ギターはチューニングが非常に狂いやすい弦楽器の一つです。
特にエレキギタ-はチョーキングやアーミングなどダイナミックな演奏で弦のテンションに負荷をかけ、さらにブリッジが可動する仕組み(シンクロナイズドトレモロシステムなど)など、調節すべき箇所が多いことなどが原因です。
また、張り替えたばかりの弦は、スポットライトが当たっただけで、チューニングが狂うことがあるとも知っておいた方がいいでしょう。
したがってギタリストには、素早く正確にチューニングすることが求められ、そのためにはチューナーの活用が欠かせません。
今回はチューナーの種類や測定モード、選び方などチューナーについてまとめました。
ギターのチューナーとは
チューナーとはギターの弦が正しい音程で鳴るように調節する電気器具です。
チューナーによるチューニング方法は、対象とするギターの音がチューナー上の画面(インジケーター)に表示され、同時に正しい音との音程差も表示されます。
その音程差の幅を縮めるようにペグを回し、最終的には一致するようにすることで、チューニング完了となりますが、チューナーはこのようなチューニング作業を視覚化したものです。
ギターのチューナーの測定モード
チューナーには使用するシチュエーションに応じたチューニングモードがありますが、代表的な4つのチューニングモードをまとめました。
ギターモード
ギターの開放弦(EADGBE)にだけ反応するモードです。
各楽器のレギュラーチューニングに応じた各弦のチューニングがスムーズにできるように設定でき、ウクレレやヴァイオリンのモードもあります。
ただし、変則チューニングなどには使えないモードです。
クロマチックモード
半音刻みで音を計測することができるモードです。
通常のチューニングはもちろん、半音下げチューニングやオープンチューニング、変則チューニングなどにも対応することができます。
また、ギターのオクターブ調整に使用したり、ギターの練習の際のチョーキングの音程チェックなど様々な場面で活用することができます。
ストロボモード
クロマチックモードと同様に、半音単位で音程を計測することができるモードです。
針の動く速さでチューニングするため、慣れが必要ですが、超高精度にチューニングができます。
そのため、レコーディングなどの場面で使用したいモードの一つで、知っておいた方が良いです。
ポリフォニックモード
ポリフォニックモードは全弦を同時に計測できるモードです。
TC ELECTRONICが開発した技術のため、現在はTC ELECTRONICのチューナー(Polytune ClipやPolyTune3など)のみ搭載されている機能で、微調整程度のチューニングをする際に便利です。
ギターのチューナーの種類
デジタル化により正確性と利便性の向上、リチウムイオン電池の登場により、一層の小型化が進み、ユーザーの細かなニーズに対応した機種が出てきていますが、大きく4種類に分類できます。
それぞれ、LEDなどのランプで知らせるもの、液晶ディスプレイで表示するものなどがあり、好みによって選べます。
定番1:クリップチューナー
クリップチューナーは近年、急速に普及し、現在では一番使用されている可能性もあるチューナーです。
シールドを接続することなくギターのヘッドなどにクリップを挟むだけで使用できる簡便性の高さと値段の安さが評価されています。
初心者用エレキギターセットにも入ることも多く、チューナーと言えば、クリップ式が定番となりつつあります。
クリップチューナのメリットとしては、シールド接続不要、準備不要なので、すぐチューニングでき小型で持ち運びに便利なところです。
また、大半が安く、1000円以下で販売されているケースもあって手に入れやすいチューナーです。
一方でデメリットは「小さい形状」なので、「落とす・踏みつける」などで「壊す・あるいは失くす・忘れる」等のリスクがあります。
また、クリップチューナーは直接クリップで取り付け振動を拾うことでピッチを確認できるチューナーのため、「極端にうるさいところ」や「共振する環境では使えない」ところです。
しかし、クリップチューナーは利便性が良いので、1つもっておいて損はないチューナーです。
定番2:カード型チューナー
カード型チューナーはクリップチューナーがでてくるまでは、もっとも人気のあるチューナーとして普及してきました。
カード状(または筒状)のコンパクトなサイズで楽器のケースあるいはエフェクターボードの隅等に入れやすく、持ち運びに便利であったためで、コストも比較的安価な機種も多かったためでしょう。
使用方法は、チューナー本体内蔵のマイクで音を拾う、またはシールドを挿入して音信号をチューナーに送ってチューニングします。
同様の仕組みのアナログチューナーもありますが、サイズが一回りおおきくなる傾向があります。
メトロノームも一緒になったチューナーメトロノームタイプのもの、特定の音(A音=440㎐など)が実音で出せる機種もあります。
定番3:ペダルチューナー
ペダルチューナーはコンパクトエフェクターのような箱型のチューナーで、シールドを接続してエフェクターと同様に足元に置いて使用します。
そのため、音を拾うマイクはついていませんので、ステージまたはスタジオ等において使用することを想定した機種でエフェクターと連結して接続して使用できます。
針の代わりにLEDの光でピッチ状況を確認できるなど視認性を高めた商品に人気があります。
足元のペダルONの状態で、音をアンプから出さずにチューニングすることを目的としており、他の音には全く影響されません。
ステージ用と考えた場合、クリップ式にないメリットを持っていますが、クリップチューナーやカード型チューナーに比べれば若干コスト高となります。
定番4:ラックマウントチューナー
ラックマウントチューナーは、シールドで接続する、またはワイヤレスシステムに対応した機種もある高価なチューナーで、内臓マイクによりアコースティック楽器全般への対応も可能です。
チューニング関わる多くの機能が備わっており、基準ピッチ範囲が広い、測定精度が高い、ディスプレイやインジケーターが多彩など、ステージでも使用することと、専門性を高めた機種です。
高価であること、ペダル式とクリップ式の併用と普及により、人気は低下傾向のようです。
番外編1:音叉(おんさ)
音叉とは、二又に分かれた棒状の金属で、いつも同じ音程の音(基準音)が鳴るように作られています。
ギター等の弦楽器では、A音(=440㎐)が鳴るものを使用し、その音を基準にチューニングします。
そのため、音叉はギターの各弦の音を測ることはできないため、ギターの5弦をA音に合わせたあとは、それを基準にチューニングしていきます。
現代ではデジタルなチューナーが発達したため、音叉はチューニングの補助道具的なイメージがありますが、それ以前は音叉の共鳴と自らの聴力をもとにチューニングしていきました。
また、ピアノの調律などでは繊細な音程を調整していくため、音叉が主流で使用されていたりします。
番外編2:スマホのチューナーアプリ
チューナーは、ギタリストの必需品ともいえるアイテムですが、スマートフォン用のチューナーアプリも多くリリースされています。
つねに身の回りに置いているスマホにチューナーが内蔵される意味で非常に便利で、多くのアプリが基本無料で様々な付加的な機能がついているものが多く、精度が高いものもあります。
いつでも、どこでもチューニングできる利便性もあるので、評価の高いチューナーアプリを入れておいても損はないかと思います。
番外編3:ストリングスワインダーのオートチューナー
ストリングスワインダーの形ですが、指定した音程にチューニングを自動でしてくれるオートチューナーです。
まだ、クリップチューナーなどのように、正式なカテゴライズされているわけではないのですが、革新的なチューナーでかなりの時間短縮が見込めます。
もちろんピンキリではありますが、価格も高いのかと思うと2000円代から購入することができるため、すごい時代になったものです。
番外編4:オートマチックチューニングマシーン
オートマチックチューニングマシーンはギターのペグ部分に直接組み込んで使用する、全自動でチューニングしてくれるチューナーです。
通常のチューニングはもちろん、変則チューニングなども対応しており、かなりの低い音からちゃんと正確な音程までチューニングしてくれます。
価格は調べてみると、3万~4万あたりのようですが、ギターに取り付ける工賃なども考えると5万くらいになりそうですね。
ギター初心者がいきなり使用すると、チューニングできない人になってしまうので、使わない方が良いですが、ライブなどでも1本でいろいろな曲ができるのでかなり重宝しそうです。
ギターのチューナーの選び方
ギターのチューナーの選び方は各個人の好みにもよりますが、チューナーを使用するシチュエーションによって選ぶのがおすすめです。
シチュエーションごとに定番のチューナー4種類のなかから選び方をまとめました。
自宅練習向け
自宅での練習であれば、「クリップチューナー」か「カード型チューナー」がおすすめです。
ただ、「カード型チューナー」はシールドを抜き差しするひと手間があるため、現代では「クリップチューナー」が便利です。
「クリップチューナー」であれば、エレキギターだけでなく、アコースティックギターにも使えるところが良いです。
バンド練習向け
バンドでの練習であれば、「クリップチューナー」か「ペダルチューナー」がおすすめです。
「ペダルチューナー」は、あらかじめエフェクターボードに組み込んでおけば、バンド練習中にいつでもチューニングができますし、LEDによる視認性も良いです。
「クリップチューナー」は周りの音が激しければチューニングがしずらい点がありますが、曲の練習終わりはそんなに音をならさないでしょうから「クリップチューナー」も手軽なので問題ありません。
「ラックマウントチューナー」も視認性は良いのですが、機材の持ち込み量が多くなるので、毎回持ち込むと体力的にしんどくなってきそうです。
ライブ向け
ライブであれば、「ペダルチューナー」がおすすめです。
ライブ中に盛り上がってメンバーが音をかき鳴らすときもあると思いますが、ペダルチューナーであれば問題なくチューニングができますし、視認性も問題なしです。
「カード型チューナー」はシールドの抜き差しをしなければならないので、ライブでは使いづらいです。
「クリップチューナー」はギターにつけっぱなしだと、ライブで激しい動きをしたときに飛んで行ってしまうので注意が必要ですが、チューニング時以外は外しておくなどで対策しても良いかと思います。
また、アコースティックライブであれば、クリップチューナーは大活躍しそうですね。
レコーディング向け
レコーディングであれば、4種類どれを選んでも問題ありません。
ただし、注意点としてはしっかりとチューニングができる精度の高いチューナーを使用することです。
また、レコーディングは繊細な作業にもなるので、1回弾くごとにチューニングがずれていないかを確認して正確な音程をキープすることが大切です。
まとめ
チューニングはギターの上達や耳が良くなるためにも正確な音程で行うことが非常に大切です。
プレイヤー自身が毎日行うものなので、その大切なチューニング作業で活躍するチューナーは日々使用する大切なアイテムなので、既に持っている場合も、ニーズに応じた常に使いやすいものを求めていきたいところです。
そのため、使用目的に応じて複数のチューナーを使い分けても良いぐらいですので、自分も目的にあったチューナーを選んでいきましょう。