ギターのサウンドに位相をずらした独特のうねりを加えるモジュレーション系エフェクターのフェイザーは、揺らぎ系エフェクターの中ではおしゃれサウンドでよく使われているエフェクターです。
ファンクやソウルなどのジャンルを中心にクリーンからクランチ程度の歪みによるカッティングギターで使われていることは有名ですが、セッティングやアイデア次第では飛び道具のような使い方もできます。
現代では技術の発達により様々なメーカーから多種多様なフェイザーエフェクターが販売されているため、選択肢が広く自分の求めている理想のサウンドはあるものの選び方に悩むことも多いかと思います。
そこで今回は、ギターエフェクターのフェイザーについて解説していき、人気機種や定番機種などを厳選してご紹介していきます。
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目次
ギターエフェクターのフェイザーとは
ギターの「フェイザー(PHASER)」とは、ギターの原音と位相を変えた音を混ぜることで、独特の音の揺れやうねりを得ることができるエフェクターのことを言います。
フェイザーは1960年代から存在する歴史あるエフェクターであり、1940年代に考案されたスピーカーのホーンを回転させるレスリースピーカー(ロータリースピーカー)の効果を電子的に得る事を目的に開発されたのが始まりです。
結果的には位相を変えた音の2つの波の干渉を利用して音色の連続的な変化するという異質な音色を得る機能となりましたが、周期的な音色の変化による独特のうねりは1970年代に「おしゃれサウンド」として世界に広まりました。
フェイザーの効果はフランジャーと似ていますが、フェイザーは「原音とオールパスフィルタによって位相を変えた信号を干渉させる」、フェイザーは「原音と遅延回路を通した信号を干渉させる」という原理の違いがあります。
スピーカーを回転させたような独特のうねりが特徴であり、クリーントーンによるカッティングギターと組み合わせたおしゃれサウンドが定番ですが、クリーントーンによるアルペジオや歪みサウンドと組み合わせたバッキングやリードギター、さらに飛び道具的な使い方など、様々なシチュエーションで幅広く活用されています。
ギターエフェクターのフェイザーの種類
フェイザーは大きく分けて「アナログフェイザー」「デジタルフェイザー」の2種類があります。
アナログフェイザーの特徴
アナログ回路を持つ「アナログフェイザー」は、温かみのある太めのサウンドが特徴です。
コンパクトエフェクターの多くはアナログフェイザーですが、各パラメーターのコントロールがシンプルで音作りもしやすいのが特徴です。
デジタルフェイザーの特徴
デジタル回路で設計された「デジタルフランジャー」は、クリアで音抜けの良いサウンド特徴です。
マルチエフェクターにのようなデジタル製品に搭載されているのがデジタルフェイザーですが、各パラメーターを細かく設定できるので音作りの幅が広いのが特徴です。
ギターエフェクターのフェイザーのつまみの意味と設定方法
フェイザーはエフェクターによってはつまみがたくさんある機種もありますが、基本的には「LEVEL・RATE・DEPTH・FEEDBACK」の4つがあります。
フェイザーの「LEVEL(レベル)」のつまみの意味と設定方法
フェイザーの「LEVEL(レベル)」は、原音とエフェクト音の音量バランスを調節するためのつまみです。
また、「E.LEVEL(エフェクトレベル)」や「FX LEVEL(エフェクトレベル)」のほか、「BLEND(ブレンド)」、「MIX(ミックス)」と表記されていることもあります。
つまみを右に回せばエフェクト音の音量が上がり、左に回せばエフェクト音の音量が下がります。
フェイザーの「RATE(レイト)」のつまみの意味と設定方法
フェイザーの「RATE(レイト)」は、エフェクト音の周波数を変える速さを調整するためのつまみです。
また、「SPEED(スピード)」と表記されていることもあります。
つまみを右に回せばエフェクト音の周波数を変える速さは速くなり、左に回せばエフェクト音の周波数を変える速さは遅くなります。
フェイザーの「DEPTH(デプス)」のつまみの意味と設定方法
フェイザーの「DEPTH(デプス)」は、エフェクト音の揺れる周波数の幅を調整するためのつまみです。
また、「WIDTH(ウィドゥス)」や「intensity(インテンシティ)」と表記されていることもあります。
つまみを右に回せばエフェクト音の揺れる周波数の幅は広がり、左に回せばエフェクト音の揺れる周波数の幅は狭くなります。
フェイザーの「FEEDBACK(フィードバック)」のつまみの意味と設定方法
フェイザーの「FEEDBACK(フィードバック)」は、エフェクト音をオールパスフィルターの回路の入力に戻す量を調整するためのつまみです。
また、「REGENERATION(リジェネレーション)」「REGEN(リジェネレーション)」のほか、「RESONANCE(レゾナンス)」「RES(レゾナンス)」「PEAK(ピーク)」と表記されていることもあります。
つまみを右に回せばエフェクト音の揺れ方のクセは強くなり、左に回せばエフェクト音の揺れ方のクセは弱くなります。
ギターエフェクターのフェイザーの使い方
フェイザーは目的に合わせて幅広い使い方ができるエフェクターの一つです。
ギタリストによっては目的に合わせてフェイザーの使い方はいくつかあるため、代表的なフェイザーの使い方をご紹介していきます。
クリーントーンのカッティングギターにフェイザーを組み合わせる使い方
クリーントーンのカッティングギターにフェイザーを組み合わせる使い方です。
少し音が引っ込んだ印象になりますが、元の音と位相を変化させた音がぶつかり合い、音のメリハリとうねりによって歯切れのよいおしゃれなサウンドになります。
セッティングは「RATE」を曲のテンポに合わせるのが心地よいですが、演奏していて気持ちの良い揺れの速さで調整してきましょう。
クリーントーンのアルペジオにフェイザーを組み合わせる使い方
クリーントーンのカッティングギターにフェイザーを組み合わせる使い方です。
フェイザーを薄くかけることによってコーラスやトレモロとはまた違った揺らぎを得ることができるため、独特のうねりがある幻想的なサウンドになります。
セッティングは「FEEDBACK」と「LEVEL」を控えめにするのがおすすめです。
歪みサウンドにフェイザーを組み合わせる使い方
歪みサウンドにフェイザーを組み合わせる使い方です。
バッキングギターやリードギターにフェイザーをかけることによって単調なフレーズに表情を加えることができるため、聞き手を飽きさせない積極的なエフェクティブなサウンドになります。
セッティングはお好みで調整しましょう。
ギターエフェクターのフェイザーのおすすめ
ギターエフェクターのフェイザーのなかでも人気のある機種や定番とされている機種、名機などを厳選してご紹介していきます。
BOSS PH-3 Phase Shifter
BOSSの人気フェイザー「PH」シリーズの現行モデルです。
4/8/10/12段4種のフェイズモードとステップ・フェイザー、無限の上昇/下降感を生み出すRISE/FALLモードの7種類のサウンドを搭載しており、フェイザーの中でもかなり多機能なエフェクターです。
また、外部コントローラーを接続可能なEXP/CTL端子を装備されており、足元でRATEのコントロールをすることができるため、オーソドックスながらも幅広いつい肩ができのでおすすめです。
MXR M-101 PHASE 90
1974年に登場してから40年以上モデルチェンジすることなくトップセールスを続けている超定番のフェイザーペダルです。
つまみは「SPEED」だけが搭載されているというシンプルな構成ではありますが、シンプルな仕様ながら多彩なサウンドを得られるだけでなく、「SPEED」がどの位置でもうねり具合が絶妙であることが人気の理由です。
程よいフィードバックと煌びやかさを付加されたサウンドが特徴であり、プロアマを問わず多くギタリストに愛され続けている歴史的定番機種です。
また、定番フェイザーのミニサイズ版である「MXR M290 Phase 95」は、「MXR Phase 90」と「MXR Phase 45」を切替可能なのでおすすめです。
MXR M-107 PHASE 100
「MXR PHASE 90」のサウンドバリエーションをさらに広げたアップグレードモデルです。
4段階の位相切替の「Intensity」つまみにより、温かいロータリーサウンドから激しいジェットサウンドまで「MXR PHASE 90」よりも幅広い音作りが可能です。
ギターはもちろん、キーボードやオルガン、ベース、ボーカルなど、さまざまな電子楽器に使える万能なエフェクターです。
Electro-Harmonix Small stone
1970年代に発売された名機であり、スムーズかつトラディショナルなフェイズ効果が魅力のフェイザーです。
「Color」スイッチと「SPEED」つまみだけというシンプルな構成ですが、さわやかで緩やかなうねりのフェイズサウンドから過激で深いうねりのフェイズサウンドまで幅広い表情を見せてくれます。
オーバードライブやディストーションなどの歪みエフェクターとも相性が良く、「Electro-Harmonix」らしい温かみがあるふくよかなサウンドが特徴です。
また、「Electro-Harmonix Small stone」をコンパクトなサイズにした「Electro-Harmonix Nano Small Stone」もおすすめです。
Electro-Harmonix Bad stone
1970年代の伝説的なフェイズシフター「Bad Stone」を現代に蘇らせたペダルです。
「Autoモード」ではうねりの速さを「Rate」ノブで設定する一般的なフェイザーですが、「Manualモード」ではうねりを発生させるLFOの止める位置を「MANUAL SHIFT」で設定し、フェイズ効果を途中で止めたような効果が得られます。
また、フェイザーの歴史上最初に「FEEDBACK」つまみを搭載したエフェクターでもあり、今もなおプレイヤーを魅了し続ける至極のフェイズサウンドです。
TC Electronic Helix Phaser
高品質な音楽機材をリリースしている「TC Electronic」による高機能なフェイザーペダルです。
マイルドな「Smoothモード」とアタック感のある「Vintageモード」によるサウンドのキャラクターを切り替えに加え、「SPEED」「DEPTH」「FEED BACK」「MIX」の4種類のつまみにより、幅広い音作りが可能です。
また、「Tone Print」機能によって世界中のギタリストが作ったサウンドをそのまま設定することもできます。
TC Electronic Blood Moon Phaser
70年代の濃厚なフェイザーサウンドを再現したリーズナブルなペダルです。
アナログ回路で4ステージアナログフィルターを採用しているため、古き良き時代である1970年代の濃厚で温かみのある王道のアナログフェイザーサウンドを再現しています。
つみまは「RATE」「DEPTH」「FEEDBACK」の3ノブ構成になっており、シンプルで使いやすいフェーザーペダルです。
Empress Effects Phaser
カナダのエンジニア集団が開発した緻密な設計と高級なパーツで得られる上質なサウンドのフェイザーペダルです。
5つのつまみと5つの切替スイッチ、2つのフットスイッチという仕様になっており、フェイザーペダル史上最大のコントロール性能を誇ると言っても過言ではない画期的な機能持ったエフェクターです。
また、外部ペダルや外部オーディオ、MIDI(打ち込み音の信号)入力など外部からの入力にも幅広く対応しているため、今までのフェイザーサウンドにはない自由自在なサウンドメイクができます。
Strymon Zelzah
空間系エフェクトのハイエンドブランドである「strymon(ストライモン)」によるフェイザー専用ペダルです。
2つの異なるフェイザーを搭載しており、単体での使用はもちろん、2つの異なるフェイザーを組み合わせて使用することで様々なプレイスタイルに合わせた多彩なサウンドを作ることができます。
コントロールは4ステージフェイザーと6ステージフェイザーで分かれており、それぞれ左右に配置された3ポジションのトグルスイッチ1つとノブ3つのセットが割り当てられています。
フェイザーの枠に収まりきらない斬新でユニークなサウンドも搭載されており、プレイヤーの好奇心を探求欲を刺激する一台です。
まとめ
ギターエフェクターのフェイザーのおすすめについてご紹介してきましたが、いかがだったでしょうか。
ファンクやソウルなどのジャンルを中心にクリーンからクランチ程度の歪みによるカッティングギターで使われていることは有名ですが、セッティングやアイデア次第では飛び道具のような使い方もできます。
是非、自分の求めているサウンドを実現できるフェイザーを見つけていきましょう。
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