ギターを所有していれば「どこに、どのように」保管・収納するかは大切な問題です。
当然に使用している時間よりも保管している時間の方が長いわけで、その間、適切な状態を維持する必要があります。
使用頻度や収納できるスペースの問題はギタリストの環境によって異なりますが、今回はギタースタンドの種類や選び方についてまとめました。
目次
ギタースタンドの種類
普段のギター収納に活用されているギタースタンドですが、コストも手軽で、使い勝手も楽なギタースタンド、現在は種類も豊富となっています。
立てかけ式のギタースタンド
立てかけ式は、ギタースタンドの中で、いちばん多く利用されている、オーソドックスなタイプのギタースタンドです。
シンプルな構造でギターのボディ下部を乗せるバーとネック部を立てかけるホルダーでギターを固定するタイプで、価格も非常に廉価で、ほとんどのギターのサイズやデザインに対応できて、使いやすいためです。
ギタースタンドをはじめて購入する方は、真っ先に候補となるかと思いますが、フライングVタイプやエクスプローラーには対応できないので自身の持っているギターが変形タイプの場合は確認が必要です。
購入時の注意点として、ギターの下部を乗せる場所のゴムや樹脂製の保護パッドが、すべりやすいもの、またはギターのラッカー塗装に悪影響をあたえるものが散見されます。
スタンド自体の安定性は当然ながら、ギターとの接点となる箇所は念を入れて確認しましょう。
折りたたみ式(コンパクトタイプ)のギタースタンド
折りたたみ式は、立てかけタイプの1種ですが、ネックのホルダーがなく、ボディ下部をホールドすることで、ギタースタンドとして機能します。
折りたたみ式でコンパクトであるため、持ち歩きに便利で、練習の合間の「ギター置き場」の確保に使用している方も多いようです。
立てかけ式と同等の価格で安定感も高く、ボディだけで支えるのでネックに負担が掛からないので、自宅での使用にも特に支障はないと思われますが、揺れによる耐性も低いので、安定したところにおいておく必要があります。
比較的最近に出回り始めたスタンド形態ですが、今後、立てかけ式並みに需要が増える可能性あります。
購入に際しては、立てかけ式と同様に、ギターとの接点の箇所の材質に気を付ける事、さらに、ネックホルダーがないので、ボディ部の固定度合いについて、ギターとの相性をしっかり確認しましょう。
吊り下げ式のギタースタンド
吊り下げ式は、ネックのヘッドをホールドして吊り下げるタイプで、立てかけ式スタンドのようにボディをホールドする仕様ではなく、壁かけ式のホルダーがスタンドとして自立しているイメージです。
ヘッド部を固定して吊るす収納方法は、一見、不安定でギターへの影響も不安を感じるかもしれませんが、実は、最もネックの変形リスクが少ないとも言われています。
例えば、楽器店で高級ギターが立てかけスタンドに置いてあることはなく、壁に吊るされている事は、大切に扱われている証拠でもあるのです。
吊り下げ式は、見た目よりも安定度が高く、Vシェイプや変形ギターなど特殊な形のギターを立てておくことができるので、デメリットはほとんどありませんが、価格は立てかけ式よりも格段に高くなります。
一部のモデルは、ボディを樹脂パッドなどで支える様式もありますので、ラッカー塗装のギターは、注意しましょう。
また、吊り下げ式は複数のギターを吊り下げることができるタイプもあります。
ロックスタンド(複数台立てかけタイプ)のギタースタンド
ロックスタンドは、複数台のギターを立てかけることができます。
ギターの本数が増えるたびに、ギタースタンドで対応していると、スタンドが占める空間が大きくなってしまうため、特に3本以上となると、複数対応できるスタンドに収納するとかなりスッキリ収まります。
ギターの保全機能としては、スタンド対比でそれほどの優劣はないと思われますが、外観が良く、よりスッキリ収納できます。
また、エフェクターケースのように、持ち運べるようなロックスタンドも販売されています。
ギターハンガー(ギターフック)のギタースタンド
ギターハンガーは、壁にギター専用ハンガーを取りつけ、吊るす収納方法で、ハンガーまたはホルダー等の名称で販売されています。
ギターが床を占拠しない状態となり、空間が有効利用できスッキリし、外観上もギターがインテリアを兼ねるように良くなることは、非常に評価が高い点で、ギター本体、特にネックの保全上もよい保管・収納方法です。
ただし、取付のための固定器具が含まれているか、対象となる壁・柱の材質に合うか、などの確認が必要で、何より取付が自己責任であるため、壁や柱の強度の確認なども慎重におこないましょう。
住まいが賃貸、またはその他の理由で壁に穴を開けられない、開けたくない場合は、専用の網状のパネルを設置して壁掛けタイプがあります。
また、取付時の穴を最小限にするホッチキス方式のホルダーもあり、多様化してきています。
いずれも、ネックヘッド部を固定しますが、ラッカー塗装対応していないもの多いので、その点も注意を要します。
また、ヘッドの形状(幅)が小さいギター(例:テレキャスター)に対応していないモデルもありますから、サイズについても個別確認が必要です。
ギターレスト
ギターレストは、ギターのネック部をホールドした状態で、机やテーブル、その他家具などに固定するアイテムです。
机やテーブルを利用してギタースタンドとして代用するため補助ツールで、携帯用として1つ持っておいても良いかもしれませんが、収納・保管に使用するには、安定感に欠けます。
ギタースタンドの選び方
ギタースタンドを選ぶときはいくつかポイントがあります。
ギタースタンド本体の安定感
ギタースタンドの本体の安定性は最も重要視すべきポイントです。
少し揺らすとガクガクと動いてしまう不安定なスタンドは、スタンドが倒れてしまって楽器を傷つけてしまう可能性がでてくるため、しっかりとした作りで適度に重量のある製品を選ぶようにします。
楽器屋さんで直接確認ができない場合は、転倒防止や滑り止めなどの機能があるか、スタンドを支える脚の構造がしっかりとしているか確認が必要です。
ギタースタンドの大きさ
ギタースタンドは単体でみるとコンパクトに見えますが、実際に置いてみると意外とスペースを取ります。
スタンドを支える脚の構造が大きかったり、ネックを支えるスタンド部分が長かったりなど、スタンドごとにサイズが異なるため、どれくらいの大きさになるか確認が必要です。
賃貸の場合はどうするか
賃貸の場合は、壁に穴をあけると修繕費などかかってしまいますので、ギターフックなどは設置しづらいです。
ギターフックでも、網状のものをホッチキスで設置できるものはギターの重さで外れてしまう可能性も少なからずあり、ツッパリ棒で網状のものを壁に設置してひっかけるやり方は別途コストがかかってしまいます。
そのため、無難に吊り下げ式・立てかけ式のスタンドを使用することをおすすめしますが、検討する際に上記のやり方もあることは考慮しても良いかと思います。
ラッカー塗装の場合はスタンドの素材に注意
ギターの塗装には、ラッカー塗装・ポリ塗装がありますが、ギターがラッカー塗装の場合はスタンドの素材を確認することが必要です。
その理由は、ラッカー塗装を施しているギターは、プラスチックなどに触れた時に、その環境が高温であったりすると化学反応を起こし、塗装が溶けてしまう場合があります。
そのため、スタンド購入時は「ラッカー塗装対応」かどうかを確認するか、すでに持っているスタンドを利用したい場合は「スタンドがギターに接触する部分にタオルを巻く」など対策が必要です。
ギターの保管・収納で注意が必要なこと
ギターは、木材・金属・プラスティックなどのパーツで構成されており、木材・金属は湿気による腐食・カビ・錆などの心配がありますし、プラスティックも変色や劣化の可能性もあります。
また、ボディ・ネックの塗装は、ポリエステルやラッカーなどが代表的ですが、木製であるボディ・ネックの「鳴り・響き」を生かすために、あえて薄い被膜で仕上げられ、必ずしも耐久性が高いとは言えず、湿気や熱、その他化学的な刺激(樹脂などとの密着など)には弱い性質があります。
ネックについては、およそ80Kgと言われる弦の張力に耐えられる構造を有しており、簡単に反ってしまうものではありませんが、長期におよぶ保管・収納環境は、ギター各部に組成に徐々に影響を及ぼし、ネックの反りやねじれの原因になる可能性は否定できません。
こうした観点から、ギターの保管・収納については、物理的な安全性に加えて湿度、温度、直射日光、ホコリやその他の汚れによる影響を排除する必要があります。
物理的にしっかりしたギタースタンドにのせていても、日中、直射日光が数時間あたる場所、エアコンの風が直接当たる場所、台所の換気の影響を受ける場所などは避けるべきです。
これらの注意点を考慮して、ギターを保管・収納する部屋・場所・スペースを決めて、どのようなアイテムを選ぶかを決めると良いでしょう。
長期保管であればギター専用ハードケース
ギターの保管といえば、ハードケースがベストと言われますが、実際に常にハードケースに保管している人は稀です。
出し入れが面倒ですし、嵩張るハードケースの置き場に困ることも多いですし、ギターの本数分ハードケースを所有していないなどの環境の問題もあるでしょう。
それにハードケースに入れっぱなしの状態は、空気が循環しないので、適切な湿度環境を維持するためには、湿度調整剤を使用するなどの管理も必要となります。
これらのメンテナンスを行う前提で、長期保管にはハードケースがベストと言えます。
まとめ
ギターの収納・保管のアイテムもいろんなアイデア商品が増えてきていますので、大切なギターの保管方法も定期的にリニューアルして、万全の保管を目指したいものです。
ただし、どのような保管方法においても、一度使用したギターは、新品と異なり、いろんな意味で劣化しやすくなりますし、汚れや静電気は、更に汚れやホコリを寄せ付けます。
そのため「放置」がギターにとって一番よくないので、ギターは弾きながらメンテナンスすることが一番の保管方法と考えましょう。