アコースティックギタ(アコギ)ーの構造は、大きく分けて、ネックとボディに分かれ、およそ10種類程度のパーツで成り立っています。
その多くが木製品でネジ類やレンチ類も含めて金属製・樹脂製の部品はエレキギターの半分以下でシンプルな構成で、シンプルであるが故に、それぞれのパーツの音に対する影響度も高い楽器です。
今回はアコースティックギターの各パーツの名称とその役割についてご説明します。
目次
アコースティックギターのネック各部品の名称
アコースティックギターのネックに装着される部品には、下記のパーツがあります。
ネック
ネックは、ボディと共にギターの基本構造を成すもので、ボディからナットを経由してペグまで弦を張って固定し、音程を特定するためのフレットなどの土台となる木製のパーツです。
ヘッド
ヘッドはネックの上部の総称で、ペクやトラスロッド調整口の土台となる部分です。
ペグ
ペグは弦をストリングポストに巻き付けて固定し、チューニングに使用する金属製の手動機械パーツです。
ナット
ナットは弦を装着したネックのヘッド側の支点となるパーツで、6本の弦の太さに合わせた溝が彫られたパーツです。
アコースティックギターのナットは象牙製や牛骨、カーボンやプラスティック、金属製などの素材で出来ており、各弦の位置・高さを決め、弦の振動をネックに伝えます。
トラスロッド
トラスロッドはネック内部に組み込まれた金属棒で、ネックの強度を増す働きとネックの反りを修正する機能をもっています。
ネックの反りを修正する場合は、ヘッドにトラスロッドカバーがあるタイプ(ギブソン、テイラーなど)は、そのカバーを外すと金属棒の端が出て来る仕組みに合っています。
トラスロッドカバーがヘッドに無いタイプ(マーチン、ヤマハなど)では、ネックとボディとの接合部(ヒールと呼ばれます。)の上部にレンチ口があって、サウンドホールからアクセスできる状態となっています。
ロッドカバー
ロッドカバーはアコースティックギターのトラスロッドの力を調整するネジを隠すカバーです。
アコースティックギターのモデルよってはボディー側から調整するものもあり、その場合はロッドカバーはありません。
フィンガーボード(指版)
フィンガーボードはネック上にフレットを打つ土台となる部分の名称で、指板とも呼ばれます。
ネック素材にフィンガーボード素材を張り付けてあり、ネックと共に弦の振動に共鳴しますので、その素材となる木材の種類によって音に違いが出てきます。
ローズウッド材やエボニー材が稀少となり、価格高騰する過程で、木材以外の樹脂製フィンガーボードも出てきていますが、まだまだ数は多くありません。
フレット
フレットはネックのフィンガーボード上に打ち込まれたネッケルやステンレスの金属パーツで、音程を半音毎に特定する役割を担っています。
アコースティックギターでは、ネックとボディのジョイントは14フレットが標準的と言えますが、マーチンのヴィンテージデザインには12フレットジョイントがありますが、なかにはジョイントが15フレット以上のモデルも販売されています。
ポジションマーク
ポジションマークはフィンガーボード上のポジション(フレット数)を分かりやすくするために付けられたマークで、高級モデルはパール、アヴァロンなども使用されます。
一般的には、3・5・7・9・12・15・17の各フレットに表示されています。
アコースティックギターのボディ各部品の名称
アコースティックギターのボディに装着されるパーツには、下記があります。
ボディ
ボディはネックと共にギターの基本構造を成す木製・箱状のギターの胴体と言える部分で、トップ、エンド、バックで構成され、カタログやスペック表にはその素材(木の種類)が記載されます。
役割として弦を張る支点のとなるサドル、ブリッジ等の土台であり、弦の振動に共鳴し、振動を空気に伝える共鳴胴であり、真ん中のサウンドホールから、共鳴した音をボディ外部へ出します。
一般的にボディが大きさは、音の大きさに比例し、素材の特性が音の特質(高域・中域・低域のバランス)に影響します。
ピックガード
ピックガードはボディをピッキングから守るためのガードです。
大半がポリエチレン等のプラスティック系樹脂製ですが、高級器にはべっ甲製も見られます。
ブリッジ
ブリッジは弦を固定する支点となるサドルとブリッジピンを固定するための木製また樹脂製の土台状のパーツです。
ブリッジピン
ブリッジピンは各弦のボディ側の終点で弦を固定する役割をもち、ブリッジに弦のボールエンドをブリッジの穴に差し入れた後、ブリッジピンを差し込むことで固定します。
サドル
サドルはブリッジ上に固定されたパーツでナットと同様に象牙製が主流です。
6本の弦を固定する役割、さらに弦高とオクターブ調整のために、通常はブリッジ上に斜め(1弦側がネックより)に設置されます。
バインディング
バインディングはボディ、ネック、ヘッドストックなどの角に沿って付けられた縁飾りです。
楽器の角を衝撃から保護する役割もあります。
サウンドホール
サウンドホールはボディトップのほほ真ん中に開けられた丸い穴です。
弦の振動によって生じたボディ内の共鳴が反響し、この穴から外に向かって音を放出する役割を持っており、サウンドホールの大きさや形状がアコースティックギターの音量や音質に影響を与えています。
サウンドホールの形状によってラウンドホールやオーバルホール、fホールなどのタイプがあります。
ロゼッタ
ロゼッタはサウンドホールを取り囲む装飾です。
ストラップピン
ストラップピンはアコースティックギターを肩に掛けるためのストラップを固定するための金属部品です。
アコースティックギターのモデルによっては、初めからストラップピンが付いているものと付いていないものがあります。
エンドピン
エンドピンはアコースティックギターのボディー下端にある、肩に掛けるためのストラップを取り付けるためのピンです。
また、多くのエレクトリックアコースティックギター(エレアコ)はエンドピンに穴が開いていて、シールドを繋ぐためのジャックになっています。
ヒール
ヒールはアコースティックギターのネックとボディーをつなげているジョイント部分です。
また、アコースティックギターのモデルによっては、ネックヒール部分にストラップピンが取付けされている場合もあります。
まとめ
アコースティックギターの各部品の名称とパーツの機能・役割を簡単にまとめました。
アコースティックギターはエレキギターよりもパーツの種類が少なく、全体に占める木製部品の割合が格段に高くなります。
アコースティックギターの音は、それぞれ木製部品の素材とその組み合わせ、金属ネジ等を使用しない木工技術の精度などが、ギターの鳴りの大きさ、音の立ち上がりの速さ(レスポンス)、高域・中域・低域のバランスなどの音に大きな影響を与えています。
そのため、ネックとフィンガーボード、ボディのトップ、サイドおよびバックの素材(木材の種類)や構成方法(単板か?複合板か?)が、エレキギター以上に音に影響するため、素材や構成方法の特性を確認することが、愛器発見のための大切なポイントとなります。
一般的に、アコースティックギターは、エレキギター以上に新品購入後の使用状況や保管状況によって音が変化し、数年にわたって引き込まれたアコースティックギターの音量は新品をはるかに上回ります。
プレーヤーと共に成長するアコースティックギターを大切に楽しみましょう。