ギターの種類

アコースティックギター(アコギ)の種類と選び方|代表的なモデル12種類のまとめ

アコースティックギターとは、エレキギターのように信号変換や電気増幅を伴わない弦楽器のことです。

そのため「生ギター」と呼ばれることがありますが、「アコースティックギター」を「アコギ」という略称で呼ばれることも多いです。

アコースティックギターの種類は意外に多く、音楽ジャンルによる歴史的な分類は一定存在しますので、今回はアコースティックギターの種類と選び方についてまとめました。

フォークギターとクラシックギターの違い

アコースティックギターには、大きく「フォークギター」と「クラシックギター」があります。

「クラシックギター」も「フォークギター」も、本来は「アコースティックギター」の一種ですが、一般的には「アコースティックギター」というと「フォークギター」のことを指す場合が多くなっています。

また、「アコースティックギター」の音色を電気的に増幅する「エレクトリックアコースティックギター(エレアコ)」というものもありますが、こちらもスチール弦を張ったギターになります。

フォークギター

フォークギター
フォークギターは、スチール弦を張った「アコースティックギター」の一種です。

フォークギターという呼称は和製英語で、英語では「Steel-string acoustic guitar(スティール弦アコースティックギター)」になります。

フォークギターと呼ばれる通り、「フォークソング・ロック・ポップス」などジャンルを問わず使用されます。

フォークギターの見た目の特徴として、ネックは21フレットで、14フレットでボディと接合されているものが多く、ピック弾きによる傷を防ぐためのピックガードが、サウンドホールに沿って貼り付けられているものが多いです。

クラシックギター

クラシックギター
クラシックギターは、ガット弦(動物の腸などから作られた弦のこと)やナイロン弦を張った「アコースティックギター」の一種です。

クラシックギターと呼ばれる通り、クラシック音楽をはじめ「ボサノヴァ・タンゴ・フラメンコ・ジャズやカントリー」音楽など、幅広いジャンルで使用されます。

クラシックギターの見た目の特徴として、ネックは19フレットで、12フレットのところでボディと接合されているものがほとんどです。

アコースティックギターの種類

アコースティックギターの代表的な種類とその特徴についてまとめました。

ドレットノート

アコースティックギターのドレットノート
ドレットノートは、マーチンの「D-28」を代表格とする大型のボディを持つアコースティックギターです。

ボディの形状の特徴として、大きく、厚みもあり、ネックジョイント部のボディの肩が張り出ていて、ボディ中央の「くびれ」がなめらかになっています。

マーチン以外のメーカーも同様の形状・サイズのモデルを販売していますが、ドレッドノートがマーチンの登録商標であるため、名称はドレッドノートの名は使用していません。

同様の形状・サイズのモデルとして、廉価な国産ではヤマハFG840などがあり、ギブソンのハミングバードは、ボディシェイプについてドレッドノートと同様ですが、実はサイズがやや大きくクアドラオー(0000)に属すと考えられます。

ドレッドノートのサウンド特性として、大型ボディが音圧・音量に貢献していて、ロック系ミュージシャンが愛用する例が多くあり、音域のバランスも兼ね備えることからブルース、フォーク、カントリー、ポップスなどさまざまな音楽ジャンルを超えて愛用されています。

ストロークの場合、厚く力強い、中低音が主張する傾向があり、パワフルなイメージとなり、アルペジオにおいても低音が強く響き、ボディも大きく厚いため、音量と深みのあるイメージです。

弾き語りはもちろん、フィンガーピッキングによるリードプレーでもバンドアンサンブルでも埋まることなく、存在感を発揮します。

なお、日本のメーカー(Kヤイリ、タカミネなど)は日本人向けにドレッドノートの形状のまま、やや小さくしたモデルを出しています。

ラウンドショルダー

アコースティックギターのラウンドショルダー
ラウンドショルダーは、ドレッドノートのネックジョイント部の肩を丸くした形状であるため、ラウンドショルダーと呼ばれます。

ドレッドノートをスマートにしたような形ですが、実はトレッドノートよりもわずかに大きい容積を持つモデルもあります。

ドレッドノートの一種とされる傾向もあり、サウンドイメージも近い印象ですが、ドレッドノートとの違いをあえて挙げると、ラウンドショルダーは、よりラウドで音の立ち上がりは早く、音の粒が立っています。

ショルダーの丸さが影響し、コンプレッション効果があると言われており、コードストロークの場合の厚みと音ヌケには定評があります。

代表格としてギブソンJ-45、J-160Eなどがあり、良い意味で枯れていて、荒さのあるサウンドは、特に人気があります。

クアドラオー(グランド・オーディトリアム/0000)

アコースティックギターのクアドラオー(グランド・オーディトリアム/0000)
クアドラオー(0000)は、ドレッドノートよりもやや大きく、ドレッドノートに並ぶ音圧・音量を誇ります。

「グランド・オーディトリアム」とも呼ばれ、ギブソンのハミングバードもこの類にはいり、トレッドノートに近いサウンド特性で、ロックミュージシャンの使用例が多いです。

軽いタッチにも瞬時に反応する繊細な面もあり、ソロギターでもその魅力を発揮、ジャンルは選びません。

なおテイラー社もグランド・オーディトリアムモデルは、大きなカッタウエイが入っていて外観がかなり異なりますが、テイラーはこのモデルに限らず、大胆なカッタウエイが特徴となっていて、他メーカーと共通の分類名(例:グランド・オーディトリアムや、グランドコンサートなど)は、全体の大きさ、容積を示す目安となっているようです。

トリプルオー(オーディトリアム/000)

アコースティックギターのトリプルオー(オーディトリアム/000)
トリプルオー(000)は、オーディトリアムとも呼ばれます。

ドレッドノートに次いで定番のボディサイズで、ドレッドノートよりも全体的に小さく、ボディ中央部の「くびれ」が細めで、ネックのスケールは短めでテンションがやや弱めになり、弾きやすくなります。

サウンドはドレッドノートと比べると、軽やかで繊細なサウンドが特徴のため、華麗で繊細なアルペジオ、ピッキングの強弱を駆使したリードプレー等に魅力があります。

そのため、比較的ギターを主役にした音楽に使用される傾向があり、ソロギター、ブルース、カントリーを主体に、多くのジャンルで使用されています。

日本における「フォークギター」は、このタイプであり「フォークタイプ」と類別されることもあります。

フォークタイプと呼ばれるモデルは、主にトリプルオー(000)、ダブルオー(00)で、ドレットノートよりも小柄な日本人には使いやすかったのかもしれません。

ダブルオー(グランドコンサート/00)

アコースティックギターのダブルオー(グランドコンサート/00)
ダブルオー(00)は、グランドコンサートとも呼ばれ、アコースティックギターの中では、最も古い歴史を持つ形とされます。

トリプルオー(000)と同じネックのスケールのため、ドレットノートよりも弦のテンションが緩く弦も押さえやすくなり、トリプルオ(000)ーと比べてさらにボディが小さいため音量は大きくありませんが、より繊細な音色で人気があります。

女性にも扱いやすい大きさで、トリプルオー(000)と同様にソロギター、ブルース、カントリーを主体に、多くのジャンルで使用されています。

シングルオー(コンサート/0)

アコースティックギターのシングルオー(コンサート/0)
シングルオー(0)は、歴史的に最も古くから存在するボディサイズで、ボディの最大幅が13.5インチ(34.29cm)よりも小さいフォークタイプでボディが小さいため、音も小さく軽めの音が特徴的です。

ダブルオー(00)よりも小さなボディは、現代のアコースティックギターの一般的とされるサイズではありませんが、ギターマニアの間では「究極の美」と呼ばれる人気機種です。

コンパクトなパーラーサイズの特徴が良く出ており、音を出した時のレスポンスが良く、きらびやかな高音域があり、ふくよかな中低音域が特徴的です。

取り回しの良いギターで、子供や女性、手が小さい方など、多くのギタリストに愛用されています。

OM(オーエム/オーケストラモデル)

アコースティックギターのOM(オーエム/オーケストラモデル)
OM(オーエム)は、オーケストラモデルとも呼ばれ、トリプルオー(000)モデルを基調に、フレットジョイント部分を14Fに作られたのがOMシリーズで、人気モデルは「OM-28」です。

しかし、1930年代には全てのギターが14フレットジョイントになるため、OMシリーズの特徴といえばロングスケールくらいになりました。

サウンドの特徴としては、ネックがロングスケールとなっているため、弦のテンションが高くパワーがあり、トリプルオー(OOO)よりも「アタックの強いハリのある音」が印象的です。

また、高音域が「シャリン」と強めに鳴らすことができるため、ソロギターやアコギのリードギターに好んで使用されます。

ジャンボ

アコースティックギターのジャンボ
ジャンボは、ギブソンのアコースティックギターの中でもっとも大きいサイズのモデルの名称で、J-180、スーパージャンボのJ-200などがあります。

また、大きなボディ全般をジャンボ系と呼ぶ場合もあります。

リゾネイターギター(ドブロギター)

アコースティックギターのリゾネイターギター(ドブロギター)
リゾネイターギターは、ボディの前面に配置した金属(アルミ)製の共鳴板で特徴的なサスティーンと音量を増強させたギターです。

元々はリゾネイターギターが正式名称で、「ドブロ」はこの分野で有名なギターメーカーの名前ですが、「リゾネイター」の名称が定着せず、メーカー名がギターの呼称として定着しました。

ボディ本体は木製のものと金属(アルミ)製のものがあり、アルミ製は、より一層個性的な金属音となります。

ブルース系の音楽を主体にハワイアン、その他民族音楽などに使用されており、特にスライド奏法における金属的な響きと特徴的なサスティーンは唯一無二のトーンをもっていますので、スライドをプレーするなら、一度は試したいギターです。

ガットギター(ナイロンギター)

アコースティックギターのガットギター(ナイロンギター)
ガットギターは、その他のアコースティックギターと異なり、金属弦を使用せず、ナイロン弦を使用するため、ナイロンギターとも呼ばれます。

「ガット」の語源はテニスのラケットに張るガットと同じで、クジラの髭や羊や豚の腸を伸ばして作った弦を使用していた事によります。

「クラシックギター」と「フラメンコギター」は、ボディ構造は各部のサイズはメーカーによりバラつきがあり、ナイロン弦を使用するアコースティックギターの総称がガットギターと考えて良いでしょう。

いずれもナイロン弦の丸い、メロウ&ソフトとも言えるサウンドは、マイナーキーのメロディを弾きたくなるような魅力があります。

ジャンル的には、クラシック、フラメンコ、日本の演歌、ボサノバ、ラテンミュージック、ジャズ・フュージョン、ポップスなどさまざまな国・ジャンルで使用されています。

ボディサイズは、総じて小さめで、ネックの幅は金属弦のアコースティックギターより相当に広く、ネックの厚みは薄いことが特徴です。

エレクトリックアコースティックギター(エレアコ)

エレクトリックアコースティックギター(エレアコ)
エレアコはエレクトリック・アコースティックギターの略で、アコースティックギターにマイクまたはピックアップを搭載したものを指します。

エレアコにはマイクだけがついているものと、「プリアンプ」も付いているものがあります。

形状については、多種多様で、ネックの構造・形状は、エレキギターに近いものもありますし、ボディのカッタウエイが深くハイフレットのプレーも可能で、エレキギター感覚で弾くことができるモデルもあります。

元々は、あくまでアコースティックギターの音をスピーカーで拡声する場合の手段として開発された経緯から、アコースティックギターの類に属するものされます。

12弦ギター

アコースティックギターの12弦ギター
12弦ギターは、通常の6弦に「オクターブ」または「ユニゾンにチューニング」された弦を追加するタイプのものが主流です。

12弦ギターにはそれぞれ、6弦から3弦は(E・A・D・G)には1オクターブ高い弦、2弦から1弦(B・E)は同じ音程の弦が張られており、そのサウンドは「コーラス」エフェクターの効果に近く、「キラキラした響きの美しいサウンド」が特徴です。

12弦ギターは通常のアコーティックギターと演奏方法や運指的には大きく変わらないので、ジャンルはカントリー・ソロギター・ブルース・ロックやソロギターなど広く、多くのギタリストに愛用されています。

アコースティックギターの選び方

アコースティックギターの選び方
以外に多くの種類があるアコースティックギターは、特に初心者の方はどれを選んで良いか迷ってしまうところです。

基本的には試奏して気に入った音を選ぶべきですが、一般的にアコースティックギターを選ぶときに、念頭に置いておいたほうが良いポイントをまとめました。

アコースティックギターの種類で選ぶ

アコースティックギターには大きく、フォークギターとクラシックギター(ガットギター)に分かれます。

一般的にアコースティックギターを使用している方で一番多いのはフォークギターですが、ソロギターを中心に演奏する方などはクラシックギターを持っている方が一般的です。

そのため、演奏するものに合わせてどちらのタイプか選べばよいですが、特にこれからギターを始める初心者の方は、万能タイプのフォークギターを選べばよいでしょう。

アコースティックギターの価格で選ぶ

アコースティックギターも、素材や材質などによってピンキリになってきます。

安すぎるアコースティックギターは「5千円~1万円」ぐらいのものもありますが、安物の場合はネックが歪みやすかったり、チューニングが狂いやすかったり、音質は素人でもわかるレベルで粗悪なものもあります。

一般的に、ギター初心者であれば、「3万円~5万円」あたりから検討するのがおすすめと言われることが多いです。

アコースティックギターのボディのサイズで選ぶ

アコースティックギターのボディ形状で考えた場合、ドレッドノートとダブルオーの違いはボディの「くびれ」がなめらかか、細い(深い)かになりますが、これはおおまかに容積の大小につながります。

容積が大きいということは、一般に、音量があり、強いピッキングには力強く反応し、低音が豊かな、深い響きとなります。

アコースティックギターのボディの素材(重量)で選ぶ

一般に総重量が重いと、響きの印象も重くなる傾向にあるため、容積が大きくても、なるべく軽く仕上げることが出来る木材を選定することが重要となります。

大きければ万能ではなく、小さいボディは音量が小さいだけでなく低音が抑制される傾向にあり、その結果、軽快で立ち上がりの速さが利点となります。

高価なギターには1枚の板「単板(たんばん)」が使われており、音の芯がはっきりとして、木が振動しやすくなるのが特徴で、低価格のギターでもボディの表側(トップ)だけ単板を使用しているものもあります。

また、合板(ごうばん)は、単板よりも芯のぼやけた柔らかい音になりますが、その音の特徴を好む場合もありますので、どのような素材が使われているかをチェックしましょう。

エレアコを選ぶべきか?

通常のアコースティックギターは、ライブではマイクを使用して音を拾うことになりますので、演奏中は動きづらくなります。

エレアコであれば、マイクまたはピックアップを搭載しているので、ライブではシールド(ケーブル)をアンプやDI(ダイレクトボックス)に繋いで演奏することができるので、動いたりすることも可能になってきます。

そのため、ライブで使用する目的があればエレアコを検討してみても良いかと思いますが、通常のアコースティックギターにも後付けでピックアップを簡単に増設できるものもありますので、「エレアコ」にこだわりすぎなくても良いかと思います。

まとめ

アコースティックギターの種類と選び方についてまとめてきましたが、アコースティックギターは、素材による音の違いがより強くでる弦楽器の一種です。

好きなミュージシャンやレコードの使用ギターを調べ、それを注意深く聴きながら、自らも弾いてみることで、徐々にギターの特性を感じることが出来るようになります。

また、長期的に使用してくほど、アコースティックギターは、エレキギターよりも弾き手の嗜好を反映して音が変わりますので、弾くことでギターも成長するお気に入りのアコースティックギターを見つけましょう。







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