ギターのピッキングがなかなか上手くならないと悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
また、ピッキングでピックが弦に引っ掛かるという方やピッキングで人差し指が弦に当たるので、なんとか解決したいというギター初心者の方もいらしゃるかと思います。
今回は、正しいピッキングの基本を解説していきます。
目次
ギターのピッキングとは
ギターの弦を弾くことを総じてピッキングと言います。
また、複数の弦をまとめて弾くことを「ストローク」と言いますが、複数の弦をまとめて弾くときも「ピッキング」という場合もありますが、大抵は単音などの場合を指すことが多いです。
ピッキングはピックを使ったピッキング方法が一般的で、手を使ったピッキングを「フィンガーピッキング」と言います。
ギターのピックの持ち方
ピックを持つ人差し指を「力を抜いた状態」にし、「第二関節が80度~90度ぐらい」曲がっているような形にします。
次に、ピックの中心が人差し指の先端あたりにくるようにし、ピックの上部が第二関節部分と直角ぐらいになるようにして、人差し指の上にピックを添えるようにして置きます。
最後に親指の腹でピックを支え、ピックの先端が1cm程度出ている状態になっていれば完成です。
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ギターのピッキングする角度
弦に対して、ピックを当てる角度を「ピッキングアングル」と言います。
ギターの音色はピッキングの当て方によって大きく変わり、ピッキングの角度は大きく「順アングル・平行アングル・逆アングル」の3種類があります。
プロギタリストや有名ギタリストを見渡すとピッキングアングルは様々ですが、ギター初心者はピックのしなりを活かしながらも適度なアタック音が得られる、「平行気味の順アングル」がおすすめです。
順アングル
順アングルは、弦に対してピックがネック側に傾いた状態でピッキングするフォームです。
ピッキングの角度がついているので、ピックが弦に当たる面積が少なく、ピックの抵抗感も少ないので速弾きなどがやりやすいです。
ロック系ギタリストに多く、ピックと巻き弦との摩擦により「ジャリッ」とした迫力のある音色が得られることから、定番のピッキングフォームです。
平行アングル(フラットピッキング)
平行アングル(フラットピッキング)は、弦に対してピックを平行にした状態でピッキングするフォームです。
ピッキングの角度がついていないので、ピックが弦に当たる面積が面積が多く、ピックの滑りも少ないのでピッキングした指に伝わる感触や弦の反応も素直です。
ジャズ系ギタリストに多く、ピッキングノイズも少なめで最もナチュラルな弦振動が得られやすいことから、順アングルと同じように定番のピッキングフォームです。
逆アングル
逆アングルは、弦に対してピックがネック方向に対して上を向くような状態でピッキングするフォームです。
順アングルと真逆にピッキングの角度がついており、順アングルより滑ピックが滑る感触は少なく、順アングルよりピッキングノイズも少ないです。
手の大きい外国人ギタリストやヘビヴィメタル、R&B系ギタリストに多く、フラットピッキングより丸く芯のある太い音が得られやすいですが、逆アングルは慣れないと難しく、弾き心地はギター位置の高さに左右されるピッキングフォームです。
ギターのピッキングする位置
ギターの音色は、ピッキングする位置によって硬くもなり、柔らかくもなります。
ネック寄りで弾くべきか、ブリッジ寄りで弾くべきか、プレイアビリティも考慮に入れながらベストなピッキング位置を考える
ブリッジ側(リアピックアップ側)の位置でピッキングする
ブリッジ側(リアピックアップ側)の位置でピッキングすると、ギターの音色はブライト(明るい)でトレブリー(高音)なサウンドになります。
ピッキングした音は音抜けの良さもあり、バンド・アンサンブルで歪みサウンドのギターによく合います。
フロント側(フロントピックアップ側)の位置でピッキングする
フロント側(フロントピックアップ側)の位置でピッキングすると、ギターの音色はメロウ(甘い)で太いサウンドになります。
ピッキングした音は太くて丸くコモり気味で音抜けが良くない音になりやすいですが、ジャズギターなどメロウなサウンドによく合います。
標準的なピッキングする位置
弦をどこをピッキングするかによって音色が変化することができたら、標準的なピッキングする位置を確認します。
ストラトキャスター系は、リアピックアップとセンターピックアップの間あたりが標準的なピッキングする位置とされています。
レスポール系は、リアピックアップのネック寄りあたりが標準的なピッキングする位置とされています。
あくまで標準的とされている基本のピッキングする位置なので、フレーズによってピッキングする位置を変えてトーンをコントロールしていきましょう。
ギターの単音ピッキングの基本は3種類
ギター初心者で身に着けるべき基本の単音ピッキングは「ダウンピッキング・アップピッキング・オルタネイトピッキング」の3種類です。
速弾きでなどでは「エコノミー・ピッキング」や「スウィープ・ピッキング」など様々なピッキングテクニックがありますが、まずは基本を抑えましょう。
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ダウンピッキング
ピックを上から下へ弦を弾く動作を「ダウンピッキング」といいます。
ギターを構えた状態でうちわを仰ぐように自然と手首を上から下へ返すように弾くことができるので、一番基本となるピッキングです。
単音ピッキングの中では強弱のコントロールがしやすく、ピッキングの強さによってアクセントをつけたり、アタック音の強弱によってニュアンスをつけやすいです。
また、ダウンピッキングは音の粒がそろいやすく音を安定させやすいです。
アップピッキング
ピックを下から上へ弦を弾く動作を「ダウンピッキング」といいます。
ダウンピッキングとは反対に、うちわを仰ぐように手首を下から上に返すように弾くため、ほとんどの場合ダウンピッキングと組み合わせて行うピッキングです。
アップピッキングはダウンピッキングより音のバランスが崩れやすいため、ピッキングのコントロールが非常に難しいです。
しかし、アップピッキングをマスターすることで、演奏の幅を広げることができます。
オルタネイトピッキング(ダウン/アップ)
ピックを上下にダウンピッキングとアップピッキングを交互に繰り返して弦を弾く動作を「オルタネイトピッキング」といいます。
テンポが遅い楽曲ではダウンピッキングだけでも弾けますが、テンポが速い楽曲ではダウンピッキングだけでは追いつかないのでオルタネイトピッキングは必須のテクニックです。
また、他のピッキングテクニックである速弾きはもちろん、様々なピッキングテクニックの基礎となるピッキングです。
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ギターのピッキングの右手の動かし方
ギターのピッキングでは右手の動かした方が特に重要です。
手首を固めて肘から先を細かく痙攣させているようなピッキングや、筋肉の収縮でピッキングするような「筋肉振り」では柔軟で細かいピッキングが難しいですし、持久力もつけにくく疲れやすいです。
手首のスナップを効かせたピッキングを心掛けられるように、右手の動かし方のコツをご紹介します。
右手の手首の回転を意識する
右手の手首の回転の感覚は「うちわを仰ぐように手首を返す」「モップを振る」といった手首の回転をイメージしてください。
もしくは、左手で右手の手首の少し下あたりを握って上下に素早く振ってみて、右手の手首がゆらゆらと揺れるような感覚です。
右手の脱力ができていれば、肘を少し上下に動かしただけでも、手首から先は大きく触れますので、スナップを効かせた上下の振りの基本です。
右手でピッキングする軌道を意識する
手首のスナップを効かせた振り方のピッキングでは、右手でピッキングする軌道は弧を描きます。
そのため、弦にピックが当たるときの角度が「平行気味の順アングル」になるような手首の角度を意識することが大切です。
ギターのピッキングのコツ
ギターのピッキングのコツをいくつかご紹介します。
右手の小指をボディに固定する
ピッキングをするときの支えとして、小指をボディに固定することでピッキングの精度を高めることができます。
また、ギタリストによっては肘より少し先をギターに固定して、ピッキングするときに右手を浮かせるスタイルのギタリストもいます。
特殊ですが、右手首をギターのブリッジあたりに固定してピッキングするスタイルのギタリストもいますが、基本である「小指をボディに固定する」方法がおすすめです。
アップピッキングとダウンピッキングの音の粒をそろえる
オルタネイトピッキングでは、アップピッキングとダウンピッキングの組み合わせです。
意識せずにピッキングを行うと、アップピッキングが弱くなりがちなため、フレーズを弾くときは「アップピッキングとダウンピッキングの音の粒をそろえる」ことを意識しましょう。
アップダウンの音の粒をそろえることができたら、アクセントをつけたい部分のみピッキングを強く弾いたりなど段階的にすることで、ピッキングニュアンスを出せるようになっていきます。
ピッキングで音の粒をそろえるには、クロマチック練習などが効果的です。
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ギターのピッキングが上手くできない時に見直すポイント
ギターのピッキングが上手くできない時に見直すポイントをいくつかご紹介します。
ピッキングでピックが弦に引っ掛かる
ピッキングで弦にピックが引っ掛かる場合は、ピッキングでピックを弦に当てる深さが深すぎることが原因になっていることが多いです。
ピックを弦に対して深い場合は、ピックと弦の抵抗が大きくなり、ピッキングでしっかりとした弦振動を得られやすく強い音が出ますが、コントロールが難しくなります。
逆にピックを弦に対して浅い場合は、ピックと弦の抵抗が小さくなり、ピッキングでしっかりとした弦振動を得られづらく弱い音になりますが、コントロールはしやすくなります。
ピッキングの深さには個人差はありますが、ピックが弦に対して深く入りすぎていないかを再確認しましょう。
ピッキングで人差し指が弦に当たる
ピッキングで人差し指が弦に当たる場合は、ピックを深く持ちすぎている場合が原因になっていることが多いです。
ピックを深く握りすぎてピックの先端がほとんどでていないため、ピッキングのときに人差し指の指先や爪が弦に当たることになってしまします。
ピックの先端が1cm程度出るようになっているか、ピックの持ち方を見直しましょう。
まとめ
ギターのピッキングの基本ついて解説してきましたが、いかがだったでしょうか。
ピッキングを強化することで速弾きはもちろん、弦移動をする複雑なフレーズなど様々な演奏に対応することができます。
ピッキングで変なクセがついてしまうと、矯正するのに長い年月がかかってしまいますので、うまくなるには基本をしっかりと身につけましょう。