ギターのサウンドに金属的で強烈なうねりを与えてくれるモジュレーション系エフェクターのフランジャーは、揺らぎ系エフェクターの中でもロックでよく使われているエフェクターです。
歪みエフェクターと組み合わせたジェットサウンドは有名ですが、セッティングやアイデア次第でコーラス効果のようなきらびかなサウンドはもちろん、飛び道具のような使い方もできます。
現代では技術の発達により様々なメーカーから多種多様なフランジャーエフェクターが販売されているため、選択肢が広く自分の求めている理想のサウンドはあるものの選び方に悩むことも多いかと思います。
そこで今回は、ギターエフェクターのフランジャーについて解説していき、人気機種や定番機種などを厳選してご紹介していきます。
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目次
ギターエフェクターのフランジャーとは
ギターの「フランジャー(FLANGER)」とは、ギターの原音と原音を僅かに遅延させた音を混ぜることで、「シュワー」とうねるようなフランジング効果を得ることができるエフェクターのことを言います。
世界で初めてフランジャー効果を使用したのは、1969年に発売された「The Beatles」の「Revolver」だと言われています。
フランジャーの歴史は、回転している2台のオープンリールテープのうち片方を指で触り、回転を微妙にずらして再生することでダブリング効果を生み出そうとしたことが始まりです。
さらに回転のムラによる音程の揺れを正しく回転しているテープと一緒に再生することで生まれる周期的に変化する短いディレイ音を電子回路で再現して1970年代後半にフランジャーが誕生しました。
原理としてはディレイの応用なのでコーラスの仕組みと同様です。
フランジャーの効果はフェイザーと似ていますが、フェイザーによる周波数特性のディップは「ノッチフィルタ状」、フランジャーによる周波数特性のディップは「周期的なコムフィルタ状」という違いがあります。
フランジャーは独特のうねりと金属的なサウンドが特徴であり、歪みサウンドと組み合わせたジェットサウンドが有名ですが、軽くかければコーラスのような効果も得られるため、様々なシチュエーションで幅広く活用されています。
ギターエフェクターのフランジャーの種類
フランジャーは大きく分けて「アナログフランジャー」「デジタルフランジャー」の2種類があります。
アナログフランジャーの特徴
アナログ回路を持つ「アナログコーラス」は、温かく深いサウンドが特徴です。
アナログならではの甘くて厚みのあるサウンドを実現しており、各パラメーターのコントロールがシンプルで音作りもしやすいのが特徴です。
デジタルフランジャーの特徴
デジタル回路で設計された「デジタルフランジャー」は、冷たい金属的なサウンドが特徴です。
デジタルならではのきらびやかなサウンドを実現しており、各パラメーターを細かく設定できるので音作りの幅が広いのが特徴です。
ギターエフェクターのフランジャーのつまみの意味と設定方法
フランジャーはエフェクターによってはつまみがたくさんある機種もありますが、基本的には「LEVEL・RATE・DEPTH・MANUAL・FEEDBACK」の5つがあります。
フランジャーの「LEVEL(レベル)」のつまみの意味と設定方法
フランジャーの「LEVEL(レベル)」は、原音とエフェクト音の音量バランスを調節するためのつまみです。
また、「E.LEVEL(エフェクトレベル)」や「FX LEVEL(エフェクトレベル)」のほか、「BLEND(ブレンド)」、「MIX(ミックス)」と表記されていることもあります。
つまみを右に回せばエフェクト音の音量が上がり、左に回せばエフェクト音の音量が下がります。
フランジャーの「RATE(レイト)」のつまみの意味と設定方法
フランジャーの「RATE(レイト)」は、エフェクト音の揺れの速さを調整するためのつまみです。
また、「SPEED(スピード)」と表記されていることもあります。
つまみを右に回せばエフェクト音の揺れは速くなり、左に回せばエフェクト音の揺れは遅くなります。
フランジャーの「DEPTH(デプス)」のつまみの意味と設定方法
フランジャーの「DEPTH(デプス)」は、エフェクト音の揺れの深さを調整するためのつまみです。
また、「WIDTH(ウィドゥス)」と表記されていることもあります。
つまみを右に回せばエフェクト音の揺れは深くなり、左に回せばエフェクト音の揺れは浅くなります。
フランジャーの「MANUAL(マニュアル)」のつまみの意味と設定方法
フランジャーの「MANUAL(マニュアル)」は、エフェクト音の高さを調整するためのつまみです。
また、「DELAY TIME(ディレイタイム)」と表記されていることもあります。
つまみを右に回せばエフェクト音の高さは高くなり、左に回せばエフェクト音の高さは低くなります。
フランジャーの「FEEDBACK(フィードバック)」のつまみの意味と設定方法
フランジャーの「FEEDBACK(フィードバック)」は、エフェクト音の揺れ方を調整するためのつまみです。
また、「REGENERATION(リジェネレーション)」「REGEN(リジェネレーション)」のほか、「RESONANCE(レゾナンス)」「RES(レゾナンス)」「PEAK(ピーク)」と表記されていることもあります。
つまみを右に回せばエフェクト音の揺れ方のクセは強くなり、左に回せばエフェクト音の揺れ方のクセは弱くなります。
ギターエフェクターのフランジャーの使い方
フランジャーは目的に合わせて幅広い使い方ができるエフェクターの一つです。
ギタリストによっては目的に合わせてフランジャーの使い方はいくつかあるため、代表的な使い方をご紹介していきます。
歪みサウンドにフランジャーを組み合わせる使い方
歪みサウンドにフランジャーを組み合わせる使い方です。
オーバードライブやディストーションで歪ませた音にフランジャーをかけることによって、ジェット機の音のような独特のうねりを持った金属的なサウンドを得ることが出来ます。
フランジャーの使い方としては定番とされているジェットサウンドが簡単に作れます。
クリーントーンにフランジャーを組み合わせる使い方
クリーントーンにフランジャーを組み合わせる使い方です。
フランジャー独特のクセのあるうねりを抑えた設定にすることでコーラスのような効果を得られるため、音に透明感や厚みを加えることできます。
コードカッティングやアルペジオなどと相性が良く、コーラスとは一味違ったサウンドになります。
ギターエフェクターのフランジャーのおすすめ
ギターエフェクターのフランジャーのなかでも人気のある機種や定番とされている機種、名機などを厳選してご紹介していきます。
BOSS BF-3 Flanger
ベストセラーである「BFシリーズ」は多機能で幅広い音作りができるBOSSの定番フランジャーです。
BF-2から受け継いでいる「STANDARD」やジェットサウンドに特化した「ULTRA」はもちろん、周期的な音の変化にスライサー効果を加えることができる「GATE/PAN」など多彩な4つのモードを搭載しています。
さらに4つのつまみにで幅広い音作りが可能だけでなく、ペダルを踏むテンポに合わせてRATE スピードが設定される「タップ入力機能」を搭載しています。
また、ギターだけでなくベースにも使うことができ、それぞれ最適な効果が得られるようにギターとベースにそれぞれの専用インプットが用意されています。
MXR M117R Flanger
「王道中の王道」と言っても過言ではない、世界初のフランジャーとして有名なMXRの名機である「M117」のリイシューモデルです。
有名ギタリストの「エドワード・ヴァン・ヘイレン」や「ランディ・ローズ」などが使用していたエフェクターとしても有名であり、70年代80年代のロックに使われていた王道のフランジャーサウンドです。
アナログ回路の温かいサウンドが特徴であり、4つのつまみで「軽やかなサウンド」や「強烈なうねりの金属的なサウンド」まで幅広い音作りが可能です。
また、伝統を受け継ぎ更にコンパクトになった「MXR M152 Micro Flanger」は、「RATE」と「REGIN」の2種類のつまみというシンプルな構成で音作りもしやすいのでおすすめです。
TC Electronic Vortex Flanger
空間系やモジュレーション系のペダルで高い評価を受ける「TC Electronic」による高品質なフランジャーペダルです。
2種類の「FLANGER」と「TAPE」モードと4種類のつまみにより、60年代のサイケデリックでヴィンテージ風なフランジャーサウンドから現代のハイファイなフランジャーサウンドまで幅広く対応することができます。
さらに「Tone Print」というモードでは、世界中のトップギタリストの音作りを設定することができます。
また、本機をコンパクトにした「TC Electronic Vortex Mini Flanger」は3ノブ構成になっておりますが、「Tone Print」機能を使用することによって幅広い音作りができるのでおすすめです。
TC Electronic Thunderstorm Flanger
「Smorgasbord of Tonesシリーズ」によるコスパに優れたアナログフランジャーです。
つまみが4つというシンプルな構造ですが、セッティングしだいでフェイザーやコーラスのようなマイルドなサウンドから荒々しいジェットサウンドまで幅広いサウンドメイクが可能です。
多機能なエフェクターではありませんが、シンプルでアナログらしい暖かいフランジャーサウンドを求めている方におすすめです。
TC Electronic The Dreamscape
「The Dreamscape(ドリーム・シアター)」の「John Petrucci(ジョン・ペトルーシ)」が共同開発したことで有名なエフェクターです。
「フランジャー・コーラス・ビブラート」の3種類のエフェクトを切り替えることができ、総合モジュレーションエフェクターとも呼べるものに仕上がっています。
基本的なつまみである「DEPTH」「SPEED」「FX LEVEL」に加え、ペダル上部についたトグルスイッチで「Bright」「Normal」「Dark」の3種類のトーンカラーを切り替えることによって幅広い音作りが可能です。
ELECTRO-HARMONIX Deluxe Electric Mistress XO
今は廃盤となっている1978年に発表された「ELECTRO-HARMONIX」の名機である「Deluxe Electric Mistress」の復刻モデルです。
音質はほぼそのままにコンパクトにまとめ、3つのつまみとモード切り替え用のスイッチによって軽快なコーラスサウンドから、激しいうねりやスペーシーな音まで幅広いサウンドメイキングが可能です。
アナログフランジャーらしい温かいサウンドが特徴ですが、飛び道具的なインパクトのあるエフェクト音の両方を楽しめるユニークなエフェクターです。
また、よりコンパクトになった「ELECTRO-HARMONIX NEO MISTRESS」、コーラスモードを搭載でステレオ出力にも対応している「ELECTRO-HARMONIX Stereo Electric Mistress」もおすすめです。
strymon Orbit Franger
空間系エフェクトのハイエンドブランドである「strymon(ストライモン)」によるフランジャー専用マシンです。
SHARC DSP(ADSP-21375)チップによって音質と低ノイズを実現しており、3タイプのFEEDBAKモード、3タイプのLFOモード、5つのつまもによって多彩な音作りができます。
さらに、ステレオ出力に対応やエクスプレッションペダル接続できるほか、Favoritesというフットスイッチにより設定を即座にリコールできるなど多機能でハイエンドなフランジャーです。
まとめ
ギターエフェクターのフランジャーのおすすめについてご紹介してきましたが、いかがだったでしょうか。
歪みエフェクターと組み合わせたジェットサウンドは有名ですが、セッティングやアイデア次第でコーラス効果のようなきらびかなサウンドはもちろん、飛び道具のような使い方もできます。
是非、自分の求めているサウンドを実現できるフランジャーを見つけていきましょう。
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