スラップ奏法はベースでは必須と言っても過言ではないくらいのテクニックになりつつありますが、最近はギターでスラップ奏法を演奏される方も多くなりましたよね。
ただ、ギターでスラップ方法は弦の幅が狭くて難しいイメージを持たれている方も多いかもしれませんが、基本的なスラップの弾き方で練習をすればギター初心者でもスラップ奏法はできます。
そこで今回はスラップ奏法のやり方やコツ、練習フレーズなどを解説していき、スラップ奏法がうまくできない時に陥りやすい症状などの注意点をまとめました。
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目次
ギターのスラップ奏法とは
ギターのスラップ奏法とは、弦を親指で叩いたり、人差し指、または中指で引っ張ったりして音を出す奏法のことで、「スラッピング」または「チョッパー」とも呼ばれています。
「slapping(スラッピング)」は英語で「平手打ち」という意味で、「chopper(チョッパー)」は英語で「叩き切る」という意味です。
親指で弦を叩くことを英語で「親指」という意味の「thumping(サムピング)」といい、人差し指、または中指で引っ張ったりすることを英語で「引っ張る」という意味の「pull(プル)」といいます。
エレキベースで元祖スラップといえば「Larry Graham(ラリーグラハム)」だと言われており、所属しているバンドのドラマーが遅刻常習犯だったので、その繋ぎにバスドラとスネアを模したのが始まりとなったといわれています。
日本人でギターのスラップ奏法で有名な「雅-MIYAVI-」というアーティストは、激しくパーカッシヴなタッチのプレイスタイルを持ち味とし、ピックを使わないスラップ奏法で曲を演奏しています。
また、JAZZの名門で有名なバークリー音楽大学ギター科で講師をされている「トモ藤田」もスラップ奏法が神のようにすごいことで有名です。
パーカッシブな音が特徴であるスラップ奏法は、ベースだけでなくエレキギターやアコースティックギター(アコギ)などでも活用され、楽曲に積極的に取り入れられるギタリストも増えていきました。
ギターのスラップ奏法のサムピングのやり方
親指で弦を叩くサムピングには、大きく分けて「親指の向きが上向きのスタイル」と「親指の向きが下向きのスタイル」の2つが存在します。
親指の向きが上向きのスタイル
まずは基本とされる「親指の向きが上向きのスタイル」ですが、振り抜きスタイルとも呼ばれています。
サムダウンは指板の端に親指の先端が当たるように振り下ろしますが、狙った弦に親指の指先の側面が当たるようにして親指を叩きつけ、狙った弦の一つ下の弦に親指の第一関節の側面が着地するようにします。
サムアップはサムダウンで振り下ろした位置から、親指の形を保ったまま親指の爪の1/3くらいを目安に狙った弦をしっかりと爪に乗せて弦を引っ掛けて親指を振り上げていきます。
サムダウン・サムアップはピック弾きでいうオルタネイトピッキングになりますが、親指をピックのようにしてサムピングでアップ・ダウンを行う奏法は親指が上向きのスタイルでしかできません。
曲のテンポにもよりますが、サムピングがサムダウンのみでは限界がありますので、サムアップを取り入れることでより細かく速いフレーズを弾くことができるようになります。
親指の向きが下向きのスタイル
次にロックに多い「親指の向きが下向きのスタイル」ですが、フリースタイルとも呼ばれています。
サムダウンは親指の第一関節あたりで狙った弦を叩き、狙った弦に親指を叩きつけたあとは素早く弦から離して音を出します。
大切なのは「スピード感」なのですが、親指で弦を叩いてから離すまでに時間がかかると、親指で弦をミュートしてしまうことになて音が鳴りませんので、右手は親指で叩いたらすぐに上げるのがコツです。
また、親指の向きが下向きのスタイルの場合は、手首を回転させるような動きで叩くのがコツです。
親指で下から弦を弾く方法
基本的には「親指の向きが上向きのスタイル」と「親指の向きが下向きのスタイル」が主流ですが、最近よくみかけるサムピングとして「親指で下から弦を弾く方法」があります。
狙った弦を下から親指で弾くことで指板のフレットに弦がバチンと当たり、パーカッシブなトーンを得ることができます。
そのため、サムピングでアクセントをつけたいときににワンポイントで使用されることが多いです。
ギターのスラップ奏法のプルのやり方
次に、人差し指(または中指)で引っ張ったりするプルのやり方を解説していきます。
弦に指を引っかける
まずはプルをするために人差し指(または中指)を弦に引っかけます。
このとき弦に指を深めに引っかけてしまうとプルがしづらくなりますので、「指の引っかかりを最小限にしてしっかり弦を引っ張ることができる」深さを意識するのがコツです。
弦に指を引っかける位置は、指先の親指側よりで少し斜めになるように引っかけるとのがプルがやりやすいコツです。
弦に引っかけた指で弾く
次に弦に人差し指(または中指)を引っかけた状態で弦を弾きます。
プルは弾いた弦が指板のフレットに弦が「バチン!」と当たることでパーカッシブな音を鳴らすことができるので、指は指版に対して真上側に引っ張るようにします。
このとき弦を弾くときに指の力だけではなく、やや手首を回転させるように右手全体を離すのがスムーズなプル動作を行うコツです。
ギターのスラップ奏法のゴーストノートのやり方
次にスラップ奏法のゴーストノートのやり方をいくつかご紹介します。
左手でミュートした状態でサムピング(またはプル)をする
まずは左手でミュートした状態でサムピング(またはプル)をする方法です。
通常のピック弾きや指弾きと同様で左手でミュートをすることでゴーストノートを出すことができます。
サムピングで弦から離さないようにする
次にサムピングで弦から離さないようにする方法です。
サムピングの基本は親指で弦を叩いた後は素早く離すのがコツでしたが、反対にサムピングで親指で弦を叩きつけた弦に触れた状態で弦を押さえつけておくことでゴーストノートを出すことができます。
左手タッピングで弦を叩くようにする
最後に左手タッピングで弦を叩くようにする方法です。
人差指で弦をミュートした状態から中指や薬指(または2本で)で弦を叩くようにすることでゴーストノートを出すことができます。
また、左手タッピングでゴーストノートをだすときは、指の力よりも指を振り下ろすときのスピードが大事です。
ギターのスラップ奏法の練習フレーズ
ギターのスラップ奏法の練習フレーズを教則本などにも掲載されているような簡単なパターンでいくつかご用意しました。
楽譜やTAB譜(タブ譜)上でスラップ奏法のサムピングは特に記号はついていませんが、プルは「>(アクセント)」、ゴーストノートは「×(ゴーストノート)」の記号で表記されています。
また、スラップ奏法を連取する場合は、最初はクリーンな音作りで練習するほうが、正しく音が鳴っているかを確認しやすいのでおすすめです。
練習フレーズ1:サムピングの基本動作をマスターしよう
まずはサムピングの基本動作をマスターするための練習フレーズです。
スラップ奏法は、最初は4分音符と8分音符でサムピングで確実に音を鳴らせるように基礎練習を繰り返すことが重要です。
練習フレーズ2:プルの基本動作をマスターしよう
次にプルの基本動作をマスターするための練習フレーズです。
サムピングで音をならしたあと、もう一度サムピングしてゴーストノートを出してからプルをするというフレーズになっていますので、しっかりとプルを確実に鳴らせるようにしましょう。
練習フレーズ3:スラップの王道フレーズを弾こう
最後にスラップの王道フレーズです。
Eマイナーいっぱつのフレーズですが、サムピングやプルをもちろん、ハンマリングやプリングを組み合わせ、サムピングでのゴーストノートや左手タッピングのゴーストノートなど盛りだくさんです。
最初はゆっくりしたテンポで練習していき、しっかりと音が鳴らせるようになったら少しずつテンポをあげていくようにしましょう。
ギターのスラップ奏法が上手くできないときに見直すポイント
ギターのスラップ奏法が上手くできない時に見直すポイントをいくつかまとめました。
スラップで指が弦に引っかかる
スラップで指が弦に引っかかる場合は、弦に指が深く入りすぎていることが原因になっていると考えられます。
サムピングもプルも基本的に引っ張るという動作や引っかけるという動作を行いますが、指の引っかかりを最小限にしてしっかり弦を引っ張ることができる深さを意識するのがコツです。
そのため、ゆっくり練習して指が弦に深く入りすぎていないかを確認しましょう。
スラップからピック弾きにスムーズに移れない
スラップからピック弾きにスムーズに移行するには、ピックをどこに置くかがポイントです。
基本的には口にピックを咥えておく方法ですが、ピック弾きに移るときにピックを持ちやすいですが、ボーカルやコーラスなども担当している場合は他の方法を模索する必要があります。
右手にピックを持ったままにする場合は、指弾きとピック弾きを使い分けるときと同様に小指と薬指でピックを挟んでおけばピックを持ちやすくなります。
また、マイクスタンド用のピックホルダーを使うのもおすすめです。
バチンとパーカッシブな音が鳴らない
スラップでバチンとパーカッシブな音が鳴らない場合は、大きく3つ考えられます。
一つ目は、指版に対して平行に弦を引っ張った場合ですが、弦が指版やフレットに当たらないので「バチン」という音が鳴りづらくなりますので、指で弦を引っかけるのは真上に引っ張ることを意識しましょう。
二つ目は、指版に対して真上に弦を引っ張っているが指で引っ張る力が弱すぎる場合ですが、弦の振動幅が小さいので弦が指版やフレットに当たらず「バチン」という音が鳴らないので、ある程度しっかりと引っ張りましょう。
三つ目は、ギターの弦高が高すぎる場合ですが、弦が指版やフレットに遠すぎて当たらないことがあるので、その場合は弦高のメンテナンスをする必要があります。
まとめ
ギターのスラップ奏法のやり方についてを解説してきましたが、いかがだったでしょうか。
ギターでスラップ奏法ができるようになると、通常の演奏では得られないパーカッシブでファンキーなフレーズを奏でることができるので、アイデア次第では演奏の幅はかなり広がります。
この機会にぜひスラップ奏法にチャレンジしてください。
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