ギターのサウンドに透明感や厚みを与えてくれるモジュレーション系エフェクターのコーラスは、揺らぎ系エフェクターの中でも最もよく使われている定番エフェクターです。
複数の声や楽器がユニゾンで演奏しているようなコーラス効果はクリーントーンのアルペジオやカッティングとの相性が良いのはもちろんですが、ディストーションサウンドにかけても面白い効果が得られます。
現代では技術の発達により様々なメーカーから多種多様なコーラスエフェクターが販売されているため、選択肢が広く自分の求めている理想のサウンドはあるものの選び方に悩むことも多いかと思います。
そこで今回は、ギターエフェクターのコーラスについて解説していき、人気機種や定番機種などを厳選してご紹介していきます。
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目次
ギターエフェクターのコーラスとは
ギターの「コーラス(CHORUS)」とは、ギターの原音に対して僅かに遅れた音を混ぜることで音に揺らぎを与えることができるエフェクターのことを言います。
コーラスの歴史は、1960年代にビートルズのジョージ・ハリスンがレスリースピーカー(Leslie speaker)のプリアンプ部に直接ギターを繋ぎ、レスリースピーカーのローター効果による音の揺らぎをコーラス効果として利用していたことは有名です。
ビートルズの代表曲である「Let It Be」のギターソロは、レスリースピーカーを使用した「揺らぎ効果」がまさにコーラスサウンドの元祖です。
また、エフェクターとしてのコーラスを世界中に広めたのは国内メーカーである「Roland(ローランド)」であり、リハーサルスタジオでもおなじみの定番アンプである「Roland Jazz Chorus JC-120」の「コーラス・ビブラート」の部分を抜き出し、1976年に世界初のコーラスエフェクターペダルとして「BOSS Chorus Ensemble CE-1」が登場したことが始まりです。
独特の透明感や広がりのあるサウンドはクリーントーンと相性が良く定番の使い方となっていますが、揺らぎを強く掛けて独特のサウンドを作ることもできるため、様々なシチュエーションで幅広く活用されています。
ギターエフェクターのコーラスの種類
コーラスは大きく分けて「デジタルコーラス」「アナログコーラス」の2種類があります。
デジタルコーラスの特徴
デジタル回路で設計された「デジタルコーラス」は、透明感のあるクリアな音質のコーラスサウンドが特徴です。
通称DSPという「Digital Signal processor」などのパーツを使用しており、デジタル信号処理で処理速度を上げることで、より質の高い美しいサウンドを実現しています。
各パラメーターを細かく設定できるので音作りの幅が広いのが特徴です。
アナログコーラスの特徴
アナログ回路を持つ「アナログコーラス」は、温かくナチュラルな音質のコーラスサウンドが特徴です。
通称BBD素子という「Bucket Bridge Dvice」どのパーツを使用しており、アナログ信号をアナログ信号のままバケツリレーのように渡していくことで、アナログならではの甘くて厚みのあるサウンドを実現しています。
各パラメーターのコントロールがシンプルで音作りもしやすいのが特徴です。
ギターエフェクターのコーラスのつまみの意味と設定方法
ディレイはエフェクターによってはつまみがたくさんある機種もありますが、基本的には「LEVEL・RATE・DEPTH」の3つがあります。
コーラスの「LEVEL(レベル)」のつまみの意味と設定方法
コーラスの「LEVEL(レベル)」は、原音とエフェクト音の音量バランスを調節するためのつまみです。
また、「E.LEVEL(エフェクトレベル)」や「FX LEVEL(エフェクトレベル)」のほか、「BLEND(ブレンド)」、「MIX(ミックス)」と表記されていることもあります。
つまみを右に回せばエフェクト音の音量が上がり、左に回せばエフェクト音の音量が下がります。
コーラスの「RATE(レイト)」のつまみの意味と設定方法
コーラスの「RATE(レイト)」は、エフェクト音の揺れの速さを調整するためのつまみです。
また、「SPEED(スピード)」と表記されていることもあります。
つまみを右に回せばエフェクト音の揺れは速くなり、左に回せばエフェクト音の揺れは遅くなります。
コーラスの「DEPTH(デプス)」のつまみの意味と設定方法
コーラスの「DEPTH(デプス)」は、エフェクト音の揺れの深さを調整するためのつまみです。
つまみを右に回せばエフェクト音の揺れは深くなり、左に回せばエフェクト音の揺れは浅くなります。
ギターエフェクターのコーラスの使い方
コーラスは目的に合わせて幅広い使い方ができるエフェクターの一つです。
ギタリストによっては目的に合わせてコーラスの使い方はいくつかあるため、代表的な使い方をご紹介していきます。
クリーントーンにコーラスを組み合わせる使い方
クリーントーンにコーラスを組み合わせる使い方です。
クリーントーンにコーラスをかけることによって音に透明感や厚みを加えることができるため、アルペジオなどと相性が良いのはもちろんですが、さらにディレイやリバーブを併用することで一気に幻想的になります。
また、クリーントーンのカッティングプレイでコーラスをかけるギタリストも多く、ファンクで聴くようなおしゃれな感じの音色が心地よいです。
歪みサウンドにコーラスを組み合わせる使い方
歪みサウンドにコーラスを組み合わせる使い方です。
オーバードライブやディストーションで歪ませた音にコーラスをかけることで音に厚みを加えることができるため、存在感のあるサウンドになります。
また、コーラスのエフェクト音を少し深くかけてディレイやリバーブなどの空間系も多めにすることで、シンセサウンドのような音作りはリードギターやギターソロなどでもおすすめできる使い方です。
コーラスを飛び道具として使用する使い方
コーラスを飛び道具として使用する使い方です。
エフェクト音の割合を多くして「RATE」や「DEPTH」を最大にして音の揺れを速く深くするとエグい効果を得られますので、飛び道具としても使用することができます。
コーラスの用途としては綺麗で透明感のあるサウンドを作るだけでなく、設定方法次第では様々な音作りをすることができます。
ギターエフェクターのコーラスのおすすめ
ギターエフェクターのコーラスのなかでも人気のある機種や定番とされている機種、名機などを厳選してご紹介していきます。
BOSS CE-5 Chorus Ensemble
BOSSの名機である「CE-1 Chorus Ensemble」の直系にあたるChorus Ensembleシリーズの現行品です。
Chorus Ensembleシリーズの初期モデルはアナログエフェクターでしたが、CE-5はデジタルエフェクターなのでノイズにも強くなっており、名器CE-1譲りのリッチなコーラスサウンドが特徴です。
また、低域と高域をコントロールする2バンドフィルターで、耳障りになりやすい高音域や音の輪郭がボヤけやすい低音域を自由に調整ながら音作りすることが可能です。
BOSS CH-1 SUPER Chorus
BOSSの「Super Chorusシリーズ」は「Chorus Ensembleシリーズ」と対をなす定番コーラスエフェクターです。
BOSSのChorus Ensembleシリーズは深い掛かり方をするのに対して、Super Chorusシリーズは爽やかな掛かり方をするので、掛かり方の違いがあります。
自然で立体感のあるシャープで高域までヌケのいいサウンドが特徴であり、軽やかなコーラスから深みのあるサウンドまで簡単に調整できる音作りのしやすさもおすすめです。
ELECTRO HARMONIX Small Clone
ニルヴァーナのカート・コバーンが愛用されたことで知られるコーラスエフェクターの名機です。
つまみは「音の揺れの深さを2段階で切り替えるDEPTH」と「音の揺れるスピードを調整するRATE」シンプルな操作性になっていますが、爽やかで優しいかかり方からうねりの深いかかり方まで幅広い音作りができます。
クリアでリッチなコーラスサウンドが特徴であり、アナログコーラスだけが持つ繊細かつ深みのある音色のコーラスエフェクトです。
また、「Electoro Harmonix Small Clone」はサイズが大きめなのが難点でしたが、「Electro harmonix Nano Clone」はSmall Cloneと同じ回路をそのままミニサイズに組み込んでいるのでおすすめです。
MXR M-234 Analog Chorus
アナログコーラスペダルの中でも定番中の定番となっているコーラスエフェクターです。
綺麗で爽やかな音質に加えてアナログらしい太く温かみのあるサウンドが特徴であり、素直でクセのないクリアなサウンドは様々な場面で活躍するコーラスペダルとしてもおすすめです。
また、基本的な「LEVEL・DEPTH・RATE」でコーラス効果のバランスを調整し、「Hi・Low」のフィルターでエフェクト音の高域や低域も調整できるため、繊細な音作りが可能です。
TC Electronic Corona Chorus
高品質な空間系に定評のあるT.C. Electronicのハイクオリティーなコーラスエフェクターです。
3種類のモードと4つのつまみを搭載しており、爽やかなデジタルコーラスからエグいアナログのような音まで幅広い音作りに対応できるため、プロギタリストからの評価も高いペダルです。
さらに、有名なプロギタリストが音作りしたサウンドデータをそのままロードすることができる「TonePrint」機能で有名なプロギタリストが音作りしたサウンドを再現できます。
また、ミニサイズのラインナップもあり、音質はそのままにダウンサイズを成し遂げた小型モデル「TC Electronic Corona Mini Chorus」もおすすめです。
Maxon CS-550 Stereo Chorus
日本を代表するギタリストであるChar氏が監修したことで知られることで有名なアナログコーラスエフェクターです。
やや癖のあるサウンドですが、アナログ回路でなければ得られない音の太さや温かみのあるサウンドと独特の明るいサウンドによる圧倒的な存在感が根強い人気を誇ります。
また、ディレイタイムを操作できるのは珍しいですが、ディレイタイムを右に回していくほど音に広がりが出てきますので、より立体的なサウンドにしたいときに役立ちます。
strymon Ola Chorus & Vibrato
高級空間エフェクターメーカーであるstrymonによるコーラス&ビブラートペダルです。
デジタルエフェクターではありますが、アナログコーラスの回路を内部で完全にシミュレートしているため、デジタルコーラスのクリアなサウンドでありながらアナログコーラスのような温かみのある音が特徴です。
また、「3種類のコーラスタイプ」と「3種類のエフェクトモード」が搭載されており、きらびやかで爽やかなサウンドはもちろん、揺れの強いVIBEサウンドなど幅広い音作りが可能です。
Providence ANADIME CHORUS ADC-4
高品質なシールドケーブルやスイッチャーで有名なProvidenceによる人気アナログコーラス「ANADIME CHORUS」シリーズです。
遅延素子にBBDを使用したアナログコーラスでありながらステレオのように広がりのあるコーラスサウンドが特徴で、カッティング、アルペジオ、ストロークなど、さまざまなギタープレイに使われいます。
また、3種類の「DEPTH・SPEED・MIX」つまみと3段階のDEEPスイッチにより、ピッチ変化が大きく奥行き感のある深いコーラスから、さわやかで軽いクセのないコーラスまで幅広い音作りが可能です。
まとめ
ギターエフェクターのコーラスのおすすめについてご紹介してきましたが、いかがだったでしょうか。
コーラスは揺れ幅や揺れの速さで抑揚をつけたり、つなぐ順番次第では全く違ったサウンドも作り出せるため、セッティングやアイデア次第で飛び道具のような使い方もできます。
是非、自分の求めているサウンドを実現できるコーラスを見つけていきましょう。
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