ギターの特定の周波数をブースト、またはカットすることができるイコライザーは、フィルター系エフェクターに分類されるエフェクターです。
歪み系エフェクターやモジュレーション系エフェクターなどに比べると効果はわかりづらいですが、イコライザーの設定によっては様々な使い方ができる奥が深いエフェクターです。
現代では技術の発達により様々なメーカーから多種多様な特徴や機能を持つエフェクターが販売されているため、選択肢が広く自分の求めている理想のサウンドはあるものの選び方に悩むことも多いかと思います。
そこで今回は、ギターエフェクターのイコライザーについて解説していき、人気機種や定番機種などを厳選してご紹介していきます。
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目次
ギターエフェクターのイコライザーとは
ギターの「イコライザー(EQUALIZER)」とは、特定の周波数帯域を強調したり、減少させることで全体的な音質の補正や積極的な音作りをすることができるエフェクターを意味します。
ギターアンプのイコライザーは3つ~4つ程度のツマミで「低音域/中音域/高音域」をざっくり音作りしていきますが、エフェクターのイコライザーを使用することでより細かい音作りができるようになります。
基本的には「音質調整・音質補正」のために使われることが多く、レコーディングなどではギターだけでなくあらゆる楽器の音質補正に使われます。
ギタリストにとって「最も基本的なエフェクター」でもあり、音質補正だけではなくブースターとしてはもちろん、積極的な音作りなどに使用するなど様々な使い方ができるエフェクターです。
ギターエフェクターのイコライザーの種類
イコライザーは大きく分けて「グラフィックイコライザー」「パラメトリックイコライザー」の2種類があります。
グラフィックイコライザーの特徴
グラフィックイコライザー(GRAPHIC EQUALIZER)は、可変できる特定の音域を「Hz(ヘルツ)」という単位に分割してカットやブーストすることができるイコライザーです。
周波数帯域が細かく設定されており、周波数ごとに細かく音量をコントロールすることができるため、感覚的なパラメトリックイコライザーと比べると理論的なイコライザーとも言えます。
バンドの数だけ細かく設定できるるのはもちろん、視覚的にブーストやカットの状態がわかりやすく、イコライジングを数値で理解できるのが特徴です。
パラメトリックイコライザーの特徴
パラメトリックイコライザー(PARAMETRIC EQUALIZER)は、可変できる特定の音域を「高音域(HIGH)/中高音域(HI-MID)/中音域(MID)/中低音域(LO-MID)/低音域(LOW)」という単位に分割してカットやブーストすることができるイコライザーです。
調整したい周波数帯域を指定して設定することができるため、理論的なグラフィックイコライザーと比べると感覚的なイコライザーとも言えます。
数値に縛られない耳による直感的な音作りが行えるのはもちろん、「周波数(FreQuency)」や「帯域幅(Q)」を使いこなすことでグラフィックイコライザーよりも細かい設定ができるのが特徴です。
ギターエフェクターのイコライザーのつまみの意味と設定方法
イコライザーはエフェクターによってはつまみがたくさんある機種もありますが、基本的には「LEVEL/Hz/Frequency/Q」の4つがあります。
イコライザーの「LEVEL(レベル)」のつまみの意味と設定方法
イコライザーの「LEVEL(レベル)」は、音量を調節をするためのつまみです。
また、「volume(ボリューム)」や「GAIN(ゲイン)」のほか、「BOOST(ブースト)」と書かれている場合もあります。
グラフィックイコライザーの場合はつまみを上に上げれば音量が上がり、下に下げれば音量が下がります。
パラメトリックイコライザーの場合はつまみを右に回せば音量が上がり、左に回せば音量が下がります。
イコライザーの「Hz(ヘルツ)」のつまみの意味と設定方法
イコライザーの「Hz(ヘルツ)」は、周波数帯域ごとの音量を調節をするためのつまみです。
グラフィックイコライザーの場合はつまみを上に上げれば周波数帯域の音量が上がり、下に下げれば周波数帯域の音量が下がります。
イコライザーの「Frequency(フリークエンシー)」のつまみの意味と設定方法
イコライザーの「Frequency(フリークエンシー)」は、ブースト/カットをする周波数帯域を調節をするためのつまみです。
また、「高音域(HIGH)/中高音域(HI-MID)/中音域(MID)/中低音域(LO-MID)/低音域(LOW)」と書かれている場合もあります。
パラメトリックイコライザーの場合はつまみを右に回せば指定する周波数帯域が高くなり、左に回せば指定する周波数帯域が低くなります。
イコライザーの「Q(キュー)」のつまみの意味と設定方法
イコライザーの「Q(キュー)」は、ブースト/カットをする周波数の幅を調節をするためのつまみです。
パラメトリックイコライザーの場合はつまみを右に回せば周波数の幅が狭くなり、左に回せば周波数の幅が広くなります。
ギターエフェクターのイコライザーの使い方
イコライザーは目的に合わせて幅広い使い方ができるエフェクターの一つです。
ギタリストによっては目的に合わせてイコライザーの使い方はいくつかあるため、代表的なイコライザーの使い方をご紹介していきます。
イコライザーを積極的な音作りで使用する使い方
イコライザーを積極的な音作りで使用する使い方です。
低音域と高音域を強調したドンシャリサウンド、中音域が強調されたブルージーなサウンド、低音域が強調されたジャズサウンドなどはもちろん、音抜けの悪い周波数帯域だけをカットするなど様々な音作りができます。
また、バッキングとリードで音質を大きく変えるなどの使い方もできます。
イコライザーをブースターとして使用する使い方
イコライザーをブースターとして使用する使い方です。
周波数帯域を全体的に持ち上げる純粋なブースターとしてはもちろん、中音域を持ち上げたミッドブースターとしても使われることが多いです。
また、歪みの前に接続すればゲインブースターとして使用することができ、歪みの後に接続すればボリュームブースターとして使用することができます。
イコライザーでハウリング対策をする使い方
イコライザーでハウリング対策をする使い方です。
ハウリングはギターアンプやライブのPAスピーカーから出た音を再びピックアップが拾ってしまうことにより発生するのですが、特定の周波数帯域が共鳴してハウリングが引き起こされている場合も多いです。
そのハウリングを引き起こす原因となっている周波数帯域を特定し、イコライザーでカットすることによってピックアップの周波数特性を変えることができるため、ハウリングを軽減することができます。
ギターエフェクターのイコライザーのおすすめ
ギターエフェクターのイコライザーのなかでも人気のある機種や定番とされている機種、名機などを厳選してご紹介していきます。
BOSS GE-7 Equalizer
BOSSの人気イコライザー「GE」シリーズの現行モデルです。
7バンド・グラフィック・イコライザーにより「100Hz〜6.4kHz」の周波数帯域を「±15db」でブースト、またはカットすることができるため、シンプルな操作性ながら幅広い用途が可能です。
純粋な周波数帯域ごとの音量調節からノイズカットやハウリング対策はもちろん、中音域を強調したミッドブースターとしての使用にも効果的なのでおすすめです。
BOSS EQ-200 GRAPHIC EQUALIZER
2019年に登場したBOSSの新しいラインナップ「200」シリーズのグラフィックイコライザーです。
サンプリングレート96kHz、AD/DA変換32bitとクラス最高峰の音質を実現しており、2フットスイッチを搭載しながらもコンパクトな本体にシンプルなコントロールを搭載しているため、操作性も抜群です。
メモリー機能によって好みのセッティングを呼び出すことができるなど、柔軟性の高い高機能なイコライザーです。
MXR M108S 10 Band Graphic EQ
生産完了したグラフィックイコライザーの名機である「MXR M-108 10 Band Graphic EQ」を進化させたモデルです。
ノイズリダクション回路が追加されているほか、トゥルーバイパス仕様になっており、周波数帯域を調節する10個のスライダーとボリュームとゲインの調節ができる2個のスライダーを装備しています。
そのため、より細かなイコライジングができるため、シングルコイルやハムバッカー問わず幅広い音作りが可能です。
また、10バンドもいらないという場合は6バンドグラフィックイコライザーの「MXR M109S 6 Band Graphic EQ」がおすすめです。
MAXON GE601
100Hzから3.2kHzの音域をカバーするシンプルな6バンドイコライザーです。
それぞれの周波数帯域を「±12dB」のブースト、またはカットすることが可能なのはもちろん、レベルコントロールを装備しているため、エフェクトの「ON/OFF」時の音量差を調節することができます。
エレキギターの音色をエレアコ風に加工したり、ハムバッキングPU搭載ギターをシングルコイル風のシャープなサウンドに加工するなど、1台で多彩なサウンドバリエーションが得られます。
EMPRESS EFFECTS ParaEQ
レコーディング機器並の高音質設計を誇るフルパラメトリックイコライザーです。
35Hz~20kHzまで各バンドにクロスした周波数帯によりエレキギターだけでなくアコースティックギターに適しているのはもちろん、ベースや他のあらゆる楽器で使用できる設計になっています。
7つのツマミと4つの切替トグルスイッチによる細かなイコライジングに加え、+30dBの高音質クリーンブースト機能も備えている高品質なエフェクターです。
JHS Pedals Colour Box V2
レコーディングスタジオでは定番のミキシングコンソールである「NEVE」のコンソール回路を通した音を再現したイコライザーです。
100%アナログのプリアンプであるのが特徴であり、赤色の3つのツマミはゲイン調整、青色の6つのツマミは3バンドイコライザー、灰色のツマミは「60Hz〜800Hz」の間で周波帯域をカットするハイパスフィルターです。
往年の偉大なロックバンドのレコーディングしたギターサウンドを求めたい玄人志向におすすめのペダルです。
Mesa Boogie FIVE BAND GRAPHIC
1970年代初頭には定番と謳われたメサブギー伝統のギターアンプである「MARKシリーズ」のイコライザー機能のみを移植したイコライザーです。
2つのツマミに5bandEQ、1フットスイッチというシンプルなモデルですが、低音域と高音域をブーストして中音域を極端にカットした「Vカーブ」は、MARKシリーズの定番のドンシャリサウンドは必聴です。
MESA BOOGIE FLUX-FIVE
「Mesa Boogie FIVE BAND GRAPHIC」を機能拡大させたモデルです。
「HI/LO」フットスイッチによってサウンドキャラクターを切替えることができ、LOモードは従来の「FLUX-DRIVE」が持つアンプライクでナチュラルなドライブサウンド、HIモードではよりゲイン設定の高いディストーションサウンドになります。
きめ細やかなディストーションを作り上げることが可能なため、メサブギーの轟音アンプサウンドを手軽に再現したいギタリストにおすすめです。
Mesa Boogie THROTTLE BOX EQ
「Mesa Boogie THROTTLE BOX」と「MESA BOOGIE」のクラシックな5バンドイコライザーを新たに搭載したモデルです。
より自由なサウンドメイクを実現しており、オリジナルである「Mesa Boogie THROTTLE BOX」のサウンドを継承しながらも、「Hi/Lo」モード切替フットスイッチによってブルージーなローゲインからヘヴィメタルさながらのハイゲインを使い分けることができます。
また、「Mid Cut」や「EQ Hi/EQ Lo」スイッチを搭載しているため、さらに操作性や音作りの幅が拡張されて使いやすくなっています。
まとめ
ギターエフェクターのイコライザーのおすすめについてご紹介してきましたが、いかがだったでしょうか。
イコライザーを使うことで積極的な音作りができるのはもちろん、ブースターとして使用するなど様々な使い方ができる奥の深いエフェクターです。
是非、自分の求めているサウンドを実現できるイコライザーを見つけていきましょう。
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