い方
定番のオートワウ/エンベロープフィルターとカッティングを組み合わせる使い方です。
ワウペダルとは異なるリズミカルなワウ効果を得られるのはもちろん、ペダルを足で操作する必要がないため、ギター演奏に集中することができます。
アルペジオなどにオートワウをかけても面白い効果が得られますが、エフェクターの設定次第ではワウペダルとは違うエグいエフェクト効果も得られるため、飛び道具としても使うことができます。
ギターエフェクターのオートワウ/エンベロープフィルターのおすすめ
ギターエフェクターのオートワウ/エンベロープフィルターのなかでも人気のある機種や定番とされている機種、名機などを厳選してご紹介していきます。
BOSS Dynamic Wah AW-3
BOSSの人気オートワウ「AW」シリーズの現行モデルです。
5つのモードを搭載しており、王道のワウサウンド、ペダル固定ワウサウンド、周期的に変化するオートワウ、ヒトの声のような効果、ギターシンセのような効果など幅広いサウンドメイクが可能です。
また、ギター用とベース用と独立したインプットを装備しており、エクスプレッションペダル端子を接続することでワウペダルとしても使用することができます。
MAD PROFESSOR Snow White Auto Wah
ピッキングに反応する高品質なオートワウです。
1981年にエフェクタービルダーの「BJF」によって開発されたラックマウントタイプのワウ回路を元に設計しており、4つのツマミによる追い込んだ音作りと高いトラッキング精度を誇ります。
いかにもフィルターがかったフィルターサウンドとは違い、ヴィンテージワウのようなクラシックなワウサウンドが特徴です。
Electro Harmonix Q-TRON
ギターだけでなくベースにも使えるエンベロープフィルターペダルです。
ピッキングの強弱によってエフェクト効果を変化させることができるマルチモードが特徴であり、MODEつまみで「ローパス/バンドパス/ハイパス/原音をエフェクト音のミックス」の4モードを選べます。
「RESPONCE/RANGE/PEAK」のつまみにより、ピッキングの強弱に対しての反応の調整、周波数帯の幅や強調する範囲などを調整することで幅広いサウンドメイクが可能です。
また、Q-Tron の機能にエフェクトループを搭載した「Electro Harmonix Q-TRON PLUS」や、小型化された「Electro Harmonix Micro Q-Tron」、ミニサイズの「Electro Harmonix NANO Q-Tron」もおすすめです。
One Control BUTTER YELLOW AUTO QUACK
ミニサイズのエンベロープフィルターです。
シンプルな3つのツマミである「BIAS/SENSITIVITY/DECAY」により、フィルターの開始位置やフィルターの応答性、フィルターのかかる長さを調整することができ、「BRIGHT/MELLOW」スイッチによってトーンを大きく変化させることができます。
バッキングやリードなど幅広く使うことができるのはもちろん、ギタリスト/ベーシスト両方が使うことができます。
DOD Envelope Filter 440
レッド・ホット・チリ・ペッパーのフリーが使用しベーシストの間でも人気の高かった名機エフェクター「DOD Envelope Filter 440」がリニューアルして再登場しました。
ピッキングの強弱にあわせて唸るようなサウンドから、ゆっくりとスウィープがかかる泣き出すようなサウンドまで個性的なサウンドを演出することができます。
また、フィルターのかかる方向を上下に指定することができる「up/down」切替スイッチを搭載しているため、エンベロープ効果やダブリングサンダー効果を生み出すことが可能です。
MAXON AF9
フォトカプラ回路を使用したヴィンテージスタイルのオートワウです。
太く存在感のあるヴィンテージサウンドが特徴であり、5つのツマミにより多彩なフィルタリングが可能となったエフェクターです。
また、フィルターのかかる周波数の帯域を調整することができる「RANGEスイッチ」を「LOW」にすることで、フィルターがかかる帯域を1オクターブ下げることができるため、7弦ギターやベースにも対応します。
EMMA DiscumBOBulator V2
アナログ回路のオートワウ/エンベロープ・フィルターです。
正確にトラッキングする高品位なフィルターが特徴であり、速いフレーズはもちろん、単音や和音にも完璧に対応しており、低音域から高音域まで正確にフィルターがかかります。
また、ヘッドルームが広いため、エレキギターだけでなくベースで使えるのはもちろん、高出力機器/ラインレベル機器/管楽器など様々な楽器に対応しているのでおすすめです。
JIM DUNLOP QZ1 Crybaby QZone
ワウ半止めのサウンドが得られる「JIM DUNLOP CSP030 Q ZONE AUTO WAH」の復刻版です。
ワウペダルの王道である「CRYBABY(クライベイビー)」のペダルを半分の位置で固定したサウンドを再現したエフェクターであり、3つのツマミで周波数帯、バンドシェイプ、ボリュームを調整できます。
「ワウ半止め状態」のサウンドを再現するというシンプルなエフェクターですが、フィルターの掛かり具合を調節することで独特のサウンドメイクが可能です。
まとめ
ギターエフェクターのオートワウ/エンベロープフィルターのおすすめについてご紹介してきましたが、いかがだったでしょうか。
どちらかというとギタリストは「ワウペダル(WAH PEDAL)」、ベーシストは「オートワウ(AUTO WAH)」を好む傾向にありますが、オートワウやエンベロープフィルターはワウペダルでは得られない様々な効果を作り出すことができます。
是非、自分の求めているサウンドを実現できるオートワウ/エンベロープフィルターを見つけていきましょう。
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