ギターの音程を周期的に変化させることができるビブラートエフェクターは、モジュレーション系エフェクターに分類されるエフェクターです。
コードストロークやアルペジオに使用されることが多く、左手でかけているビブラートのようなサウンドからサイケデリックなサウンド、セッティングやアイデア次第では飛び道具のような使い方もできます。
現代では技術の発達により様々なメーカーから多種多様なビブラートエフェクターが販売されているため、選択肢が広く自分の求めている理想のサウンドはあるものの選び方に悩むことも多いかと思います。
そこで今回は、ギターエフェクターのビブラートについて解説していき、人気機種や定番機種などを厳選してご紹介していきます。
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目次
ギターエフェクターのビブラートとは
ギターの「ビブラート(VIBRATO)」とは、ギターの原音を周期的に音程を上げ下げすることで、音程に揺らぎを与えることができるエフェクターのことを言います。
単一の信号をLFO(低周波発振器)と呼ばれる電気回路により音程を変化させることで音程が上下するため、音がクリアかつピッチが小刻みに震えているように聞こえるのが特徴です。
また、ビブラートとトレモロは似たような揺れ方をしますが、ビブラートは「音程変化」であるのに対し、トレモロは「音量変化」であるというエフェクト効果の違いがあります。
左手でかけているビブラートやトレモロアームでは再現が難しい一定周期の振れ幅でビブラートをかけることができるのが最大の魅力です。
エフェクト効果を弱くかけて左手でかけているビブラートのようなサウンドにしたり、エフェクト効果をかけてサイケテリックなサウンドにしたりなど様々な使い方ができるエフェクターです。
ギターエフェクターのビブラートの波形の種類
ギターエフェクターのビブラートの波形の種類は「三角波」「サイン波」「矩形波(くけいは)」の3種類があります。
ビブラートの三角波の特徴
ビブラートの三角波はなめらかで直線的な音程変化が特徴です。
滑らかに音程が直線的に上下するので、緩やかな音程変化を得たい場合に適しており、なめらかに存在感を引き立たせたいときに使うことが多い波形です。
ビブラートのサイン波の特徴
ビブラートのサイン波はなめらかで曲線的な音程変化が特徴です。
滑らかに音程が曲線的に上下するので、緩やかな音程変化を得たい場合に適しており、メリハリをつけて存在感を引き立たせたいときに使うことが多い波形です。
ビブラートの矩形波の特徴
ビブラートの矩形波はスイッチをオンオフしているような音程変化が特徴です。
極端に音程が上下するので、断続的な音程変化を得たい場合に適しており、飛び道具的に使うことも多い波形です。
ギターエフェクターのビブラートのつまみの意味と設定方法
ビブラートはエフェクターによってはつまみがたくさんある機種もありますが、基本的には「RATE・DEPTH・WAVE・RISE TIME」の4つがあります。
ビブラートの「RATE(レイト)」のつまみの意味と設定方法
ビブラートの「RATE(レイト)」は、音程が変化する周期の速さを調整するためのつまみです。
また、「SPEED(スピード)」と表記されていることもあります。
つまみを右に回せば音程が変化する周期の速さは速くなり、左に回せば音程が変化する周期の速さは遅くなります。
ビブラートの「DEPTH(デプス)」のつまみの意味と設定方法
ビブラートの「DEPTH(デプス)」は、音程が変化する幅を調整するためのつまみです。
また、「WIDTH(ウィドゥス)」と表記されていることもあります。
つまみを右に回せば音程が変化する幅は広がり、左に回せば音程が変化する幅は狭くなります。
ビブラートの「WAVE(ウェイブ)」のつまみの意味と設定方法
ビブラートの「WAVE(ウェイブ)」は、音程が変化する波を調整するためのつまみです。
また、「SHAPE(シェイプ)」と表記されていることもあります。
つまみを右に回せば音程が変化する波は極端になり、左に回せば音程が変化する波はなめらかになります。
ビブラートの「RISE TIME(ライズタイム)」のつまみの意味と設定方法
ビブラートの「RISE TIME(ライズタイム)」は、最大揺れ幅へ到達するまでの時間を調節するためのつまみです。
つまみを右に回せば最大揺れ幅へ到達する時間は速くなり、左に回せば最大揺れ幅へ到達する時間は遅くなります。
ギターエフェクターのビブラートの使い方
ビブラートは目的に合わせて幅広い使い方ができるエフェクターの一つです。
ギタリストによっては目的に合わせてビブラートの使い方はいくつかあるため、代表的なビブラートの使い方をご紹介していきます。
コードストロークやアルペジオにビブラートを組み合わせる使い方
コードストロークやアルペジオにビブラートを組み合わせる使い方です。
ビブラートの音程が変化する周期の速さを曲調に合わせて、音程の揺れ幅を狭く緩やかな音程変化の波形にしておくことで、コード弾きやアルペジオなどのフレーズに使用すると気持ちよく聞えるので相性が抜群です。
また、音程のエフェクト効果を強くかけてるとサイケデリックなサウンドになります。
ギターエフェクターのビブラートのおすすめ
ギターエフェクターのビブラートのなかでも人気のある機種や定番とされている機種、名機などを厳選してご紹介していきます。
BOSS VB-2W Vibrato
1982年に生産が完了した名機ビブラート「BOSS VB-2」を本家のBOSSによって現代に甦らせた正統後継機種です。
BBDビブラート回路を用いた高品位のフルアナログ回路設計により、ビンテージの「BOSS VB-2」サウンドをスタンダードモードにて完全再現しています。
また、エフェクト・オフ時もBBD回路を通る「LATCH」モード、ペダル踏み込み時のみエフェクトがオンになる「UNLATC」モードなども同様に再現されています。
コントロールつまみは「RATE」「DEPTH」に加え、ビブラートの立ち上がりをコントロールする「RISE TIME」により、音程の揺らぎを自分好みに設定しやすいのでおすすめです。
MXR M68 Uni-Vibe
ジミ・ヘンドリックスが愛用した「Honey Uni-Vibe」のサウンドを再現したシンプルなコーラス&ビブラートエフェクターです。
暖かみのあるクラシックな「Uni-Vibe(ユニヴァイブ)」のサウンドが特徴であり、つまみは3つのみのシンプル設計になっており、コーラスとビブラートはスイッチを切り替えて使い分けることができます。
オリジナルに比べてモダンなかかり具合が特徴的ですが、DEPTHを強めにかけるとサイケデリックなサウンドに変化します。
エフェクトを「ON」にするだけで存在感のある音は、バッキングからギターソロ、クリーントーンから歪んだサウンドなど、様々なシチュエーションで使えます。
Electro-Harmonix Eddy Analog Vibrato & Chorus
エレクトロハーモニクスらしいアナログ回路を使用したヴィンテージ感あるビブラート/コーラスエフェクターです。
「RATE」や「DEPTH」をエンベロープとエクスプレッションペダルでコントロールすることで、クラシックサウンドの多様性を実現しています。
また、波形を標準的な正弦波から完全に非対称な波形に変形させるLFOシェイプのワープ機能や、トーンコントロールでブライトもしくはよりダークなサウンドを作ることも可能です。
Animals Pedal Car Crush Chorus/Vibe
伝統的なコーラスサウンドとユニヴァイブのサウンドを有したモジュレーションペダルです。
コーラスモードでは、煌びやかながらサイケデリック感のあるサウンドが得られ、ヴァイブモードでは、ジミヘンを彷彿させる大きく捻じれながらうねる独特のサウンドを得ることができます。
ユニヴァイブ系のビブラートは、「エグ過ぎず」「サッパリし過ぎず」扱いやすいサウンドが魅力です。
JHS PEDALS Unicorn V2
ジミ・ヘンドリックスが愛用したことで知られる「Uni-Vibe(ユニヴァイブ)」のサウンドを再現した「Unicorn V1」をコンパクト化したモデルです。
「Unicorn V1」と同様にフルアナログ回路を採用しており、オリジナルのユニヴァイブの仕様に限りなく近づけたサウンドが特徴です。
4つのつまみは左2つがトーン、右2つがスピードをコントロールする役割になっており、。Ratioは4モード(4分/付点8分/8分/3連符)からリズムを選択することができるなど多彩な音作りが可能です。
また、タップテンポ機能、右フットスイッチの操作でサウンドが揺れるスピードをコントロール、外部エクスプレッションペダルRATEをコントロールできるなど高機能なビブラートエフェクターです。
TC ELECTRONIC Shaker Vibrato
高品質な音楽機材に定業のある「TC Electronic」による高機能なビブラートペダルです。
トグルスイッチで「VIBRATO/TONEPRINT/LATCH」を切り替えることができ、「SPEED/DEPTH/RISE TIME/TONE」で繊細な揺らぎからめまいを覚えるほどの強烈な揺れまで、幅広いビブラートを実現することが可能です。
特に「TonePrint」機能により世界のトップギタリスト達が作った多彩なギターサウンドを再現できるのでおすすめです。
また、「TC ELECTRONIC Shaker Vibrato」をよりコンパクトにした「TC Electronic SHAKER MINI VIBRATO」もおすすめです。
TC Electronic Viscous Vibe
伝説的名機と呼ばれている「Shin Ei Uni Vibe」をモチーフにしたユニヴァイブ系ペダルです。
オリジナルの「Shin Ei Uni Vibe」が持つ太く温かいサウンドを再現しており、3つのつまみ「VOLUME/SPEED/INTENSITY」、3つのトグルスイッチ「Chorus/TONEPrint/Vibrate」により多彩な音作りが可能です。
古き良きオリジナルのサウンドに限りなく近づけながらも、現代的な機能を搭載しているおすすめのエフェクターです。
TC Electronic Tailspin Vibrato
BBD素子を採用し完全アナログ回路で構成されたアナログならではのナチュラルでオーガニックなサウンドのリーズナブルなペダルです。
つまみは「RATE」で揺れのスピードを調整、「DEPTH」で揺れの深さを調節するというシンプルな設計になっており、ゆったりした揺れからロータリースピーカーのようなサウンドまで音作りが可能です。
コストパフォーマンスも高く価格も安いため、ビブラート入門機種としておすすめのモデルです。
まとめ
ギターエフェクターのビブラートのおすすめについてご紹介してきましたが、いかがだったでしょうか。
ギターでは必須のテクニックと言っても過言ではないビブラートですが、左手でかけているビブラートやトレモロアームでは再現が難しい一定周期の振れ幅でビブラートをかけることができるのが最大の魅力です。
是非、自分の求めているサウンドを実現できるビブラートを見つけていきましょう。
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